キューブが3代目へとフルモデルチェンジされた。外観上は一見キープコンセプトだが、実物を見れば明らかに大きくなっている。それもそのはずで、先代に対して全長が160mm、全幅が25mm、全高が10mmそれぞれ拡大されている。
キューブのバリエーションはベースグレードの15S(144.9万円)と中間グレードの15X(153.3万円)
、Xのバリエーションで本革巻きステアリングやインテリジェントキーなどを装備したVセレクション(170.1万円)、そしてアルミホイール&16インチタイヤとサンルーフを装備した上位グレードの15G(191.1万円)で、さらにSとXには4WDもラインナップされている。
リアスタイルもキープコンセプトで特徴的な横開きのバックドアも先代と同様だが、ブリスターフェンダーやリアの下半分を盛り上げるなど、先代までの真ッ四角に比べて幾分の丸みをもっている。
運転席に座った瞬間に何やらフニャっと柔らかい座り心地のシートに違和感を感じる。この柔らかさは体全体が沈んでフワフワしているようで、慣れないと落ち着かない。最近は国産車でも欧州車的に座面の硬いシートが多いが、新型キューブのシートの柔らかさは
、最近では珍しい。
室内は先代に比べて明らかに広くなっているのが判る。試乗車にはオプションのナビがなく、ディスプレイのスペースはメクラ蓋があった。エアコンのコントロールパネルは丸型デザインで、このデザインは好き嫌いがあるがユニークではある。
インテリジェントキーを所持してスタートボタンを押せばエンジン
が始動するのは、最近の国産車では当たり前の方法だが、走り出すためにブレーキを踏んでフロアにあるATセレクターを探すが・・・・無いッ!
実はこのクルマのセレクトレバーはコラムから生えている。しかし、このレバーはポジション表記がステアリングコラムには小さく書いてあるが、実際の運転ではインパネ表示を見るしかないことと、動作は如何にも剛性感がなく捩れ感
出まくりのレバーは各ポジションのロックも出来が悪く思ったところをセレクトできない。例えばDに入れようとしてもNだったり、行過ぎてしまったり。これも慣れれば何とかなるかもしれないが、このフィーリングは初代のCR−Vを思い出す。
走り出しての印象は最近のニッサン製1.5ℓそのもので、ユックリと走り始めるときには結構トルク感があるが、それ以上踏んでも大した加速は得られないし、如何にもCVTらしく加速中も一定回転を保っているのも、じれったく感じる理由でもある。とりあえず、このクルマの用途からしたら、この動力性能でも問題は無いかもしれない。
最初に低速で交差点を曲がった時にステアリングがバカに軽いのを感じたが、最近の速度感応式ならこんなものかと思ってのだが、その後速度を上げても基本的には軽すぎる程だ。軽いといえばマーチだって軽いが、キューブは軽くて直進性が悪い。良く言えばクイックなのだが、本当のクイックとは違って何やら疲れる特性だ。
コーナーも同様に不安定だが、コーナー突入前に既に不安な挙動を感じるから進入時は無意識に減速している。
この不安定さは何処かで体験したと思ったらVWポロがそうだった。ただし、ポロは乗り心地は結構良かったが、キューブの場合は常にゴツゴツと路面の振動を拾い、しかも質が悪いから今時のクルマとしては充分に不快な部類だろう。この硬いだけのサス設定と剛性が無いくせにクイックなステアリング系が織成す次元の低さが不安な走行性能に結びついているようだ。
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