TOYOTA AQUA (前記型) 後編
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ATセレクターはプリウスのようなフルエレキの単なるスイッチではなく、メカと連動しているオーソドックスなレバー式となっているので、ブレーキを踏んだままでこれをDに入れる。次にセンターコンソール手前のオーソドックスなパーキングブレーキレバーを解除してブレーキから足を放すが、殆どクリープはしなかった。そこで
僅かにアクセルを踏むと、クルマは無音で走り出したので、そのままユックリと駐車場を移動する。公道の前で一旦停止してから、運良くクルマはいなかったので左にフルステアして、10m程で赤信号により停車した。次の青信号でユックリと左折して幹線道路に出たとこりで少しアクセルを踏んでみる。ハイブリッド車の場合、例えば現行プリウスなどは、電気モーターの特性から低速でのトルクが思いの
外大きいのを感じるのだが、このアクアの場合はハイブリッド車らしいトルク感に乏し
く、最初からちょいと期待外れを感じてしまう。
5分ほど走ってみたところで、EVモードを試してみることにする。まずスイッチを探すと、コンソール上の手前で低い位置にあり、視線移動が大き過ぎてこれは走行中での使用は危険という状況で、事実上停止状態で無いと使えない代物だった。と、いいながらも、手探りでスイッチを押してみたらば、ピーッという警告のような音がして、どうも拒否されたようだ。そこで正面のセンターメーターの中にあるバッテリー容量表示らしきものを見たらば、下から1/4くらいを指していたから、これは電池の充電容量不足でEVモードは使えない状況なのだろう。その後15分ほど走ったら充電容量の表示が半分くらいになったので再度EVモードのボタンを押したら、今度はセンターのディスプレイにEV MODEの表示が出た。しかし、1分程 の走行でまたキャンセルされてしまい、この時の容量表示は半分を切っていた。 今度はEVスイッチの奥にあるECO MODEスイッチを押してみる。今までの経験では最近のクルマのECOモードというのは内外を問わず燃費命で極端にトロくて 、とても使う気にならない場合が殆どだが、アクアのECOモードは意外にノーマルとの大きな差はなかった。まあ、ノーマルでもトロいから、それが更にトロくなったとしも大した違いに感じなかったのかもしれない。 走行中、うまい具合に先頭で赤信号に引っかかったために、青信号での発進時にフルスロットルを試すことにする。ここは片側3車線の幹線道路で、それっ、とばかりにスロットルペダルを目一杯踏むと、クルマは加速しだすが前述のように電気モーター特有の強大なトルク感はないままにコンパクトカー丸出しの加速をする。そしてインパネの壁の向こうからヴィーンという音が聞こえ、これは何かと思ったらどうやら必死で回っているエンジンの音のようだ。ハイブリッド車の最大のメリットといえば燃費の良さだが、もう一つのメリットは電気モーターの特性による絶大な低速トルクだが、アクアの場合は後者のメリットは感じられない。まあ、ハーフスロットルの状況から想像はしていたが・・・。
アクアの乗り心地は一言でいえば固くて、路面の細かい凹凸まで常に拾ってガタガタと体に伝わってくる。と、書くと、その分のメリットとして安定性が良いかと思えば全く逆で、地に足が付いていないというか、何とも不安定な挙動をする。これは以前の簡易試乗記でボロクソの評価となったウィッシュの感覚と似ている。とはいえ、流石にウィッシュ程には酷くはないが、どうもトヨタの悪い面が出ているようだ。おまけに、ステアリングは緩慢で、しかも全体に捩れによる遅れが感じられるという、いかにも剛性の無さがハッキリわかるような代物だった。
こんな状況だから、少し速めの速度でコーナーリング特性を試してみる、なんてことは恐ろしくて実施する気は起こらなかったが、一度だけチョッとチャレンジしてみたが、この不正確なステアリング系に加えて今時珍しい、昔のFFを思い出すようなアンダーステアを感じるという結果になった。妙に固めすぎでマトモにグリップしないサスとグニョグニョの操舵系、
強いアンダーステア特性等、もう言うことなしの駄目クルマという、なんとも期待を裏切る結果だった。
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注記:この試乗記は2012年2月現在の内容です。
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