スバル第4のモデルであるエクシーガが遂に発売となった。今回は最上位グレードの2.0GTに試乗してみた。エクシーガの外観はレガシィの雰囲気を色濃く残しているのは、既にある種のブランドとなっているレガシィツーリングワゴンのイメージを強くして、エクシーガの走りとプレミアム性を強調しているのだろう。大きさはレガシィに比べれば大きいし、ライバルであろうオデッセイと比べれはコンパクトに見える。
エクシーガの前後方向の室内寸法の余裕は驚くほどで、3列全てのシートに身長175cm級の乗客が座っても、それぞれ膝元の余裕は充分に確保出来ているから、少なくとも6人の大人が乗って
の長距離移動が可能となる。
今回試乗したのは
上級モデルの2.0GTだったことから、
シート表皮は座面がファブリックでサイドが合成皮革となっている。少し前まではスバルのシートといえば、一般的に出来の悪い国産車のシートの中でも極めつけの評判の悪さで有名だった。それが、現行インプレッサからは劇的に進歩して、その後のフォレスターもインプレッサと同様のシートで、面目
一新となったが、このエクシーガのシートもこれらと同等の出来で、スバルのアキレス腱の一つであるシート問題は、ほぼ解決されたようだ。
内装については、イマイチ垢抜けないのはスバルの常だから我慢をするとして、フォレスターのように先行のインプレッサとダッシュボードを共有するなどということ
はなく、エクシーガ独自の内装デザインとなっている。試乗車は木目(風)パネルにグレーポプラ(風)を使ったりと努力はしているようだ。正面左側のブローブボックス上部に
は蓋のない棚のような部分があり、これがエクシーガのダッシュボードを特徴付けている。しかし、蓋のない棚の使い道はイマイチ判らない。
インテリジェントキーとスターターボタンという、現代のクルマの定番装備でエンジンを始動すると、多少長いクランキングの後にエンジンは始動した。アイドリングはトヨタ車ほどには静かではないものの、気になる音も振動も感じられない。ATセレクターをDに入れて、プッシュ/プッシュ式のパーキングブレーキを解除して走り出す。このクルマに
はインプレッサでもお馴染みの、走行モードを選択できる
Si−DRIVEが装着されているので、先ずはエコドライブの”i”モードで走ってみると、予想どおりにトロいレスポンスで、幾ら省エネとはいえ個人的には使いたくない。と、なれば即”S”に切り替えてみれば、これが本来の2.0GTの特性だろうというレスポンス
になった。
2.0GTのエンジンはお馴染みの水平対向4気筒、2.0ターボで、これはフォレスターとほぼ同じとなる。最大出力は225ps/5600rpm、最大トルクは33.2kg・m/4400rpmとレガシィGTの260ps(AT)と比べるとデチューンされており、フォレスターXTの230psに近い。試乗車の車両重量は1590kgとレガシィGT
ツーリングワゴンの1480kgに比べて100kg以上も重く、しかもパワーも抑えてあるから、ターボエンジンを持ってしても決してバックレストに上体が押し付けられるような強烈な加速
を期待してはならない。勿論、普通に使うには充分にパワフルだが。
最近のスバル各車の乗り心地はしなやかで、国産車としてはトップクラスの乗り心地と安定性を両立しているが、エクシーガの乗り心地も予想したとおりで、
充分に満足できるレベルにある。路面の凸凹もすんなりと吸収するし、大きなドンガラのボディにしては剛性感も充分で、デカいボディが捩れるような雰囲気は感じられない。それでは、大柄なワゴンボディにも関らず金庫のような剛性の塊に感じるBMW5シリーズワゴンと比べたら・・・・・・・残念ながら、全く
世界が違う。当たり前といえば、当たり前だが。
今回はワインディングロードを試すほどの時間も場所もなかったが、チョッとした道路上のカーブや交差点の右左折では、中々安定した旋回を見せてくれたが、これも、あっと驚く素晴らしさ・・・・・という程ではない。
ブレーキは鋳鉄のフローティングキャリパーではあるが、フロントには2ピストンを奢っているし、リアだってNAのベースグレードも含めて全車にディスクブレーキが標準で装着されている。そしてブレーキの効きも標準的な国産車以上だから、通常の使用では全く問題ない。度々述べているように、今や国産車のブレーキ性能は、プレミアムブランドと呼ばれるベンツ・ビーエムの類
は別格としても、普通の欧州車と比べるならば、勝るとも劣らないどころが、充分に勝っていると言っても言い過ぎではレベルに到達していると思う。
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エクシーガのライバルはといえば、先ずはオデッセィが脳裏に浮かぶし、あとはMarkX ZIOというところだろうか。そこでスペックで比較してみると、この3車は大きさ的には同等だし、車両重量も似たようなものだが、その中ではエクシーガのFFモデルが、他社よりも100kg以上も軽い。このFFモデルについては後ほど触れる事にする。
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EXIGA |
EXIGA |
Mark X ZIO |
Odyssey |
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2.0GT |
2.0i |
240 |
2.4S |
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寸法・重量・乗車定員 |
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全長(m) |
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4.740 |
4.740 |
4.695 |
4.770 |
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全幅(m) |
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1.775 |
1.775 |
1.785 |
1.800 |
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全高(m) |
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1.660 |
1.660 |
1.550 |
1.550 |
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ホイールベース(m) |
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2.750 |
2.750 |
2.780 |
2.830 |
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最小回転半径(m) |
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5.5 |
5.5 |
5.5 |
5.4 |
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車両重量(kg) |
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1,590 |
1,480 |
1,570 |
1,600 |
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乗車定員(名) |
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7 |
7 |
7
|
7 |
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エンジン・トランスミッション |
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エンジン種類 |
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水4 DOHC |
水4 DOHC |
直4 DOHC |
直4 DOHC |
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総排気量(cm3) |
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1,994 |
1,994 |
2,362 |
2,362 |
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最高出力(ps/rpm) |
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225/5,600 |
148/6,000 |
163/6,000 |
170/6,000 |
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最大トルク(kg・m/rpm) |
33.2/4,400 |
19.5/3,200 |
22.6/4,000 |
22.8/4,0800 |
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トランスミッション |
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5AT |
4AT |
CVT |
5AT |
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駆動方式 |
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AWD |
FF |
FF |
FF |
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サスペンション・タイヤ |
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サスペンション方式 |
前 |
ストラット |
ストラット |
ストラット |
ストラット |
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後 |
ダブルウィッシュボーン |
ダブルウィッシュボーン |
ダブルウィッシュボーン |
トーションビーム |
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タイヤ寸法 |
前 |
215/50R17 |
205/60R16 |
215/60R16 |
215/60R16 |
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後 |
215/50R17 |
205/60R16 |
215/60R16 |
215/60R16 |
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価格 |
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車両価格 |
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2,782,000 |
1,995,000 |
2,560,000 |
2,363,000 |
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備考 |
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スペックの比較ばかりやっていては、脳内オーナーの口プロレスになってしまうので、これらのクルマの走りについて簡単に比較して見ると、走る・曲がる・止まるでは圧倒的にエクシーガが勝っている。では、内装はといえば、マークXジオはトヨタ丸出しだから、それが好きな人にはピッタリだが、そういうタイプのオーナーは、この
サイトを見てはいないだろう。次にオデッセイについては、現行のアブソリュートしか知らないが、その経験からして走りという面では、個人的には全く評価していない。まあ、オデッセイについて、これ以上書くと、ホンダファンから総攻撃を喰らうといけないので止めておこう。それにしても
、コンパクトカーとして抜群に出来の良いフィットとか、走り屋御用達のタイプRとオデッセイが同じ会社のクルマであるというのは、何とも不思議だ。
エクシーガは世間の評判(取り分けスバリストの間)ではターボモデルである2.0GTよりも、自然吸気の2.0iの方が軽快だという評判だ。成る程、インプレッサでも動力性能さえ我慢すれば、
1.5ℓFFモデルのしなやかな足と軽快なハンドリングは捨て難いものがあった。と、いう事は、エクシーガの2.0iも同様かもしれないから、
これは期待が持てる。そこで、実は2.0iにも乗ってみたのだが、残念ながら試乗車は4WD(最近はAWDというようだが)で、FF
は用意されていなかった。そして、結果は何のことは無い、2.0GTの動力性能をマイルドにしたという程度で、基本的には同じ。特に軽快ではなかった。
動力性能としては、普通に走るにはコレで充分じゃないかと思う程度のトルク感はあった。以前、レガシィのNAに乗ったときに、動力性能的にはチョッと我慢の限界かと思ったのは、SOHC
(140ps)だったことも理由だろうか。しかし、スペックでは大して変わらなかったのだが
、それにしてもレガシィの2.0iの動力性能は我慢が必要なレベルだった。今回は2.0iはGTとは試乗コースが異なり、多少のワインディング(もどき)も走ってみた。結果はミニバンとしては立派な旋回性能で、下手なセダンよりも安定したコーナーリングを見せてくれた。実はAWDモデルの場合は、2.0iでも車両重量は1520kgもあり、GTとの差は70kg
。FFモデルのように110kgも軽いという訳ではないから、
物凄く軽快とはいえないのも納得できる。そうなると、FFモデルにも試乗したくなるが、どうも近所には試乗車がないようだ。
FFモデルならば車両価格200万円程度だから、これは大いなる買い得モデルで、エクシーガの一押しグレードだったりするかもしれない。
成る程、スバリスト達は見る目がある(のと、予算が少ない)ようだ。
エクシーガの乗り味は予想どおりに、3列シートのミニバンとしては期待どおりの走りを見せてくれた。
とは、言ってもセダンベースのワゴンであるレガシィ ツーリングワゴン程のスポーティー(軽快)さはないから、3列シートの必要さえなければ、何も好き好んでエクシーガを買う
事は無いだろう。しかし、小学生(状況により中学生)の子供が居て、野球とかサッカーとかの、所謂街のスポーツクラブに入っていれば、試合遠征のクルマ当番などが回ってきたりして、そんな時に目一杯で4人の子供しか運べないワゴンでは肩身が狭く
い。6人運べるストリームの親
子に白い目で見られ・・・・・と、言うほどでは無いにしろ、やはり3列シートのミニバンが必須となる。あっ、B_Otaku
の奴め、ストリーム乗りをバカにするのか!と誹謗中傷しているキミ。決してそういう訳ではないのだよ。ストリームだって、あれだけ売れてるんだから、多分良いクルマなんだろう・・・・たぶん。あっ、キミのワゴンRも良いクルマだね。でも、旧規格だからぶつけないようにね。大丈夫だよね。エアロやウィングも付いてるし、爆音マフラーもあるから、みんな近づかないもんね。でも、自爆ってえのもあるから、気をつけないと。
注記:この試乗記は2008年6月現在の内容です。
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