ダッシュボード上のステアリングコラムの左に隠れた位置にあるスタートボタンを押すとエンジンは何なく始動する。アイドリングは決して静かではないし振動も感じるから、この辺は安物と
割り切りが必要だ。
エンジンと共に今回のMCのハイライトである新型の6ATだが、コンソール上のATセレクターは見かけ上では前期型と変わらないが、オーナーから見ればプレートの表面処理が
違うとか、レバーのノブが違うとか言いたいであろうが、これまた金型などに変更は無さそうだ。
だから、メーカーでは恐らく前記型の図面の片隅にある一覧表を追加して表面処理の欄にピアノブラックもしくは、それに相当する社内記号を記入するだけで、部品番号も末尾に識別用の桁のみ変更する程度だろう。
話を戻して、このセレクターをDに入れて、その後方にあるレバー式のパーキングブレーキをリリースする。このレバーはちゃあんと革巻きとなっているのが嬉しいが、これはオプションのツーリングコンフォートT&Uに付いてくる。
ユックリ走り出して駐車場の出口で一時停止し、流れが途絶えたこところで左にステアリングを切って公道に出るが、操舵力は最近の車にしては珍しく低速でも重めで、しかも回した時にスムースさがなく、言ってみればステアリング系の抵抗が大きいような感じがする。それと同時に歩道の段差(といってもスロープを付けてあるのだが)を下りる時にガツンっというショックも感じることで、結構硬派な足回りのセッティングであることを感じる。
そこからハーフスロットルで加速してみるが、エンジンはモア〜っと軽快とは無縁にユックリと吹け上がり、2LのCセグメントという言葉から想像するよりは大分遅い。
次の交差点の信号待ちからの発進ではフルスロットルを踏んでみたが、エンジンはガーっと下品に唸るし、インパネを伝わって振動も感じるし、その割りには加速は大した事は無く、1.5L級ならともかく本当に2Lなのかと疑いたくなる程だった。
この緩慢さはエンジンの改良だけで低燃費を狙ったことが原因か、とも考えて、もしかするとエコモードみたいな切り替えがあって、それをスポーツかなんかに切り替えると、まるで違う特性になるのかと期待したが、そんなモード切替は存在しなかった。
車両重量が1,330kgに対してエンジンの最高出力は154psだから、パワーウェイトレシオは8.6kg/psと決して悪くはない筈だし、前期型よりも条件が良いのに、実際に体感する加速感は2年前に試乗した前期型20Sの方が勝っているんじゃあないか、なんて思ってしまう状況だった。
2年前に前期型に試乗したときのハイライトはアイドリングストップ機能であり今回も当然装備されていたのだが、何故か試乗中には一回も動作しなかった。ダッシュボード右端には、この機能のキャンセルスイッチがあるが、確認してもチャンセル状態にはなっていなかったから、単に作動条件を満たせなかったのだろう。
アクセラ 20S-SKYACTIVのミッションはCVTが当然のこのクラスでは珍しくトルコン式のATであり、しかも6速だから、その点ではCVT嫌いのユーザーにも満足が出来るだろう。街中を40〜50km/hで巡航中にスロットルを
強く踏み込んでキックダウンをしてみると、少し遅れてからシフトダウンが起こり、更にエンジンがムオーッと緩慢に吹け上がって回転が合わされる。
これは言い換えればシフトショックが無くスムースな変速特性ということも出来るが、最近の出来の良い欧州車などはもっとスムースさと迅速さを兼ね備えているのだが・・・・。なお、試乗車には立派なステアリングホイールに色々スイッチは付いているし、裏側にはパドルスイッチ(後で調べたらパドルではなく押し引きのスイッチだった)が仕込んであった。が、今回は時間の関係でマニュアルモードは試さなかった。まあ、このエンジンでは手動でカチャカチャやっても意味が無さそうだが。
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