最近の SUV ブーム、特に高級車の分野ではポルシェ カイエンや BMW X5など上級グレードなら一千万円を超える高価格車が都心では結構目に付くし、郊外でも決して珍しクルマではないくらいだ。そんな高級 SUV で他に思い当たるのは、この手のクルマでは本家本元のレンジローバーだが、20年ほど前に思い切った低価格化を実施して売上が向上し始めたと思いきや、故障続出という品質の悪さがバレてしまい何時しかまた以前のマイナーな存在になってしまった。
それ以外ではアウディーの Q7 が思い当たる。実は2007年に Q7 に試乗した事があるのだが、信じられないくらいにアメ車的というか緩慢な操舵性とフワフワの乗り心地など「駄目だこりゃ」ということで、それ以来アウディのSUV は全く無視している。
⇒ AUDI Q7 3.6 FSI quattor 試乗記 (2007/12/1)
そんな中で未だ試乗どころがジックリと実車を見ることさえしていなかったのが、メルセデスベンツの GLE だった。メルセデスといえば SUV というよりも本格的なクロスカントリー車であり、NATO軍の正式な軍用車でもある G ワーゲンがあり、これが逆にナンパな SUV 開発から遅れをとってしまったようにも思っている。そのメルセデスの SUV である GLE について、今回遅ればせながら写真で紹介をすることにした。
GLE のエンジンは日本では3種類が販売されていて、ベーシックな GLE350d はその名の通りでターボディーゼルエンジンを搭載している。排気量は3.0L で最高出力こそ 258ps だがターボディーゼルの強みで最大トルクは 620N-m もある。なおこの GLE350d のみがメルセデスブランドで残る2種類のガソリンエンジンモデルは何れも AMG ブランドとなり、上位モデルがV8 5.5L ターボの GLE 63S でその下にはV6 3.0L 367ps 520N-m の GLE 43 が用意されている。価格的にみると GLE63S と GLE43 はそれぞれポルシェカイエンのTurobo とSとほぼ同じ価格となっているから、これはもうガチンコのライバルという事になる。
それにしてもディーゼルの 350d 以外は全て AMG という販売戦略には驚いたが、流石のメルセデスもポルシェと比べるとワンランク落ちのイメージが有るから、ポルシェと対決するには AMG のブランドが必要だったということだろう。
それでは GLE の写真を見てゆくことにするが、今回の車両は原則として一番高価な GLE63S を使用していて、ごく一部には GLE 43 も比較のために並べておく。
アウターサイズはスペック上ではカイエンとほぼ同じで迫力も似たようなものだが、フロントは如何にもメルセデスというデザインであり、ここでも如何にもポルシェのカイエンと良い勝負だ。
まあぶっちゃけ、今回の写真は GLE63S は展示車で GLE 43 は試乗車。そしてその GLE 43 には既に試乗済なので近いうちに試乗記としてアップする予定だ。
ということで、次回からは何時ものようにエクステリア、インテリアの順で紹介する。
以上2016年6月22日掲載分
今回、先ずは真正面なら眺めてみると、これはもう誰が何と言っても ”ベンツ” 以外には考えれられないというくらいのアイデンティティの凄まじさだ。えっ、これでは AMG であることが判らない、って? あのねぇ、AMG 何てぇのは ”普通の市民” は知らないのッ!
リアだって小さいながらもベンツマークはハッキリと認識できるから、これに追従したクルマは例えヤンキーでも煽ったりはしないだろう。ベンツのデッカい SUV=危ないオーナー、というところだ。
ヘッドライトは走行状況や天候に応じて5つの機能を自動で選択する "インテリジェントライトシステム” (って MB のサイトに書いたあった) で、勿論フル LED方式だ。
リアには当然ながら GLE 63S のエンブレムがあるが、まあこれの意味を解るのは一部のクルマ好きくらいで、 ”普通の市民” には解るはずもないが‥‥。
排気管は角形のダブルがそれぞれ左右にある4本出しだが、実は出口だけのマフラーカッターで、まあ迫力はあるし高性能車っぽさも満点だから特に何も言わない事にする。フェンダーサイドには ”V8 BITURBO" のエンブレムがあるが、これもやはり ”普通の市民” には解らないから、あくまでも自己満足だが。
SUV らしくサイドには Gワーゲン譲りのステップが付いているが、それほど高い床面ではないので無くても問題無さそうで、これも気分を盛り上げるためのアイテムと思えばいい。
エンジンはV8 5.5L ターボで585ps 760N-m という凄まじいパワー&トルクを発生する。
AMG 製エンジンの証である製造を担当したマイスターのサイン入りプレートが付いている。
しかし、同じAMG モデルでも GLE 43 は上記のようなプレートは無く、言ってみれば普通のメルセデスエンジンの量産品であり何となくナンちゃってぽいから、言ってみればベンツ公認ナンちゃって AMG という感じだ。流石のベンツ様も業績アップの為にはプライドをかなぐり捨てて恥も外聞も無く、とまでは言わないが‥‥。って、言ってるじゃねぇか。
ボンネットフードの裏側には当然ながら防音材がたっぷりと使われている。
まあ GLE 63S は 1,740万円也の SUV だから価格なりのものはあるし、GLE 43 は約 600万円も安いのだから差がついて当然だが、一見すれば同じ AMG GLE で63 と 43 の違いだから大した事は無いかと思ったら大違い‥‥だった。
以上2016年6月23日掲載分
標準タイヤについては GLE 63S が 295/35R21、GLE 43 では 265/40R21 となる。GLE は SUV ということで多少の不正地走行くらいは想定しているかと思ったが、扁平率が 35 や 40 というのは不正地とは無縁のハイウェー仕様だった。
GLE 63S のホイールを覗くと赤く塗装されて AMG のロゴもついたブレーキキャリパーが見える。よく見ればフロントには立派な6ピストンと思われるアルミオポーズドキャリパーが見えるが、それに比べるとリアにはショボい鋳物製のシングルピストン片押しキャリパーで、これはチョッと情けない。
リアがこんなブレーキでも十分ということは車両の前後重量配分が結構なフロントヘビーなのだろう。
GLE 43 のブレーキは 63S とは全く異なりフロントも極普通の片押しキャリパーであり、言ってみれば普通のメルセデスであり、黒いブレーキキャリパーに書かれたロゴマークも "AMG" ではなく "Mercedes-Benz" となっているから、この面でも AMG を名乗るのは反則じゃねぇ?なんて言いたくもなる。
ドアを開けて目に入るのはドイツ車らしいインテリアで、シート形状は結構なスポーツシートという形状をしているが、まあこれは下の写真が GLE 63S という高性能モデルであることも理由だ。
シート表皮を拡大すると中々良さそうな本皮で座面両端のサポートもスポーツシートらしく峰が高い。
電動シートのポジション調整は一般的なシート側面ではなく、ここには殆ど何も無い。
ドアのインナートリムもレザーにステッチの入った表皮のパッドを多用していて、まあこれも1,740万円のクルマとしての高級感はある。
シートのポジション調整とメモリーはドアトリム上のドアノブの前方にあり、この配置は最近のメルセデスの傾向でもある。シート調整スイッチにしても、ドアノブにしても、その表面仕上も見るからに高品質という感じだが、それを言ったら 500万円のフーガだってこれに近い質感だったりするが、まあそれは気付かなかった事にしよう。
ところで今回は残念ながら GLE 43 の室内写真は撮っていなかったので600万円近い価格差が内装にどのくらい差が付いているのかは判らない。
以上2016年6月24日掲載分
ダッシュボードのレイアウトはドイツ車としては、というかメルセデスとしてはオーソドックスなものだが、SUV ということもありトップパネルの位置が高いからセンタークラスターの高さには余裕がある。
そのセンタークラスターの配置も最近の主流である最上部から飛び出したディスプレイとその下にはオーディオ用、そしてエアコン用コントローラーと続いている。
なお、センターコンソールにはAT セレクターらしきものは無い。
オーディオ用のコントロールユニットは入力装置としてメルセデスではお馴染の電話と同じテンキー (数字とアルファベット兼用) が付いている。
コンソール上には左にダイヤル式の入力デバイス、右には走行モードの切り替えスイッチが配置されているのも最近のメルセデスの定番的配置だ。
AT セレクターはステアリングコラム右側から生えたレバーを使用するのはCクラスと同様だから、メルセデスオーナーならば違和感は全く無いだろう。しかしBMW からの乗り換えだとチョイと面くらうし、スズキからの乗り換えだと‥‥いや、その前にそういう例ってあるんかいな?
ステアリングホイールやメーター類はなんてったって AMG だから、それらしきものが付いている。
63S では速度計のフルスケールは 320km/h だから、日本での合法的な走行では指針は9時の位置にも達しない。なお GLE 44 の速度計は FS が 260km/h と幾分現実的、でもないか。
コンソール後端はお馴染のリア用エアアウトレットだが、その下にはリア用のエアコン調整スイッチまで付いている。しかもBピラーにはリア用のサイドエアアウトレットまで装備されているから、マルで高級サルーンのようだが、まあ価格から言えば別荘地などのショーファードリブンでの使用でもおかしくはない。
舛添さんもこういうクルマを自腹で買って私設秘書にでも運転させれば何の問題も無かったのに、公用車なんかでプライベートの別荘に通いまくるから問題なったんだよなぁ。あっ、プライベード用にはエスティマがあったっけ。政治資金で買った99万円の中古が‥‥。しかも2台も!
既にトップページでも予告したとおりに近いうちに AMG GLE 44 の試乗記をアップするので
以上2017年12月1日掲載分
⇒ Mercedes-AMG GLE 43 試乗記 (2016/6)