スイフトの操舵力は結構軽く、決して正確でもないしクイックでもないが、この手のコンパクトカーとしては標準的だ。要するに世間の一部で噂されているような、国産コンパクトハッチではダントツ、という程では無い。
最近のスズキはワゴンRを初めとする軽でも、結構安定性のある走りをするようになったから、それなりの技術を身につけたのだろう。
だから、スイフトだって決して悪くはないのだが、普通車となれば他社だって長年のノウハウがあるから、例えば新型マーチに比べて、スイフトが圧倒的に勝るかといえば、そんな事は無い。
乗り心地は適度に硬く、安定性という面では特に文句は無いし、乗り心地もコンパクトハッチとしては良いほうだろう。
同じスズキのスプラッシュの場合は極端に固めのサスだった。以前トヨタが英国から輸入していたアヴェンシスも同様だったから、これは安物欧州車の特徴なのかもしれない。
それに比べればある程度乗り心地に振ったスイフトのチューニングは正解だろう。
ブレーキについても、このところ進歩の著しい国産車としては標準的なもので特に問題はなく、軽い踏力でよく効く。
そこで念のためにキャリパーを覗いてみようとホイールを見たらば、鉄っチンホイールとホイールキャップにガードされて見えなかった。
世間の噂さでは結句絶賛されているニュースイフトだが、試乗の結果は噂
ほどではなかった。これはどういう訳だろうと考えてみたが、判らない。そこで雑誌やWEBで調べてみたら、CVTについてはマニュアルモードにすると実にスポーティーな運転が出来るという記述を見て、まてよ、今回のモデルにはマニュアルモードもパドルスイッチも無かったぞ?
と、いう訳でカタログを見たらば、そういうことの出来るのは最上級グレードのXSというモデル(2WDで147.5万円)のみだった。しかも、モデルによってはリアもディスクブレーキが付くのに、今回試乗したベースモデルのX
G(2WD、124.4万円)はドラムブレーキだとか、
XGが175/60R15に鉄っちんホイールというのに対して、XSは185/55R16にアルミホイールなど、これは内容的に違うクルマといえるのではないか?という、疑問が湧いてきた。
なお、スイフトにはグレードによっては今時貴重な5MTの設定がある。MTならば出来の悪いCVT制御ロジックからは開放されるから、もしかして、
XGでも結構イケルかもしれないが、場合によっては、例えばティーダのMTのようにレスポンスの悪いエンジンを、ただMTにしただけでは何のためのマニュアル操作かと言いたくなるから、安易には言えないが
・・・・。
と、言う訳で、これはリベンジが必要なのだが、現実にXSの試乗車が見当たらない。殆どがXGで一部中間グレードのXLの試乗車があるが、XSは無い。聞くところによると、発売前の予測ではXLが売れ筋と見ていたが、蓋を開けたら何とXSが一番売れてしまい、XLの在庫を抱えながら売り物のXSが無くて、バックオーダーを抱えるという状況らしい。
ところで、スイフトといえば所謂スイスポに期待をするだろう。しかし、今のところは望み薄だそうで、ここ1年くらいの間には出そうも無い。
ということで、機会があったら評判の良いXSに乗ってみることにしよう。
なお、Bセグメントの王者的存在になった新型ポロと比べてどうかといえば、まあ比べる方が間違っている、と言ってしまいたいが、価格を考えればスイフトだって悪くは無い・・・・と言う事にしておこう。
いや、もしかしてXSならポロと対抗できるレベルなのだろうか?
ところで、ディーラーで聞いた話では、元々スイフトがヴィッツやマーチと競合する事は無かったそうだ。やっぱり、トヨタやニッサンのユーザーはスズキディーラーを訪れることはないのだろう。
しかし、初代スイフトに比べて圧倒的に進化した先代スイフトは、国内売り上げも大いに伸びたのだが、その分は何処が減ったのだろうか?これは結構興味がある。
注記:この試乗記は2010年10月現在の内容です。
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