フォルティスのステアリングは現在の標準からすれば多少重めで、センタリングも強いから、普通のドライバーにとっては直進性が良いと感じるかもしれない。この簡易試乗記でよく使う一般道のきつめな
コーナーを回ってみると、多少のアンダーは感じるがコーナーリング特性自体は悪くはないから、普段ファミリーカーとして使用し、イザという時には昔ならしたオトウサンが峠道を攻めても決して失望する事は無いだろう。
言っていれば、プレミオやシルフィーよりスポーティだが、インプレッサには及ばないというところだ。
試乗車はスポーティなグレードだから標準で18インチアルミホイールと215/45R18タイヤを装着しているが、
それでも乗り心地は悪くない。確かに硬めではあるが、欧州車的な乗り心地だから決して不快ではない。フォルティスで感心するのは、ボディ全体から受ける印象に欧州車並の剛性感があることで、そう思って室内のピラーをみたら、確かに欧州車
顔負けの太くガッシリしたピラーを持っていた。数年前までの国産車からは考えられない程に、最近の国産車の進化は激しいし、それもトヨタやニッサンというメジャーなメーカーよりも、スバルやマツダ
、そして今回の三菱などが実に頑張っている。
ボディ剛性とともに最近の国産車の著しい進歩がみられるのがブレーキ性能だが、フォルティスも軽い踏力で喰い付くように効く欧州車的なもので、その性能には全く不安が無い。
次に、ギャランフォルティスがライバルに対してどのような位置にあるのかを考察するために、思い当たる車種と共に下の表にまとめてみた。
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ギャラン
フォルティス |
プレミオ |
ブルーバード
シルフィ |
ボルボ S40 |
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SPORT |
2.0G EXパッケージ゙ |
2.0G |
2.4 アクティブ |
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寸法・重量・乗車定員 |
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全長(m) |
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4.570 |
4.600 |
4.610 |
4.475 |
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全幅(m) |
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1.760 |
1.695 |
1.695 |
1.770
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全高(m) |
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1.470
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1.475 |
1.510 |
1.450 |
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ホイールベース(m) |
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2.635
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2.700 |
2.700 |
2.640
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最小回転半径(m) |
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5.0 |
5.3 |
5.5 |
5.3 |
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車両重量(kg) |
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1,370 |
1,270 |
1,230
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1,450 |
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乗車定員(名) |
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5
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5
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5
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5
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エンジン・トランスミッション |
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エンジン種類 |
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直4 DOHC |
直4 DOHC |
V6 DOHC |
直5 DOHC |
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総排気量(cm3) |
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1,998 |
1,986 |
1,997 |
2,434 |
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最高出力(ps/rpm) |
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154/6,000 |
158/6,200 |
133/5,200 |
140/5,000 |
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最大トルク(kg・m/rpm) |
20.2/4,250 |
20.0/4,400 |
19.5/4,400 |
22.4/4,000 |
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トランスミッション |
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CVT |
CVT |
CVT |
5AT |
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駆動方式 |
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FF |
FF |
FF |
FF |
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サスペンション・タイヤ |
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サスペンション方式 |
前 |
ストラット |
ストラット |
ストラット |
ストラット |
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後 |
マルチリンク |
トーションビーム |
トーションビーム |
マルチリンク |
タイヤ寸法 |
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215/45R18 |
195/55R16 |
195/60R16 |
205/55R16 |
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ブレーキ方式 |
前 |
Vディスク |
Vディスク |
Vディスク |
Vディスク |
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後 |
ディスク |
ドラム |
ドラム |
ディスク |
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価格 |
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車両価格 |
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2,047,500
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2,426,000
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2,363,000
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2,990,000
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備考 |
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薄々感じていたのだが、フォルティスの価格はライバルに比べてひじょうに買い得感が高い。2Lのスポーティ装備満載のモデルで約205万円という価格は、プレミオやシルフィに比べて30〜40万円も安い。しかも、これら2車はリアがトーションビーム
とドラムブレーキという安物路線丸出しなのに比べて、フォルティスはマルチリンクにディスクブレーキという欧州の常識に従って、構造的にも走りを重視している。
この比較に輸入車も入れなければと思い選んだのがボルボS40。またぁ、B_Otaku
の奴はアンチボルボだから、一覧表でバカにする気だな、という声が聞こえてくるが、そういう訳でもないのですよ。実は、いざ調べて見ると、国内販売されているこのクラスの輸入車というのは案外
少ない事に気が付く訳で、これは本来このクラスだったDセグメントと呼ばれるカテゴリーが大型化、高級化してしまったため、Cセグより大きくDセグより小さいこのクラスが少ない事が原因だった。あっ、それで、S40は如何かといえば・・・・・まあ、表をみて考えてくださいな。
ギャランフォルティスは実に真面目に作られたオーソドックスな小型セダンだった。
特に試乗したスポーツというグレードは確かにチョトしたスポーツセダン的な内容を持っていたし、それでいて200万円強の価格は実に買い得感が高かった。
しかも欧州車顔負けの高剛性ボディも持ている、と感心したのだが、実はこうなったのは理由があるようだ。要するに、三菱には小型サルーン用にプラットフォームを起こす余裕などは無く、仕方なくアウトランダーやデリカD:5用のシャーシーを流用してしまったために、このクラスのセダンとしてはオーバークォリティになってしまったというのが本音らしいが、結果良しでいいじゃないか。ただし、スポーティーに走ろうとする時にイマイチ性能のCVTがネックとなる。と、ここで思い出したのが、5MTの設定もあったことだった。これなら、フォルティスの高剛性なボディとちゃんと金を掛けたリアサスが生きてくるだろう。ただし、ファミリーカーにMTを買うというのは、家族の理解(と運転技能)が必要となることは言うまでも無い。
MTがハイコストパフォーマンスのスポーツセダンに成りそうな事から、さらに一歩進めて、もう少しハイパワーな、言ってみればランエボとの間を埋める、インプレッサでいえばS-GTのようなモデルが欲しくなる。そういえば、北米ではGTSというグレードが2.4L、168HPを搭載しているから、国内でも売れるとみれば即座に展開可能だろう。どうでしょうかね、三菱さん。
注記:この試乗記は2007年10月現在の内容です。
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