B_Otaku のクルマ写真館
 BMW 7 Series

BMW のフラッグシップセダンである7シリーズが従来のF01 (ロングWBはF02*) から G11 (ロングWBはG12) へとフルモデルチェンジされたのが昨年秋であり、ボチボチ市場でも見かけそうな時期となった事もあり、そろそろこれを取り上げる事にする。

*付け加えればF03:防弾仕様、 F04:ハイブリッド

ところで新型7シリーズの開発ナンバーが従来の ”Fxx” から ”Gxx” となったわけだが、G11 ということは既に G01 があるのだろうか? ということで調べてたらば G01 は来年に発表されるであろう新型 X3 に使用されていた。開発ナンバーは開発プロジェクトが始まった時点で付与されるのが普通だから、開発開始自体はX3 の方が早くて、その時に ”Fxx” が一杯になったということだろう。まあ、しかしF01 の時はフラッグシップの7シリーズから新体系になったと思っていたが、そんな事も無いようだ。

さて、その新型のスペックを見るとサイズ的には先代 (F01) とほぼ変わることはないし、勿論ホイールベースも同一であり、要するにプラットフォームからして一新した完全なニューモデルという訳では無さそうだ。ただし、エンジンは全く型式も変わっているし排気量も微妙に違うから、これは一新されているのだろう。

ただし、車両重量を見ると先代よりも70㎏ も軽量化されているが、これはボディの一部にカーボンファイバーを採用している事で達成されているという。

ところで最大のライバルとなるメルセデスSクラスと比べると、何と価格体系が寧ろ7シリーズの方が高めに設定されているのが判る。Sクラスでは最廉価モデルは1千万円を切っているくらいだ。このクラスは長い間Sクラスの独断場であり、7シリーズはそれよりも少し安い価格設定とするのがセオリーだったのだが‥‥。

ただし、考えれてみれば S300h の998万円なんていうスーパーの刺し身みたいな値付は、もしかして法人用途として社内稟議や経理操作上のメリットがあるのかもしれない。然るに、7シリーズではこのような大企業の役員車のような用途が無いという気もするし、実際にその手の用途は多くがレクサス LSであり、それ以外ではSクラスというのが実情と思う。

なお7シリーズも追ってハイブリッドモデルが発売されるようだが、既にSクラスはS300h 、S400h とう下位モデルでは全てハイブリッド化されているし、燃費も7シリーズより良さそうで、これはチョイとマズいんじゃあないの?

そしてもう1台のライバルであるレクサス LS だが、こちらは当然のようにハイブリッドモデルが主流で、しかもモーター出力なんてS400h よりも一桁多いくらいだ。ただし燃費が良くないのは LS600h という名称でも判るとおりで、クラスとしては 760i とか S600 というクラスのためだ。

以上2016年6月2日掲載分




今回は新型7シリーズ (G11) のエクステリアを先代 (F01) と比較しながら紹介する (グレードは何れも 740i )。

写真上の角度から見ると先代からの大きな違いは無く、言ってみればキープコンセプトとなっているが、新型は最近の傾向であるボンネット上面がもっこりと盛り上がったラインとなっている。これは多分人身事故で歩行者がボンネット上に跳ね上げらた時の衝撃吸収エリアを確保しているのだろう。

写真下の角度から見てもやはりキープコンセプトとなっている。

7シリースのように多くが法人名義 (事実上個人でも) の場合は償却が終わった時点での買い替えであり、タイミングによってマルでデザインが変わってしまうのは好ましくないのだろう。尤も欧州では大企業の多くだって7シリーズを使っているとも思われるから尚更か。

えっ、ウチじゃあ年度末に儲かり過ぎたのが判って急遽2年で買い換えた、って?

フロントグリルは当然ながらキドニーグリルだが、先代よりも更に大きくなっている。またヘッドライトも最近の BMW のトレンドとも言える左右に長くてグリルにまで至るようなデザインとなっている。とはいえ、やっぱり普通の人には違いは判らないだろう。

リアについてもテールライトというかリアコンビネーションライトというか、まあそれの形状が変わってはいるが、それらを繋ぐラインがクロームメッキされているなど従来からの7シリーズの特徴はしっかりと受け継いでいる。

新型740i の 58B30A エンジンは直6 ターボ 2,997cc 326ps/5,500rpm 450N-m/1,380 ~ 5,000rpmを発生する。このエンジンは他に340i ツーリングにも搭載済みだが、今後の6気筒 3.0L モデルは順次このエンジンに変更となる筈だ。

先代740i のN55B30A では 直6 ターボ は変わらないが同じ3.0L といっても 2,979cc と排気量が異なっていて、要するに全く違うエンジンということになる。何よりエンジン形式が先代は N55 であり、新型のB58 という型式は全く新たな体系であることを示している。なお先代のスペックは320ps/5,800rpm 450N-m/1,300~4,500rpm と僅かに異なっている。

今回の新型エンジンは6気筒ディーゼルのB57、3気筒のB37、4気筒のB47とボア、ストローク、ボアピッチ、そしてシリンダーブロックも共通という所謂モジュラーシステムであり、言ってみれば6気筒を半分にちょん切ったのが3気筒という事になる。BMW もそこまでシステムとしての共通化を図りコストダウンをしている事になる。プレミアムカーとはいえ競争は激しいということだ。

以上2016年6月3日掲載分



今回はドア開けて室内が見えたところから始める。

一見したところでは先代 (F01、写真下) との大きな違いは見当たらない。

しかしシートを拡大してみると

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座面の形状などは変更されているし、表皮も新型は凝った裁断になっている。とはいえどちらも表皮の質感は極めて良いが、何れも 740i という7シリーズとしては決して上級とは言えないグレードでの比較であり、これが最上級グレードでは‥‥はて、どうなるのだろうか?

シートポジションの操作パネルとスイッチは基本的に同じような機能となっているが、パネル自体は全く異なる形状に変更されている。先代 (F01、写真右上) との違いはスイッチ全体がメッキ処理されたことだし、パネル上部にもクロームのラインが入っているなど、光物が増えている。

ドアのインナーパネルのデザインも変更されている、って、フルモデルチェンジなんだから当たり前だが。

とは言っても、アームレストにあるパーウィンドウスイッチ類の側面下側にはシートポジションメモリーがあるなど配置自体は変わらないから、旧モデルからの乗り代えでも迷う事は無い。

それで質感はといえば、当然ながらBMW セダンのフラッグシップだからシート同様に高級な質感に文句は無い。

因みに庶民のクルマの代表であるトヨタ プリウス (写真下) と比較すると‥‥まあ、機能に変わりはないとは言える。

えっ、300万円近いプリウスを買えるのは、庶民でも上の方だって? 確かに今の日本の現状はそのとおりだった。

ということで、今後ますます増えるであろう階層の乗るクルマは‥‥これっ⇒

以上2016年6月7日掲載分



今回は最終回としてインテリアを引き続き紹介する。

最初にダッシュボードを基本とするフロント全景を比べてみると‥‥

新型 (G11) は最近のトレンドであるダッシュボード中央部天板からディスプレイが飛び出すようなデザインになっていて、さらにセンタークラスターも目一杯上部に寄せている。

対する先代 (F01) は当時としては先進的だった上部横長のディスプレイを備えたセンタークラスターも、今では多少のレトロ感さえ感じるが、しかし良く言えばオーソドックスな高級感であり、対する新型はモダーンといえば聞こえは良いが、7シリーズ独特の高級感溢れる雰囲気という意味では新型より優っているようにも感じる。

新型ではもはやセンタークラスターというよりも、ダッシュボードのセンターにオーディオ & エアコン操作パネルがぶら下がっているという感じだ。その為に先代ではフロアーコンソールにまで繋がるセンタークラスターのウッドパネルがこれぞBMWのフラッグシップという雰囲気を出していたが、新型ではそれが無くなり、また半つや消しとは言うもののいわゆる光物が多いのも気になるところだ。

フロアーコンソールについては機器類の配置は基本的に同じだし、ウッドパネルの面積も同等だからセンタークラスター程の差は無いが、それでも iDrive のコマンドダイヤル周辺のスイッチやAT セレクターのベースパネルでは、やっぱり ”光物” が多くなってはいる。

 

ダッシュボードの右端にはドイツ車の定番である回転式のライトスイッチがあるが、機能は変わらないがデザイン的には多少の変更がなされているし、そのスイッチ自体も他の部分同様に光物が増えている。

フロントのコンソール後端はこれまた定番のリア用エアアウトレットに加えて後席用エアコンの調整パネルもあるなど、両車の機能はこれまた大きく変わらないが、当然ながら細かいデザインでは変更がある。

 

流石にこのクラスになると、リア用のエアアウトレットは写真上のコンソール後端に加えて両サイドのBピラーにも組み込まれている。そしてこの部分もデザインは変更されているが、これまた機能的には変わらない。

なお BMW サルーンでこの位置にもエアアウトレットがあるのは7シリーズのみであり、5シリーズ以下には採用されていないのが、7シリーズが後席も重視されていることの証でもある。

 

以前はパッとしなかった7シリーズだが、先々代の E65 での劇的な進化からそれまではどうしても追い付く事が出来なかったメルセデスベンツSクラスに徐々に迫っていったのは周知の事と思う。そして7シリーズがSクラスと大いに異なるのが、オーナー経営者向けの自ら運転もする高級車というイメージであり、これは十数年前にもてはやされた六本木辺りの IT 長者のイメージと重なったこともあるなど、7シリーズにとっては幸運な条件も結構あった。

とはいえ、7シリーズオーナーの新しい世代の経営者というイメージは、言い換えれば成り上がりとも取れる訳で、そんな事もあり7シリーズの予算ならば5シリーズベースで価格的にも同列であるM5やアルピナB5 などに目が行くオーナーも多いようだ。まあ、7シリーズを買える財力があるオーナーが自らの考えて選ぶわけだら、外野の我々からすれば「好きなのを買っあらぁ」というところだが‥‥

と、僻んでおいて勝ち組読者に優越感を与えるのも、このサイトのビジネスモデルなのだ。へっ、へっ、へっ。

以上2016年6月9日掲載分