前回取り上げたメルセデスベンツ E クラスは BMW 5シリーズと共に裕福な家族から見れば定番ファミリーカー!だが、普通の家族にとっての定番ファミリーカーと言えばミドルクラスのミニバンであり、具体的には日産 セレナとトヨタ ノア 3兄弟というところだ。実際にはこれにホンダ ステップワゴンが加わるが敢えて2強の対決といえばやはりセレナとノアだろう。それにハッキリ言ってホンダのユーザーは普通の家族と言えるかどうか?‥‥なんていうとクレームが付きそうだが。
先ずはセレナの新旧比較から始めると、新型セレナ C27 は先代 C26 に比べて先進の装備が投入されていて、その面では確かに大いなる進歩だ。しかし下表を見れば判るように、ホイールベースやトレッドに変わりは無くエンジンも同じ。ということは最も基本となるシャーシーとエンジンはキャリーオーバー (要するに使い回し) している訳で、本当のフルチェンジと言えるかどうか、何てケチなことは言いませんぞ。何しろ日産としては久々のフルチェンジであり、ディーラー筋の期待も極め大きいから、ここで走りのための中身は旧型とおんなじ‥‥何て言ったらマズいっしょう。
とはいえ、今回一新されたものとしてはハイブリッド用のモーターがある。実は今回のセレナは最もベースとなるグレードを除いて全てがハイブリッドなのだ。それなのにハイブリッドと言わない奥ゆかしさ! 何っ? 2.6ps のモーターじゃあ、恥ずかしくてハイブリッドなんて言えない、って?
それでもモーターは違うとはいえ殆ど似たような性能の先代では "S-Hybrid" 何て呼んでいたが、今回辞めたのは、やっぱり恥ずかしかったのだろうか。
ノア3兄弟についてはセレナが (一応) ハイブリッドと言うとでこちらも同じくハイブリッドとし、3兄弟の中でも最も売れているヴォクシーを選んでみた。なお、ヴォクシーはネッツ店、ノアはカローラ店、そしてエスクァイアはトヨタおよびトヨペット店が販売していて、2015年の販売台数はそれぞれ 92,546台、53,965台、59,034台となっている。エスクァイアは2系列だから1系列では約3万台であり、結局その比率はネッツ:カローラ:トヨタ&トヨペット=3:2:1という事になり、高級車販売店ほど売れていないとう事実が判った。
そうは言ってもヴォクシーハイブリッドは300万円からであり、ハッキリ言ってネッツ店でそんなに売れるのが不思議だ、と思って良く良く調べてみたらばヴォクシーだってガソリンの低グレードモデルならば228万円からあるから、その手のモデルなら売れてもおかしくはない。その意味ではセレナのボトムグレードが243.5万円というのはチョイと高いし、ホンダ ステップワゴンの228.8万円よりというのはトヨタに真っ向から勝負を挑んでいるのだろう。
おっと、こういう一覧表にスバル車が無いと早速スバヲタさんから怒りのメールが届くのだが、今回はといえば‥‥スバルにはミニバンは無かった。それでは早速エクステリアを眺める事にする。今回の写真のクルマは、ハイウェイスターG プロパイロットエディション 2WD で価格は 317.6万円と結構なお値段だった。
新型のエクテリアはキープコンセプトで、オーナーでもなければひと目で新旧の差は判らないだろう。
以上2016年9月11日掲載分
ミニバンだから当然ながら幅 (1,740㎜) よりも高さ (1,865㎜) の方が大きく、写真も横長サイズでは全く無意味で、下のように正方形としてみた。スタイルは勿論キープコンセプトだが、まあ他にどうデザインしようもない‥‥ということかも知れない。
サイドビューは壁みたいで16インチのタイヤが小さく見える。ライバルのヴォクシーはこれほどではなかった記憶があるのはセレナの全高 (1,865㎜) が 40㎜ 高いためだろう。当然ながら立体駐車場には入らない。
サードシートを使用している状態ではリアラゲージスペースは殆ど無い。今回のセレナの特徴の一つにリアゲードが上半分だけ単独で開くことが出来るようになった事で、これは高い (長い) ゲート全体を開けるのは後方スペースが足りないために上だけなら何とか開けられる、という便利さだ。
ヘットライトは写真の "G" では LED ランプが標準となる。これが"S” と ”X ” ではハロゲンランプに格下げされる。リアには ”PURE DRIVE" および "S-HYBRID" と書かれたブルーとシルバーのツートーンエンブレム、要するにエコとかクリーンを表すエンブレムが付いている。
あれっ、先代まで使っていた S-HYBRID という文字は今回は価格表にも見当たらなかったが、エンブレムには残っていたのだった
エンジンは先代からの使い回しで 4気筒 2.0L 自然吸気の MR20DD を使用しているが、これはエクストレイルとも共通だ。
エンジンのトップカバーは無く、手前に伸びる4本のインマニが目に付く。エクストレイルと同じエンジンとはいえ見た目には全く違うモノに見える。
キャップレスガソリン給油口は今回の "売り" の一つらしいが、これってBMW 5シリースが十数年前に採用していた筈なので、決して新しいモノでも無いと思うが‥‥。
標準の195/60R16 はスポーティーなデザインのアルミホイールと組み合わされているが、これはハイウェイスター G のみで、他のグレードでは15インチとなり、下から2グレードは鉄チンホイールとなる。
ブレーキはトップモデルのハイウェイスター G にはフロントにアルミ対向ピストンを装着している‥‥わけも無く、それでもフロントには2ポットキャリパーを使用している。リアはシングルピストンだが、一昔前ならドラムブレーキが当たり前であり、その面では進化している事になる。
以上2016年9月12日掲載分
ミニバンといえばスペースユーティリティが全てというくらいのクルマだから、室内、取り分け長手方向のスペースは少なくともセカンドシートまでなら充分に余裕がある。
サードシートは大人が長時間座るのは厳しいかもしれないが、足元の広さなども充分に実用になる程度は確保できる。ただし、これはセカンドシートの位置を適度に前寄りとした場合で、写真上のように余裕の足元を求めると三列目の足元はギリギリになる。
えっ? 上の写真の状態で3列目を撮ったんじゃないの? って、あっ、いやまあ、その‥‥。
写真下のシート表皮はハイウェイスター用の為にツートーンでステッチも入っている。なおオプションでプレミアムインテリアというのを注文すると、合成皮革のコンビ表皮も選択できる。プレアムだよ、プレミアムっ。 その割には5.4万円と安いっ! ということは例の安っぽい合成皮革か?
シート調整は勿論手動式だが上記オプションのプレミアムインテリアでは電動シートが付いて‥‥いないっ!
フロントシートにはセカンドシートパッセンジャー用のドリンクホルダーと小さなテーブルが組み込まれていて新幹線や飛行機みたいだ。そういえば飛行機等では前席のバックレストを倒してもテーブルの角度が変わらない機構が付いているが、これにはそういう機能は無さそうだ。
ドアのインナトリムはハッキリ言ってプラスチッキーで、一体成型のコストダウン命みたいな作りが丸見えとなっている。同じ日産のミニバンでもエルグランドになるとウッドトリムやステッチの入ったレザーパッドなどセレナとは格の違いを見せつけてくれるが、あちらは今や500万円コースだから差があって当然だが。
それでもパワーウィンドウスイッチのパネルにはピアノブラックの仕上げなど、多少は高級感も持たせようと言う気持ちは伝わってくる。
こちらは下位グレードの場合で、シートにステッチは無くサイドもセンターも一体の表皮となる。ドアのアームレストに組み込まれたウィンドウスイッチ類のパネルもこちらは樹脂そのまんま。
以上2016年9月13日掲載分
大き目のディスプレイを上部に配置したセンタークラスターは最近の定番だが、速度計は何やらディスプレイ化されているが、トヨタのようなセンターメーターではなくドライバー正面に位置しているのでむしろ違和感は少ない。
ディスプレイの下にはエアコンのユニットがあるがオーディオは見当たらない。実はセレナは全てオーディオレスで写真のクルマは純正のオーディオ一体ナビ (32万円) が付いていた。
エアコンユニットを拡大すると当然ながらオートエアコンだが、温度調整は左右独立ではないようだ。
エアコンの下にはAT セレクターが配置されている。要するにミニバンによくあるインパネシフトというヤツだ。パターンは一般的な直線式だがDレンジから横に倒してマニュアルモードというのは無い。まあ CVT の SUV でマニュアルモードというのも無意味だからこれでOK。
写真のクルマは上級モデルのためにダッシュボードはパッドになっていて白いステッチまで入っているが、押して見ると僅かに柔らかい程度で何やらフェイクっぽいが、その割にはステッチが本物っぽいなど、日産のフェイク技術も進歩したものだ。
写真右下は下位モデルのダッシュボード右端で、パッドではなく硬質プラスチックにレザーのような革のシボ目をつけただけのモノで見た目も安っぽい。
メーター類は横長のフル液晶ディスプレイだが、メルセデスEクラスのフル液晶と比べると‥‥いや、これを比べるのは反則だった。なお、液晶ディスプレイだけあって表示が切り替えられ、写真下の下部は回転計を表示したところだ。
以上新型セレナの内外装を見てきたが、ミドルクラスミニバンとはいえ今や350万円もする訳で、これはクルマの適正価格と言われる年収の3分の1からすれば年収一千万円となり、う~ん皆そんなにもらっているのかなぁ? あっ、皆様の公共放送職員なら平均でもその1.5倍くらいらしい。まあ年収150万円のフリーターから携帯のワンセグを理由に聴取料を取り立てて自分らはその十倍の年収を取っている。因みに1審とはいえワンセグでの聴取料取りたては違法との判決が出ているが、裁判なんて無視とは、サッスガ隠れキムチの "犬あっち行け" !
以上2016年9月16日掲載分