Corolla Fielder 18S "Aerotourer" 前編
※検索エンジン経由でノーフレームの場合はここをクリックしてください。

カローラといえば日本で一番売れているクルマだったが、あっという間にプリウスにその座を奪われてしまい、今や只のクルマどころか時代遅れのお荷物になってしまった。そのカローラがFMCされて、1966年の初代から通算して11代目のE160系となった。 全盛期にはカローラといえばセダンのことを指していたが、今ではセダンがアクシオ、ステーションワゴンがフィールダーというサブネームで区別されている。 そしてセダンは旧カローラからの代替の年寄り専用車、若しくはレンタカー用となってしまい、寧ろワゴンのフィールダーが一般ユーザーに対する売れ筋となっている。そこで、今回はワゴンの最上級モデルである18Sに試乗してみた。

先ずは先代との違いを比べてみると、全長は120mmも伸びたが、ホイールベースは同じ。そして、全幅は最近珍しくなった5ナンバーサイズの1,695mmを踏襲している。と、ここまでのスペックでは基本的に変わらないように思えるが、何故か車両重量が80kgも軽量化されている。実は先代がMCプラットフォームを 使用していたのに対して、今回の新型はCプラットフォームに変更された。えっ?”Cプラ”って、もしかしてヴィッツからの流用?と疑問を持ったあなたは、立派です。そのとおりで、今回はBセグメント用のプラットフォームに格下げとなった。尤も、ライバルのニッサンは以前からマーチのプラットフォームを上級モデルに流用していたから、別に目くじらを立てることでもないのだが。

他社のライバルと比較すると、ウィングロードはスペック上はかなり近いが、重量は旧フィールダーと同様に80kgも重たい。 以前はこのクラスではダントツの人気だったウィングロードだが、先代が低い乗用車ルックで若者向けだったものを、現行モデルへのFMCで背高のカッコ悪いデザインに改悪されるというオウンゴールというか自爆のお陰で、今ではフィールダーの数分の一しか売れない不人気車となってしまった。マツダ アクセラスポーツはサイズ的には少し大きく、特に全幅は1,755mmという国際サイズになっている。そのために、車両重量は圧倒的に重い1,330kgもある。

新型フィールダーのスタイルは写真で見ると結構背が高く見えるが、現物は結構低くてスタイルが良く見える。これは兄弟車であるセダンのカローラ アクシスが何となく寸詰まりでカッコが悪いのと対照的だ。 また、ライバルであるニッサン ウィングロードと比べればフィールダーの方が明らかにカッコ良い。ところで、この新型カローラのデザインを、フェンダーアーチが如何したの、キャラクターラインをフォグランプに繋げたからナンだとか、まあゴチャゴチャ言っている輩もいるみたいだが、そんな能書きは置いておいて、実際に見た新型のデザインは決して悪くないと思う。

リアゲードには随分と立派なエンブレムが張ってあり、特に赤いAEROTOURERというエンブレムは中々の高級感だ。まあ、だからどうした、という程度だが。



フィールダー18Sのエンジンは先代からの使い回しで、スペック上では僅かにパワーとトルクを下げて、低回転域の特性向上を図ったようだ。 リアのラッゲージルームは意外と奥行きがあるのは先代に対して全長を120mm伸ばしたご利益か?それに加えてショボいリアサス(トーションバー)のお陰でタイヤハウスの出っ張りが少ないことも功を奏している。

 
 

今度はドアを開けて室内を見てみると、最初に目に入ったのはブラックのインテリアで、実はフィールダーの場合はブラックのみが設定されている。 これに対して、セダンのアクシオはライトグレーとベージュの2種類が設定されているが、ブラックは無い。

シート表皮はカタログによるとスエード調トリコット(スポーツ)と表現されているが、 写真のように欧州車(の安モノ)的なファブリックで、カローラという記号から連想される毛足のある暑苦しいトヨタ的高級感のある表皮ではない。と言っても、老人御用達のアクシオでは、ちゃあんとトヨタ丸出し表皮が採用されて、加齢臭満点のインテリアとなっている。 なお、新型カローラはセダンも含めてベースグレードからシートの上下調整が装備されているのは良い傾向だ。

 

ドア のインナーパネルは樹脂一体成型で、しかも硬質樹脂だから、所詮カローラというレベルだった。それでも、試乗車は最上級モデルの18Sだから、ドアノブにメッキをしたり、そのノブに繋がる水平なトリムもインパネと共通の少し高そうなものが付いているなど、初期投資 の大きい大物部品は極力共通化して、小さな部品で差別化している。この辺は流石にトヨタと感心する。
 

インパネについては、基本的には先代とイメージは変わらないが、センター最上部のエアーアウトレットの高さを低くすることで、多くのユーザーがナビを付けるであろうオーディオスペースが少し上に移動したことから、視線の移動という点では改善されている。 なお、インパネの質感、とくに天板などはシボも一見高級に見えるが、よ〜く見ればプラスチックっぽいし、指で叩くとコンコンという音がして、ソフトパッドではないことから、やっぱり所詮はカローラだった。

  

試乗した18Sは上級モデルだからオートエアコンが装備されていたが、中級以下のモデルでは当然ながらマニュアルとなる。今回の試乗車がスポーツ志向のフィールダーで、しかも最上級グレードだったからインテリアは決して安っぽいというものでも無かった。ただし、セダンのXグレードだと、確かにチャチで、もう殆どヴィッツとタメ張っている感じだが。



室内も一通り見回したところで、運転席に座ってみると 、手動とは言え上下にも調整できるシートと上下と前後に調整できるステアリングのお陰で、一応満足のゆくドライビングポジションがとれた。しかし、座り心地はといえば以前よりは大きく改善されたとは言え、そこはカローラだから、大きな期待をするとガッカリするが、このクルマは決して長距離ツアラーではないといいうことで、まあ許容範囲としておこう。

そして、エンジンを始動するのだが、この先は後編にて。

⇒後編へ