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【速報版】
VW New GOLF 1.4TSI Comfortline (2009/4/13) |
VWゴルフにしては今風というか、プジョーのようで、はたまたオデッセイのようで・・・・・。
第一印象は低く広い。 |
ゴルフといえば日本国内の輸入車では最量販車種であり、カローラと並び世界的にメジャーなクルマ
なのは今更言うまでもない。そのゴルフがFMCでゴルフYとなったので早速乗ってみた。例によって、発売当初は中間モデルのみが先行発売され、廉価版や高性能版は少し遅れて登場する事になるだろう。
今回発売されたのは2グレードで、いづれも排気量は1.4L、安いほうからシングルチャージャー(ターボ)のコンフォートライン(275万円)とツインチャージャー(スーパーチャージャー+ターボチャージャー)のハイライン
(312万円)という構成になっている。
外観は今流行の吊り目と大きな口というアグレッシブなスタイルで、何だかVWらしさに欠けるというか、プジョー辺りの血が混じったというか、オデッセイを始めとする最近のホンダ車のような雰囲気で、VWファンなら何やら言いたくなってしまいそうだ。
そして後姿に至っては、これがゴルフであることの確証を全く得られないくらい、一般的な2ボックスハッチバックの形をしている。
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写真1
この角度からは一目でゴルフとは認識できない程に没個性的でもある。いや他車がゴルフに似てしまったのか? |
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写真2
ラッゲージスペースはCセグメントのハッチバックとしては充分な広さがある。サスの張り出しも少ないが、ちゃあんと4リンクを使っていて、トーションビームで誤魔化す何処かの会社とは思想が違う。 |
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写真3
こうしてみると、リアの足元は決して広くは無い。 |
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写真4
ベースグレードのコンフォートラインでもスポーティで座り心地の良いシートが標準装着されている。VWは昔からシートが良いので有名だし、これがわざわざ高い輸入車を買うメリットでもある。 |
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今回は速報版としていち早く内容をお届けするために、内装についての細かい説明は省略するが、昔に比べて随分と豪華志向のVWとはいえ、今回発売されたモデルは結構地味な内装をしている。まあ、そのうち豪華モデルがラインナップされるだろうが。
詳細は下の写真をご覧願おう。っていったって、写真の枚数も少ないじゃあないか、なんていう突っ込みがありそうだが。 |
写真5
ベースモデルであるコンフォートラインのダッシュボードは実に地味な雰囲気となっている。
近い将来には高性能版のGTIや豪華版のGTXが発売されれば、もう少し豪華な内装となるだろう。 |
写真6
回転計と速度計にそれぞれ小径の水温計と燃料計が組み込まれている。速度計のフルスケールは240km/hだが、ターボとはいえ1.4L 122psではハッタリもいいところだ。 |
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写真7
高級感に乏しいエアコン&オーディオパネルは、先代よりもチャチになったのでは? |
写真8
コンフォートラインの標準シートはファブリック。ハイラインは標準がアルカンターラ座面でオプションによりレザーが選べる。 |
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写真9
Dの手前にSがあるパターンはVW/アウディでお馴染みのもの。 |
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その昔のゴルフのシートといえば座面はコチコチに硬い、いかにもドイツ車という感じだったが、新型になるたびに少しずつ柔らかくなっているように感じるのは気のせいだろうか。
駄目な代表のような国産車のシートも最近は年々改良されて少しはシッカリとしてきたこともあって、ゴルフのシートが特別に硬いとは感じないのかもしれないが、それでも一般的な国産車と比べると体全体を支えて長時間座りっぱなしでも疲れない特性は、マダマダ捨てたモンじゃあない。
試乗車のコンフォートラインというグレードは、今現在発売されている2グレードでは廉価版に相当するから、これが上級のハイラインになるとシートの座面部分の表皮がアルカンターラとなり、幾分座り心地も向上するが、基本的にはベースモデルでも充分で、むしろ大きく異なるのは見掛けの部分となる。
試乗したクルマはコンフォートラインで、1.4Lターボにより122ps/5,000rpmの最高出力と20.4kg・m/1,500〜4,000rpmの最大トルクを発生する。これが上級のハイラインになると同じ1.4Lながらターボ+スーパーチャージャ
ーのツインチャージャーにより160ps/5,800rpmの最高出力と
24.5kg・m/1,500〜4,500rpmの最大トルクとなる。ミッションは今流行のDCT(Dual Clutch Transmission)タイプでVWではDSGと呼ぶ2速の2ペダルタイプ
を搭載している。ご存知のようにVWはこのタイプでは最も歴史がある。
コンソール上のセレクターはP⇒R⇒N⇒Dで更に⇒Sとなるのも従来からのVWの定石に従っている。早速走り出そうと右足をスロットルべダルに載せて気が付くのは、国産車
に比べて結構踏力が必要なことで、こういうところは今でもドイツ車丸出しだったりする。
DSGによるスタートは特に気にしなければトルコンATとの違いは判らない程度だが、スタート時に神経を集中していると多少の違和感というか、ギクシャク感は残ってはいる。動力性能は一般道で普通に流れに乗るには大きな不満は無いが、
前車が減速して左折完了した後に前が空いている時に、加速して前のクルマに追いつこうと右足を踏み込んだときなどは、もう少し加速性能が欲しくなる。
感覚的には最新のBMW320iよりも遅い感じだ。車輌重量が1290kgと軽量とはいえ122psでは10.6kg/psとなり、これは遅い事で有名なBMW116iの1370kg/115ps=11.9kg/psよりは多少良いが、320iの1470kg/156ps=9.4kg/psよりは非力となる。だから試乗車が116i以上、
320i以下とうのは数値的にも合っている。何言ってるんだ、”加速はトルクだ”とケチを付けたい輩もいるかもしれないが、馬力当たり重量というのは直線加速の目安としては経験的に結構合っていたりする。とくに欧州車同士の場合は、相対比較には便利だ。これが国産車となると、えっ?これで本当に3百ps以上あるの?というのもあるが・・・・・。
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写真10
直列4気筒、DOHC 1.4Lエンジンは、コンフォートラインがターボのみのシングルチャージャーで
122ps/6,000rpmの最高出力と20.4kg-m/1,500〜4,000rpmの最大トルクを発生する。
写真はハイラインでターボ+スーパーチャージャーにより同じ1.4Lながら160ps/5,800rpm
24.5kg-m/1,500〜4,500rpmを発生する。 |
予想どおりに動力性能的ではイマイチだったが、これは上級のハイラインを選べはツインチャージャーにより低速からレスポンスも良いだろうし、トルク自体も24.5kg・mと2.5L並だから、充分に満足できそうだ。というよりも、以前このエンジンを載せたGOLF Xに乗ったことがあるユーザーならば、ボディが多少大きくなったとはいっても大体の想像はつくだろう。
コンフォートラインの場合は動力性能的にはイマイチでも、その走行安定性は流石にゴルフで、最近は大分改善されたとはいっても、国産Cセグメントの代表車であるカローラとは正に月とスッポン。
いや、先代のゴルフXと比べても安定性としなやかな乗り味と言う二律背反する要素を充分に両立している点では、伊達に新型にFMCしたわけではないようだ。
そして操舵性能ではFF車のお手本的なゴルフだから、これはもう悪いわけがないが、今度の新型も多少速いくらいの速度ならば実に安定した弱アンダーステアで、これはもう実用
車としてはケチの付けようが無い。
今回は広い国道バイパスから決して広くないし適度にコーナーがある地方道など色々走ってみたが、速い流れの国道バイパスでも、その安定性は抜群だったし、速度感もなくメーターを見て初めて結構な速度に気が付く。これならば高速道路での巡航は退屈なほどに安定しているだろうから
正にオールマイティな実用車だ。
そしてブレーキ
はといえば、これまた軽い踏力で良く効くから、普通の用途には全く問題は無い。まあ、ブレーキに関しては、この試乗記でも度々触れているように、最近では国産
車でもかなり良くなってきたから、試乗記でボロクソ言うようなブレーキにはお目にかかれなくなってしまった。ところが、これまた最近多くなった個人ブログ等の試乗記を偶に見てみれば、何やらブレーキフィーリングをボロクソ言っているのを見かける。まあ、個人のサイトなんて所詮は自己満足だから、B_Otaku のサイトを含めて内容は信用しないほうがいいだろう。それではプロの試乗記はといえば、流石にプロだから商売を考えて・・・・・・あてにはしないほうがいいだろう。
んっ?要するにクルマの評価は自分自身しか信じるものが無いということのようだ。 |
写真11
コンフォートラインは205/55ZR16タイヤが標準装着されている
(写真)。ハイラインは225/45ZR17となる。 |
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写真12
フロント(右)、リアともに極一般的なブレーキキャリパーだが、リアはボディがアルミ製となっていた。 |
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新型のゴルフYは発表されて間もないためにラインナップが乏しいが、これは徐々に拡大されていくのが常だから、ゴルフはGTIでしょう、というユーザーはもう少しの辛抱だ。それでも、ツインチャージャーのハイラインならば動力性能にも大きな不満はでなだろう。今回試乗したシングルチャージャーのコンフォートラインは、動力性能の面では不満が出る場合もあるかもしれない。このようなベースグレードの輸入車といのはどんなユーザーが買うのだろうか?
と、いうところで、これから先は例によって毒舌と言いたい放題の特別編。
いつもの毒舌を読んで胸がスカッとする人以外は先に進むことはお勧めいたしません。
上記を了解して先に進みます
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