B_Otaku のクルマ写真館
 Toyota 86 後期型


トヨタ 86 は発売前から大いなる期待をされて2012年に発売され、4年が経過したところでマイナーチェンジ (MC) が実施された。4年で MC ということはモデルライフは8年ということだろうか。86 のように販売台数を期待できない車種で、しかも主要コンポーネントを専用設計としている訳で、逆に言えば8年で元が取れるんかいな? と余計な事を心配してしまう。

その 86 が発売された当時はこのサイトでも一車種としては各バリエーションまで試乗したという点では前代未聞というくらいの気持ちの入れようで、兄弟車のスバル BRZ も含めて以下の5種類を揃えてある。

 ⇒ TOYOTA 86 G AT 試乗記
 ⇒ TOYOTA 86 G MT 試乗記
 ⇒ SUBARU BRZ R AT 試乗記
 ⇒ SUBARU BRZ S MT 試乗記
 ⇒ TOYOTA 86 RC 解説編

それ程期待された 86 も販売台数では決して大成功とはいえないが、本来そんなに売れる訳もない車種だからまあ善戦していると思っても良いかもしれない。因みに自宅の近所の 86 オーナーはといえば、やっぱりオッサンばっかりで若者は殆ど見掛けないのは、実質300万円という価格もネックとは思う。

それでは早速MC後の後期型のエクステリアを見てみると、少なくともフロントは写真左下の前期モデルと基本的には殆ど変わらないように見える。因みにスリーサイズについては前期/後期で全く変更が無い。

後方を比較しても特に目立った違いはないがリアコンビネーションランプ、要はテールランプが DQN チックなクリアからオーソドックスな赤に変更された。

しかしトップモデルの GT Limited では前期型がリアトランクリッド後端にスポイラーを付けていたのに比べて後期型では高さは低いとは言えウィングに変更になった。このウィングも下手をすると如何にも頭が悪そうに見えてしまうという難しいアイテムだが、まあこれならギリギリOKだろうか。

以上2016年10月20日掲載分


フロントについてはマイナチェンジの定番であるバンパー形状、とりわけアンダーグリルの形状が少し変わっている。最近のクルマの例に従って、この部分は樹脂部品だから抽出用の金型を新設することで対応できるが、ボティのスチール部分の変更となるとプレス型の変更となり、これは大事なので普通はやらない訳で、これは欧州でも同様だ。

次にリアはといえば

今回はもう少し細かく前後期の違いをチェックしてみる。

実は写真下の前期型はグレードが下位モデルの ”G” のために排気管にクロームのマフラーカッターが付いていないが、GT の場合は上の写真と同じとなる。それで違いと言えば前回でも触れたようにリアコンビネーションランプの色が変更となったが、ランプユニットの形状自体に変化が無いのは、これを変えるとボディのプレスを変更する必要が出るためだ。

ではサイドビューはどうだろうか

写真の拡大率では殆ど違いは判らないが、フロントフェンダー後方のサイドのエアアウトレット (らしきもの) の形状が少し違うようにみえる。

そこでその部分を拡大してみると

確かにサイドのエアアウトレット形状が異なっているが、これまたスチールボディ本体に変更はなくカバーの樹脂部品を変更しただけだ。それともう一つは ”86” をモチーフにしているヘンテコリンなロゴマークの位置が異なっている。

それにしてもエクステリの変更が殆ど無いのはイメージを変えたくないからだろうか。もう少し大胆に変えてくるかと思ったが‥‥。

以上2016年10月21日掲載分


エンジンルーム内の比較を始めるその前に‥‥

後期型のエンジンスペックはトランスミッションにより多少の違いが有り、AT では 200ps / 7,000rpm、205N-m/6,400~6,600rpm で前期型と変わら無い。これに対して MT では 207ps/7,000rpm、212N-m/6,400~6,800rpm と多少チューンナップされている。

そこでエンジンルーム内を比較してみるが写真上の後期型は AT 車の場合で、これは写真下の前期型と見たところは違いが判らない。ただし、各種の情報によれば新型ではストラットタワーバーの取り付け位置のバルクヘッドを補強して剛性をアップしているそうだが、内部の補強は当然ながら外からは見えない。

今度は同じ後期型でも MT 車のエンジンルームを覗いてみたらば写真下のようにインレットマニフォールドが赤くて通気面積も大きそうだ。MT 車は今回の MC で 200 → 207ps、205 → 212N-m とアップしたのだが、この程度のチューンナップでも自然吸気 (NA) エンジンとしては結構大事であり、とにかく吸気側を如何にスムースにして多くの空気を取り入れるか、という地道な努力が必要となる。これがターボエンジンとなると話は結構簡単でBMW やメルセデスベンツなどがやっているように、殆ど同じエンジンの過給圧を変えるだけ、すなわち主に電子制御のプログラムを変えるだけで大幅なパワーアップが出来てしまう訳で、その意味では今時正攻法の 86 を量産しているトヨタは貴重な存在だ。というか実際にはスバルの OEM 供給なのだが、まあそれは置いておいて‥‥。

そしてブレーキは

これも前期型と変わらず、ということはフロントには2ピストンキャリパーを奢っているというこのクラスのクルマにしては充分すぎる容量を持っている。リアキャリパーはボディ (シリンダーハウジング) の色が違うのが判るが、これはアルミ製ということだろう。

ところでこの MC 版の発売の前に各種の自動車雑誌などの記事で紹介されていたブレンボキャリパ付きのモデルは今のところカタログには載っていないが、何れ発売されるのだろう。そのブレンボキャリパーの記事を見ると赤い立派なキャリパーが写っているが、そこには "TOYOTA" とか "86" のロゴはなく、白く輝く "Brembo" の文字があった。

今度はインテリアに目を移して、先ずはシート形状から。

写真はどちらも GT のものだが、シート形状自体は変更が無いようだ。まあ細かく見ればサイドの一部に赤いレザーを使用した2トーンになっているとかの違いはあるが、実質的には同じと見てよさそうだ。このシートについては、日本車のシートとしては異例の思い入れでトヨタ系のトヨタ紡織が開発したというから、MC くらいで変更することは無いだろう。

以上2016年10月23日掲載分


既に前回述べたようにシート自体の形状は同じであり、表皮の繋ぎ方やステッチの入れ方なども同じだが、表皮の質、とりわけ色の使い方を変えることで大きくイメージを変えている。ただし写真の後期型 GT の黒/赤2トーンはオプションで標準は赤い部分も黒となっている。また写真ではアルカンターラ風に見える座面センターも実はファブリックを使用している。

こちらはトップグレードの GT Limited で、新型の座面センターのアルカンターラには小さな穴 (通気孔?) が加工されている。なおブラック/タンの2トーンは GT Limited で選択できる。

ドアのインナートリムも形状に変わりは無く、上級グレードのパッドに貼られたレザーの色などが違うだけだ。

ダッシュボードは他社でも MC で変更することは先ず無い部分であり、勿論 86 だって変更がある訳が無い。その代わりに一番簡単なステアリングホイールの変更というのをやっていて、新型ではスポーク部分にスイッチ (GT 以上に標準となる) が組み込まれている。またこのステアリングホイールはトヨタ車最小径の362mm 真円タイプを使用しているという。

前期型の場合、トップグレードの GT Limited で選択できる派手目のタイプは妙にケバい赤を基調とするなど、チョイとセンスを疑いたくなるような色使いだったが、今回のイメージカラーらしきタンカラーのインテリアは大幅に改善されていて、これなら長年身を粉にして家族の為に働いてきたお父さんが定年退職金の一部で老後の楽しみに買うクルマ、としても勧められる。えっ?定年退職したって年金は殆ど出ないから、当分働くので 86 どころじゃあ無い、って? し、しかも今までと同じ仕事をするのに、非正規扱いで収入は4分の1、だって!

以上2016年10月24日掲載分


次にセンタークラスターを比べてみるが、まあ下の写真を見れば判るように前後期の区別は殆どつかない。強いて言えば右下の前期型の写真には赤いシフトノブが写っているから、これは確か後期型には無いはずだから‥‥とかいうマニアもいるかもしれない。

センターコンソールは最初にマニュアルモデルで比較すれば‥‥これまた何の変更も無し。尤も変える必要は全く無いからこれで十分だが。

そして AT では‥‥これまた同じだが、前述のように前期には真っ赤なシフトノブやパーキングブレーキレバーなどのオプションがあったが、これは決してセンスの良いモノではなかった。

メーターは中央の大径メーターが回転計で左が速度計という点では同じだが、右側は前期型の集合メーター (燃料、水温) に対して後期型は電源オフでは真っ黒けで何も見えない。実はこれは流行りの TFT カラー液晶パネルとなっているようだ。

そこで電源をオンにすると右側の液晶部分には燃料、水温に加えて油温計も現れている。勿論ソフトによって表示を変えるのは簡単だから、設定によって各種の情報が表示される事になる。なお細かいところでは回転系の0位置が少しずれて真下になっている。

そして性能には特に関係無いとはいえ、この手のスポーツタイプではやはりアルミスポーツペダルは重要だが、AT の場合の前後期を比べてみると、僅かにアクセルペダルの形状が変わっている。写真の AT ではどうでも良いが MT の場合は ヒールアンドトウ を行うには前期型の形状のほうが理にかなっているのだが、止めてしまったのはコストダウンか、それとも他に理由があるのか? 例えばブレーキ踏む時に引っかかって危険だとか言う場違いな奴がいたとか‥‥しかもオーナーではなく試乗しただけのウィッシュオーナーとか‥‥

そして下は後期型の MT で、これもアクセルペダルはストレートに変更されている。

今回の 86 のマイナーチェンジは目に見える部分では殆ど違いがないが、目に見えないボディー内部等では大幅に補強が実施されて剛性アップによる走りの向上が得られたということだ。

何れにしても今や貴重な RWD スポーツクーペで、しかもエンジンは自然吸気の高回転型という殆ど絶滅危惧種もいいところだが、今後も長寿命で生き残ってもらいたいものだ。えっ、お前より86の方が長生きするぞ、って、確かに 86 は内部被曝してもへいっちゃらだし。

以上2016年10月25日掲載分