MINI CooperS Clubman (2008/9/1)      


3ドアのミニに対して、ストレッチしたボディはこの角度からでもリアウィンドの長さで判別できる。

3ドアのMINIをストレッチしてリアに観音開きのゲートを付けたワゴンモデルのクラブマンが追加発表されたのは去年の10月だったが、実際のデリバリーは今年の春頃だったと記憶している。オースチン時代のMini (BMW製が大文字のMINIで、オリジナルは小文字で区別する)にもワゴンモデルはラインナップされていて、当時の呼び名はトラベラーとかカントリーマン だった。今回使用されているクラブマンというのは、1969年から発売されたMkVのバリエーションでフロントデザインが角ばっているモデルの呼び名で、その 中にクラブマンエステートというワゴンモデルがトラベラー&カントリーマンの後継モデルとして設定されていた。従って、クラブマン=エステートではないようだ。
まあ、そんなことはとも角、今回の試乗車は2種類あるクラブマンでは高性能版であるクーパーSで、以前試乗したクーパーSが6MTだったことに対して今回は6ATだから、その面でも比較できるかもしれない。本当はNAのクーパーに乗りたかったのだが、残念ながら試乗車が用意されていなかった。

さて、最近この試乗記での定番となってしまったライバルとのスペック比較として、先ずはプジョー207のステーションワゴンを選んでみた。クラブマンのような特殊なコンセプトのクルマはドンピシャのライバルなんて存在しないが、そのなかで強いて探したのが207ワゴンGTiだった。実はこの2車のエンジンは全く共通だから、どちらを選ぶかはオーナーの趣味性に委ねる事となる。まあ、どっちも普通の感覚では選ばないから、凡人がとやかく言う筋合いではない。そして、もう一台はVW POLO GTI で、こうして見ると大きさや重量などは結構近いし、エンジンも排気量は異なるものの性能的にも近い。ところが、POLOの価格は252万円とMINI CooperSに比べて大幅に安いから、買い得感は抜群だ。おまけに、VWという輸入車としては信頼性や輸入元の規模を考えれば一番無難な選択だから、何のことは無い、この手のホットな欧州小型車では一押しだったりする。

MINI CooperS Clubman とライバル比較

MINI Cooper S
Clubman
MINI Cooper S
 
PEUGEOT
207SW GTi
VW POLO
GTI
寸法重量乗車定員
全長(m) 3.960 3.715 4.150 3,915
全幅(m) 1.685 1.685 1.750 1.665
全高(m) 1.445 1.430 1.510 1.465
ホイールベース(m)   2.545 2,465 2.540 2.470
最小回転半径(m) 5.5 5.1 5.1 4.9
車両重量(kg)   1,250(6MT) 1,210 1,330 1,210
乗車定員( 4 4 5 5
エンジン・トランスミッション
エンジン種類   4 DOHC ターボ 4 DOHC ターボ 4 DOHC ターボ 4 DOHC ターボ
総排気量(cm3)   1,598 1,598 1,598 1,780
最高出力(ps/rpm)   175/5,500 175/5,500 175/5,500 150/5,800
最大トルク(kg・m/rpm) 24.5/5,000 24.5/5,000 24.5/5,000 22.4/4,500
トランスミッション   6MT/6AT 6MT/6AT 5MT 5MT
駆動方式   FWD(FF) FWD(FF) FWD(FF) FWD(FF)
サスペンション・タイヤ
サスペンション方式 ストラット ストラット ストラット ストラット
  マルチリンク マルチリンク トーションビーム トレーリングアーム
タイヤ寸法 195/55R16 195/55R16 205/45R17 205/45R16
195/55R16 195/55R16 205/45R17 205/45R16
価格他    
  車両価格 3,180,000(MT)
3,310,000(AT)
2,950,000(MT)
3,080,000(AT)
3,350,000 2,520,000

MINI同士の比較では、クラブマンは3ドアに対して、全長で+40mm、ホイールベースで+80mm延長されているから、クルマ全体の雰囲気は大きく異なる。特に運転席側のドアはRX−8のような観音開きとなっており、3ドアモデルの比べて ドアの開口部が大きく、その分だけ後席への乗り降りが楽になる ・・・・・筈だ。

今回試乗したクルマ MINI CooperS ClubmanSは6ATモデルの為、車両価格は331万円 という立派な値段となる。試乗車はオプションとしてコンビレザーのシートやナビ(これは後付で決してカッコ良くはない)を装着していたし、MINIは基本的に値引き無しのワンプライス販売だから、総支払額は400万円に迫るという恐ろしいことになる。まあ、ここまで読んだところで、多くの読者は『ダメだ、こりゃ』と思うだろうが、まあ、そうは言わずに、折角だから付き合ってもらいましょうか。

写真1
3ドアに比べてホイールベースが
+80mm、全長が+40mmストレッチされたクラブマン。
運転席(右)側のドアは観音開きとなっているのが大きな特徴だ。

観音開きの右側ドアに加えての特徴は、リアにも観音開きのゲートがついていることで、オリジナルのMini カントリーマンを髣髴させる演出のようだ。 リアのラッゲージルームは3ドアに対して、驚くほど広いわけではないのは、全長が40mm長いだけなので、当然でもある。
運転席のドアを開けて最初に見えるのは、3ドアのMINIと大きく変わらない光景で、少なくともフロント部分は同一のようだ。そして、クラブマンの最大の特徴であるリア側のドアも開けると、成る程大きな開口部となるのだが、実際にリアシートに乗り移って見ると、見かけ程には乗り易くはない。観音開きのドアといっても、RX−8程には開口部が広くないようだ。
クーパーSの標準シートはファブリック表皮のスポーツ風シート(写真8)だが、試乗車にはオプションのコンビシート、すなわちサイド部分がレザーで座面がファブリック のシート(写真9)が装着されていた。ミニに限らないが、常に体を支える座面(と背面)がファブリックで、サイドのみレザーとする理由は何なのだろうか。そういえば、30年ほど前に乗ったメルセデスのW123(3世代前のEクラス)も、座面がファブリックでサイドがレザー(人工皮革)だった覚えがある。この人工皮革はMBテックスと呼ばれていたらしく、当時のメルセデスで度々使用されていたようだ。
話をクラブマンに戻して、フロントシートに座って見ると、どうも座面が短かく感じる(写真4)。それが原因かどうかは判らないが、実際に走行中も体全体が前に ずれようとして、それを尻の皮(と肉?)が支えるという状態になり、20分ほど乗ったら結構痛くなってきた。普通は出来の悪いシートでは腰が痛くなるが、これは尻が痛くなる。まあ、オーナーになって、時間を掛けてシートポジションを調整すれば解決するかもしれないし、個人の体形によるかもしれないので、結論は出せないが・・・・。


写真2
往年のカントリーマンを彷彿させる観音開きのリアゲート。

 


写真3
ラッゲージスペースは3ドアよりは多少広いが、外観イメージ程でもない。

 


写真4
クーパーS クラブマンのシートはスポーツシートとなっているが、座面が短いのが難点だ。
写真はオプションのハーフレザーシートを装着している。

 


写真5
同じクラブマンでもNAのクーパーはシート形状が異なる。見た感じではクーパーSよりグリップが劣りそうだが、Sのシートも見かけほどにはグリップが良くないから、 それ程の差は無い。

 


写真6
特徴的な観音開きの右側ドアを開けたところ。リアシートへのアクセスは驚く程良い・・・という訳でもない。

 


写真7
ミニ独特のポップな内装はユーザーによって好みが分かれるだろう。

 


写真8
標準装備のファブリックシートの表皮。

 


写真9
オプションのハーフレザーシートの表皮。

 

ダッシュボードの眺め(写真10)は3ドアのミニと全く変わらないから、中央に居座る巨大な速度計や、センタークラスターに並ぶトグルスイッチ(写真14)、そしてこれまた独特のドア内張りデザイン等、等(写真10)。 これはどう見てもMINI以外に有り得ない眺めで、勿論良い悪いの問題ではなく、好きか嫌いかという好みの問題だが、それにしてもこれほど極端なクルマも他に類を見ない。
ステアリングコラム右のダッシュボードにあるスロットにキーを差し込んで、直ぐ隣のスタートボタンを押してエンジンを始動する(写真12)。今回の試乗車は6ATだから、エンジンスタート時にブレーキペダルを踏むのは当然だ。そして、センターコンソール上のATセレクターを操作しようとして、ハテ。セレクターの根元に普通はあるポジション表示が無い! 実は後でよく見たらレバーの左下にあったのだが、普通に運転席に座っているとポジション表示がレバーのブーツの影に隠れて見えないという、如何にもミニらしいサービスが待っていた (写真13)。と、言っても、センターにある回転計に仕込まれたディスプレイにデジタル表示されるから、慣れれば不具合はないのだが。
随所に世間の常識を翻すようなデザインのミニではあるが、パーキングブレーキはセンターコンソール上にあるオーソドックスなレバー式だから、何の違和感も無い。出発前にセールス氏は『急に飛び出す傾向があるので、注意して下さい』というので、そおっとスロットルを踏んでみると、特に飛び出すという程ではないが、多少はオーバーレスポンスで発進した。この程度で飛び出すというのならば、カローラ (1.5)だって走り出しの飛び出しでは負けていないから、それ程神経質になる事もない。
片側2斜線の幹線道路を走り始めると、流石はターボチャージャーで、この決して大きくないクルマは、右足の踏み込みに従ってグイグイと加速する。少し慣れたところで、色々なモードを試すことにする。クーパーSのATは
Dレンジでの走行でもステアリングスイッチを操作すればMTモードになる。ステアリングスイッチはBMW335iと基本的には同じで、親指で押すとダウン、人差し指で手前に引くとアップとなり、左右とも同じ動作をする。コンソール上のセレクトレバーを使用するときは、引いてアップ、押してダウンとなり、これらは先日発表されたばかりの09ポルシェカレラのデュアルクラッチとは全く逆の操作となるから、ニューカレラのオーナーが下駄 代わりにクーパーSを買うと混乱することになる。

そして、いよいよマニュアルモードによる発進加速を試みてみる。例によって片側2車線のバイパスで赤信号の先頭でスタンバイ。信号が青になってから、それッとばかりにフルスロットルを踏むと、フロントからキュッキュッキュッというスキール音が聞こえるが、大きくステアリングを取られることもなく、レッドゾーンに向かって加速していく。前回のクーパーS(6MT)の時は、トルクが持ち上がってくる4000rpm辺りで突然ステアリングを取られて、横方向に1mばかり持っていかれるために、本当の意味でのフル加速が出来なかったが、今回の
試乗車 は安心して(というほどでも無いが)フルスロットルを踏むことが出来る。この差は何なのかと考えれば、MTとATの差というよりも80mm長いホイールべースの助けも大きいのではないだろうか。1速でレッドゾーン直前まで来た時にすかさずステアリングホイール上のスイッチを引くと、結構速いタイミングで2速に入る。 フル加速中の音については、4000rpm超えからは結構勇ましい排気音と、バルブなどのエンジン音が聞こえるが、ただし同じ4気筒でも、BMW1&3シリーズ用のエンジンに比べて、個人的には安っぽい音に感じた。ミニフリークには悪いが、この音は何となくカローラというかトヨタの安物大量生産エンジンを彷彿させる。

しかし、ここで冷静に考えると、加速は中々のものだが、どうも伸びがイマイチに感じることに気が付いた。これはMTの時も同様だったので、早速調べてみることにしよう。ただし、クーパーSのギアレシオを調べたところ、残念ながら6MTは判明したが、6ATについては判らなかったので、MTのみで比較することにしよう。
  
  1 ギア比較              
      ギア       オーバーオール*
    クーパーS POLO GTI BMW130i BMW135i クーパーS POLO GTI BMW130i BMW135i
    6MT 5MT 6MT 6MT 6MT 5MT 6MT 6MT
  1 3.308 3.300 4.350 4.055 12.06 12.04 15.06 12.48
  2 2.130 1.944 2.496 2.396 7.77 7.09 8.64 7.37
  3 1.483 1.360 1.665 1.582 5.41 4.96 5.76 4.87
  4 1.139 1.034 1.230 1.192 4.15 3.77 4.26 3.67
  5 0.949 0.815 1.000 1.000 3.46 2.97 3.46 3.08
  6 0.816 - 0.851 0.872 2.98 - 2.95 2.68
  R 3.231 3.060 3.926 3.677 11.78 11.16 13.59 11.31
  FINAL 3.647 3.647 3.462 3.077   *ギア比×ファイナル  

 

  2 速度比較              
            最大出力回転数(rpm)
      3000 rpm   5500 5800 6600 5800
    クーパーS POLO GTI BMW130i BMW135i クーパーS POLO GTI BMW130i BMW135i
    6MT 5MT 6MT 6MT 6MT 5MT 6MT 6MT
  1 31.4 31.1 23.8 27.1 53.3 56.4 52.4 55.1
  2 48.7 52.8 43.7 45.9 82.8 95.7 91.3 93.2
  3 70.0 75.4 65.5 69.5 119.0 136.8 136.8 141.1
  4 91.2 99.2 88.7 92.2 154.9 179.9 185.2 187.3
  5 109.4 125.9 109.1 110.0 185.9 228.3 227.8 223.3
  6 127.2 - 128.2 126.1 216.2 - 267.7 256.0
  タイヤ半径 0.310 0.310 0.317 0.314 0.310 0.310 0.317 0.314

こうしてみると、POLO GTIが多少はハイギアード気味なのを除けば、クーパーSと比べたらスペック的に反則気味の135も1速で最高出力まで引っ張っても55km/h程度。これが、例えばポルシェの場合は、ボクスター(ケイマン)もカレラも1速で約64km/hまで引っ張れるし、M3の場合は高回転型エンジンを8300rpmまでブン回す必要はあるが、その時67km/hに達する筈だ。こうして見ると、クーパーSの伸びがイマイチに感じたのは、やはりローギアードなミッションの設定が原因のようだ。 折角の表だから、もう少し考察してみると、POLOは5速ではあるが適度なギアレシオから、表で見ても使いやすそうなのが判る。世の中何が何でも6速が必要という雰囲気だが、一時の流行で不要な6速を積んでいる車だってあるかもしれない。そういえば、ランエボ]のMTは5速だったっけ。

試乗車のATをマニュアルモードで使った時のシフトアップは充分な速さだったが、それではシフトダウンはといえば、これもトルコンATとしては充分に速い。先代のBMW3シリーズ(E46)の頃は、マニュアルでシフトダウンすると、 0.5〜1秒程度のタイムラグの後にギヤが切り替わったので多少の不満があったが、現在のATは明らかに進歩しているようだ。クーパーSのMTはフィーリングも操作性も決して良くないので、寧ろこのATの方が楽しいくらいだ。


写真10
フロントダッシュボードのデザインは3ドアのクーパーSと全く変わらない。この写真だけみれば、
クラブマンであるかどうかは判らない。
 


写真11
正面には回転計とインフォメーションディスプレイを組み込んだ丸型メーターが一つだけ。ただし、設定でディスプレイにデジタル速度表示が可能だ。

 


写真12
キーを差し込んで右側のスタートボタンを押す。内装の質感は悪くはないが、独特のポップなデザインは好みが分かれる。

 


写真13
シフトレバーの影になって、運転席から見えないATのポジション表示。

 


写真14
お馴染みのトグルスイッチ群など、MINI独特の操作パネルは嫌いな人には耐えられないかもしれない。

 


写真14
BMW製の1.6ℓエンジンは3ドアのクーパーSと全く同じで、この写真ではクラブマンかの判別は出来ない。
直噴ターボにより175ps/5500rpm、24.5kg-m/5000rpmを発生する。

以前乗った3ドアのクーパーSのステアリングは結構軽かった覚えがあるが、今回のクラブマンはドッシリと重めだ。ただし、この重さが、スムースな上にも操舵力を必要とするような上等な重さかといえば、何となく操舵機構の抵抗が大きいような、あまり上質感のある重さではないように感じたのが気にかかる。そして、最近は良く出来たFFが多く、FFと言われなければ判らない場合も多いが、クラブマンの場合は多少FF臭さが残っている。3ドアの場合は結構素直で驚いたのだが、クラブマンの場合は全長を延ばしたことで操舵性がマイルド方向に向かうというよりも、悪い方へいってしまった のだろうか。と、いっても決してレベルが低い訳ではないし、 コーナーを攻めるという走り方が好きな走り屋が乗っても、大きな不満は無い程度の楽しさはある。片側2車線の幹線道路での速い流れでも、走行安定性は実に良いから、高速道路を走ってもベラボウな速度を出さない限りは実に安定した走りをするだろう。

ブレーキについては3ドアと全く同じだから、例によって実に良く効くが、人によっては軽すぎると感じる、悪く言えばカックンぎみの特性は変わらない。ただし、前回はMTだったので余計に軽さが気になったが、今回のようにATならば、逆に軽すぎるくらいの踏力は使いやすさというメリットになる。


写真15
試乗車はクーパーSクラブマンに標準の6.5J×16ホイールと195/55R16タイヤの組み合わせだった。


写真16
ミニクーパー クラブマンの標準は5.5J×15ホイールとと175/65R1 5タイヤの組み合わせとなる

 

普通の人には無条件で薦められないMINIの中でも、際立って特殊なクルマというイメージのあるクラブマンだが、実際に乗って見れば寧ろ3ドアよりも使いやすいし、安定性の増した挙動は少し大人向けのMINIとも解釈できる。 それに今回乗ったATは、根本的に出来の悪いMINIのMTに比べて使い易いし、楽しさだって充分にある。更には充分過ぎる動力性能を余裕と考えれば、それが走りやすさとなり、結果的には安全にも繋がる。

世の中には大パワー車は危険だと本気で思っている無知なドライバー(脳内含めて)がいるようだ。極端な場合は法律で100km/h以上は違法となる日本では、それ以上の速度が出る必要はない、なんて本気で言っている大馬鹿物もいる(流石にこれはペーパードライバーか脳内ドライバーだろう)が、こういう輩は一度マトモな欧州車で高速走行をしてみればよい。BMW530iとか、メルセデスE350とかで高速道路を走ってみれば100km/hという速度がいかに遅いかが判る だろう。その強力な動力性能と安定性、そして制動性能は例え間抜けな他車が突然行く手を遮ったり、ジャンクションの合流で本線側の勘違い君が、絶対に前になんか入れてやるものかという行動をとった時に、状況に応じてアクセルを踏み込んで強力な加速で引き離したり、強力にしかも安定して急減速できるブレーキで避けたり(ただし、後ろのガラクタに追突されない程度に)、勿論緊急時は急ハンドルで 避けても安心して回避できる。これこそアクティブセーフティの見本みたいなものだ。
今回のMINI CooperS Clubmanは、530iとまでは言わないが、有り余る動力性能と安定した挙動でアクティブセーフティという面でも、見かけの割には実用的で安全な車だった。ただしクーパーSの場合はオプションを付ければ総額で300万円の後半となる価格は、買い手を躊躇させることは間違いない。いくら、インフレ時代に突入してクルマが値上がり気味だとはいっても、車両価格で330万円出せばBMW120i(355万円)に手が届くし、MINIが値引きなしのワンプライスであることを考慮すれば、価格の逆転だって考えられる。120じゃあ動力性能が物足りないというのなら、ホットハッチの定番であるVW GOLF GTI(6AT:352万円)すら買えてしまう。国産車に目を移せば、サラリーマン一生 の目標である、いつかはクラウンだって・・・・・あれっ?一番安い2.5ロイヤルが368万円だから、クラブマンの予算では・・・・もしかして、買えないかも知れない。
そんな訳で、クラブマンのコンセプトが気に入ったならば、自然吸気で120psのクーパーはどうだろうか。価格は6MTが274万円、6ATが287万円だから、大分買い易くなってはいる。動力性能は充分かと 聞かれれば、ハテ、考えてみたら新型MINIはクーパーSしか乗ったことがなかった。う〜ん、これはいかんなぁ。