レクサス LS460 (2006/9/26)


BMW 740i

 
LEXUS GS450h

 

 

 

    
    新型LSの外観は、一言で言えば大きなカムリのようであり、また大きなクラウンでもある。
    最近のトヨタ車の典型なのだけれど何やら無国籍な雰囲気がする。レクサスのアイデンティティ
    というものは全く存在しない。

昨年の新規開業の時には押すな押すなの大騒ぎで、マスコミも大々的に取り上げたレスサスというニューブランドも、半年経つと開業時に絶賛したマスコミもアッという間に批判的になり、レクサスは失敗だったと言い出した。そして、開業から1年遅れでやっと登場したレクサスの真打 であり本命にして最上級車種でもあるLSが遂に発売された。

B_Otaku の試乗記では昨年のレクサス開店直後にGS350/430を、1ヶ月遅れで発売されたISについても早い時期でIS250と350を取り上げてきた。 さらに話題のハイブリッド車GS450hも取り上げたので、トヨタブランド当時のソアラと事実上変わらないSCを除いてはレクサス車の一通りの試乗は実施したことになる。実は何を隠そうB_Otaku の試乗記でアクセスカウントがトップなのがIS250/350で2番はGS350/430となっている。 何故なのかといえば、例の巨大掲示板から度々リンクを張られているからで、レスサスは欧米ではベンツ・ビーエム以上のクルマなのに、日本の見栄っ張りな外車オーナーはレスサスを買わずに欧州車を買うという例のパターンに対して、それを否定するのに使われているようだ。 勿論、誹謗中傷もあるのは当然の成り行きだが、アクセスが増えることは悪いことでもないし、どこから来ようが数の中には常連さんになってくれる人だってい るから、ここはひとつ、必要悪ということで否定するのは止めておこう。

さて、そんな訳で米国でさえISとGSはマイナー車種だなんてバラしてしまった責任を感じて、その後の状況も載せておこう。巨大掲示板では古いデーターを載せているのは作為的だなんて書いている奴がいたが、あの試乗記を発表し たのは2005年の夏だから、その時点で05年の年間販売台数は判るわけが無い。 まあ、そんな事も判らない連中だということだが、とに角2005年の米国販売台数を見てみよう。

ブランド名     2005年販売台数  2006年販売台数
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レクサス       287.9千台   302.9千台
メルセデス      221.4千台   224.3千台
BMW(ミニを除く)  262.0千台   266.2千台
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ややっ!レスサスは前年よりも1万5千台も増えているではないか。対して、メルセデスもBMWも前年とほぼ変わらず。さて、レクサスは何が増えたのか?

車種名        2005年    2004年     2003年
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LEXUS IS      15.8千台    10.0千台    13.6千台
LEXUS ES      67.6千台    75.9千台    65.8千台
INFINITY G     68.7千台    71.2千台     64.7千台
SUBARU LEGACY   87.8千台    89.5千台
MERCEDES BENZ C  60.7千台    69.3千台    66.0千台
BMW 3er       107.0千台   106.5千台   111.9千台
AUDI A4       48.9千台     47.2千台    51.0千台
VOLVO 40series   24.2千台     25.5千台
VOLVO 50series    5.7千台    2.5千台
JAGUAR X-TYPE   10.4千台     21.5千台   
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LEXUS GS     33.4千台    8.2千台    13.3千台
INFINITY M     24.0千台    2.1千台    4.8千台
ACURA RL     17.6千台    8.8千台     6.8千台
MERCEDES BENZ E 50.4千台    59.0千台    55.7千台
BMW 5er       52.7千台     45.6千台    47.0千台
AUDI A6       18.1千台     14.9千台     17.6千台
VOLVO 60series  24.7千台     27.8千台
VOLVO 70series  22.8千台     30.6千台
JAGUAR S-TYPE   8.9千台     11.0千台
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LEXUS LS     26.0千台    32.3千台   23.9千台
INFINITY Q     5.4千台    2.0千台    2.4千台
MERCEDES BENZ S 16.0千台   20.5千台   22.9千台
BMW 7er      18.2千台    16.2千台   20.5千台
AUDI A8      5.4千台    5.9千台    4.1千台
VOLVO 80series  10.2千台    13.4千台
JAGUAR XJ     8.3千台    10.6千台
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こうして見るとレクサスISが多少伸びている事と、GSが前年の4倍近くという大幅な増加をしている。 実はGSは日本ではレクサス店の新規展開に合わせて8月から発売されていたが、米国では05年の初めから既に新型が発売されていた。そこで05年の状況を細かく見てみると。

車種名    2005年1月  2月   3月 ・・・ 9月   10月  11月   12月
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LEXUS IS     453   428   439    468  2,563  4,447  4,518
LEXUS GS     502  3,612  3,209   2,739  2,345  2,619  3,431
LEXUS ES    4,487  4,583  5,706   5,060  4,507  4,637  6,770
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INFINITY G    4,783  5,984  7,228   5,472  4,708  4,986  6,221
INFINITY M      90   225  2,253   2,351  2,231  1,982  2,552
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BMW 3er      7,033  7,181  7,555   8,693  10,719  10,273  10,592
BMW 5er      3,278  3,794  3,947   4,137  4,880  5,185  6,396
MERCEDES BENZ C  3,548  4,020  4,901   5,050  4,625  4,858  9,805
MERCEDES BENZ E  2,725  2,596  3,608   4,544  4,670  3,884  6,334
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レクサスISは新型にモデルチェンジしたと思われる10月から急に販売台数が増えている。新車効果ということもあるだろうが、日本では散々だったISも米国では好評だったことになる。 この販売台数は06年の6月までのデーターを見ても大きく変わらずに数千台/月の売り上げを上げているから、ISの米国での好調は間違いない。と、いっても天下のトヨタがニッサンのインフィニティG35(スカイライン350)に追いついた程度だから大成功とは言えない。 このDセグメントの王者であるBMW3シリーズは相変わらず強いが、以前程の勢いはない。米国でもE90の人気はイマイチなのだろうか。このクラスで意外だったのはレガシィで、国産車の中ではトップどころかBMW3シリーズに迫るほどの売り上げを示している。
以上の事実を検証してみれば、新ISは日本のレクサス開店に合わせて旧アルテッツアより高級化したという事になっているが、実は主戦場である米国でBMW3シリーズの 市場に食い込むべく開発されたのではないかという疑問が湧く。すなわち、日本のCクラスや3シリーズのオーナーが見て同等以上だと感心して、 次はレクサスにしようと思わせる事は二の次で、米国人が見て3シリーズより魅力的に見えるようなクルマ創りを目指しているような気がする。レクサスが不振だと攻められて真っ青になっている実担当の関係者を横目に、実は経営陣から見れば、そんな事は既にお見通しなのではないか??

次にEセグメントに目を向ければ、長年の王者であったメルセデスEクラスがBMW5シリーズに追いつかれ、遂に追い抜かれてしまった。日本でも問題になったSBC(電子制御ブレーキシステム)の不具合が致命的だったようだ し、ブレーキの問題以外でもチープになったメルセデスは、このクルマを購入する階層から見れば決して好評とはならないのも理解できる。
そして今回の主人公であるLSが属する高級車のグループであるFセグメントでは、レクサスLSは堂々の1位をキープしている。まあ、実際にはLSは価格的にはEセグメントに近かったから直接販売台数を比較すると状況を見誤る心配はあるが、高級車市場でトップなことは間違いない。 更に今回のLSは上級志向だし、来年早々には追加発売されるハイブリッドのLS600hで、今まで対抗車を持たなかったレクサスがS600や760iをライバルとする商品を揃えた事になるから、これは今後が楽しみだ。 このセグメントでも長年の王者であったメルセデスSクラスが遂にBMW7シリーズに抜かれてしまった。本来7シリーズは如何頑張ってもSクラスの半分程度のシェアしか 持てなかったのだが、ナマズのようだのマツゲが不気味だのiドライブが使い物にならないだのと言われた割には、現行のE65になってからはジワジワとSクラスを追い詰めて行き、遂に逆転した事になる。 メルセデスは一体如何なってしまったのだろう?とはいっても天下のメルセデスだから、このままジリ貧になるとも思えないので、近いうちに挽回策を練ってくるだろうが。


初代セルシオ10型(1989〜1993)
始めて世界で勝負できる国産高級車が発売になった。静かな室内と高品質という面では世界一との評価を得た。高品質ゆえ今でも現役で結構走っているが、多くはDQN車の部類になってしった。写真は横断歩道の前に駐車中のフルスモーク車で、オマケに斜めに止まっている。


2代目セルシオ20型(1994〜2000)
正常進化だが初代程の思い入れは無いように感じる。これでもかと手を掛けていた初代に比べて原価低減を図ったのも事実。この2代目も今や多くはフルスモーク+金バッチの類だ。

1989年に発売された初代セルシオは、それまでライバルが存在しなかった高級車の分野に始めて国産車が挑戦したことでも、大いなる意義があった。 このセルシオは米国で新たに展開された高級車ブランドのレクサスチャンネルにモデル名をLSとして販売され、米国の高所得者層の中でも先進的なタイプのユーザーの間でステータスとなった。 一方国内の高級セダンの分野では、一足先にニッサンがセドリック/グロリアをベースに3ℓターボを搭載したシーマを発売して、大人気となっていた。  

 
3代目セルシオ30型(2001〜2005)
この3代目をもって国内でのトヨタブランド(セルシオ)は終了する。ベースグレードならば600万円を下回る価格は非常に魅力的だった。

 

 

シーマの発売以前はショーファードリブンの公用車的存在のセンチュリー/プレジデントは特殊な用途と言えるので除外すれば、クラウン、セドリック/グロリアは5ナンバーサイズの中で無理に大きく見せるボディと相対的に狭いトレッドで如何にも不安定そう だった。更に2ℓエンジンを積むことから、ターボをつけて頑張っては見たものの所詮は2ℓ車だから、とてもではないが欧州の高級車と比較出来るレベルではなかった。
そんな時代に発表されたセルシオは、クラウンのプラットフォームやコンポーネントを流用するようなことをせずに、専用に設計された正真正銘の高級車だった。 当時のセルシオ人気は凄まじく、納車まで1年は当たり前で、新品同様の中古車はプレミア付きの価格となり、米国から逆輸入されたレクサスLSはメルセデスEクラス並みの値札が付いていたものだった。この初代セルシオの静粛性は群を抜いていて、これを見た欧州のメーカーはその後研究を重ねたことから、今ではSも7も可也静かになっているが、その発端は セルシオ/LSであった事は間違いない。 セルシオのもう一つの脅威は、徹底した高品質の仕上げと共に驚くほどの低価格を実現したことだ。これを見たメルセデスが脅威を感じて、「最善か無か」という徹底した理想主義を捨てて、コストダウンに走ったのはご存知のとおりで、その結果は前項の販売台数の推移で述べたように、100年以上かかって築き上げた信頼を1 5年程で台無しにしてしまった。
セルシオは初代の発売から5年目の1994年に2代目の20型へのモデルチェンジされた。普通、このクラスの欧州車のモデルサイクルは早くても7年程度と長いのが通例で、セルシオ/LSの5年と言うのは相当に短いが、結果的にはキープコンセプトのビッグマイナーチェンジと言っても 良い程度のものでもあった。 このFMCの最大の目的は、あまりにも手を掛けすぎた初代に対して、いわばコストダウンを図ることで、確かに初代の”これでもか”の品質感と比べると少し落ちるようにも感じられたが、だからといって人気が下降することもなかった。
次の30型へのFMCは7年後の2001年に実施され、もちろんコンセプトは大きく変わらず、国産車としては珍しく初代から基本的に同じ系統のデザインを引き継いでいった。 国内でもセルシオの人気は高く、中古車価格も高値を維持しているし、当然下取りも高いから買って損のないクルマともいえる。初代10型の場合は最後期型でも12年程経過しているが、マダマダしゃきッとしているのは、流石に金が掛かっているから耐久性も一般の国産車とは桁違いなことを証明している。ただし、残念なことに旧型のセルシオの多くがフルスモークに金バッヂは当然で、シャコタンにフルエアロ、ハの字になったネガキャンのはみ出しタイヤ等等・・・・ 見るに耐えない所謂DQN車が多いし、その運転マナーもトンでもない奴を結構見かける。

そして今回4代目となるフルモデルチェンジを迎えたわけだが、今回は開業から1年遅れでやっと登場したレクサスの最上級車種であるLSとして販売されることになった訳で、そういう面では今までのモデルチェンジとは 大いに事情が異なる。
 


どこかで見たようなリアの眺め、ハテ、何に似ているのだろう。巷では7シリーズに似ていると噂だが


LSのリアは世間で囁かれている7シリーズ似というよりも、むしろ5シリーズに似ている。いや似ているというよりもソックリに近い。


真正面から見れば、やはりクラウンに似ているし、明らかにトヨタの顔でもある。

 


元々トヨタ車を可也パクッた、ではなく意識したデザインのためにLSともイメージが似ている。
しかし、こうして並べて見れば巷で騒ぐほどに似てはいない・・・・・・と思いたいが。

 

新型LS460はバリエーションとしてベースグレード(770万円)とスポーティーなバージョンS(845万円) 、さらにショーファードリブン前提に後席を充実させたバージョンU(920万円)、それぞれのバージョンにセミアニリンシートやルーフとピラーの内張りを最近は欧州車でも流行のアルカンターラ(人工皮革の裏革)とするなどの高級内装を施したIパッケージが 約50万円程の価格差で用意されている。ベースグレードはシートがファブリックで他はレザーシートが標準となり、バージョンSはサスのセッティングやタイヤ&ホイールサイズ、ブレーキローターサイズが異なる。

セルシオ改め新型LSの外観は、一言でいえば大きなカムリのようであり、また大きなクラウンでもある。正真正銘、最近のトヨタ車の典型なのだけれど何やら無国籍な雰囲気で、隣の国の上級車でもあるグレンジャーにも何となく似ているのが辛い。もっとも隣国のクルマは日本車、とりわけトヨタ車をパクって、オッと失言!お手本にしているから、トヨタ的雰囲気の大型高級セダンとなると似てくるのは納得できる。ライト形状を如何変更しても見た瞬間にそれと判るメルセデスのグリルや、釣り目だろうが未来的だろうがキドニーグリルを見ればBMWと誰もが判るアイデンティティがレクサスには無いのも辛い。 巷ではBMW7シリーズに似ていると囁かれているLSのリアのデザインは実は5シリーズに似ているようで、写真を参照すれば判るように、似ているを通り越して5シリーズにソックリな雰囲気なのには驚いた。そんな訳だから、最初に試乗車を見た瞬間に何の感動もないし、とても800万円クラスのクルマには見えず、場合によってはクラウンどころか大きなマークXのようにさえ感じる。 800万円という高価な値札を付けるのなら周りにオーラを発して、見る者を魅了すると同時にビビらすのが普通だが、LSにそれは無い。


当然ながらトランクの容量は十分にある。4人分のゴルフバックが載らなければ国内での、このクルマの価値はない。


写真はベースグレードのためにファブリックシートが装着されている。 実際は、このグレードを注文するユーザーは殆どいないそうだ。


リアスペースは当然ながら十分なスペースがある。


こちらはバージョンSの後席。ベースグレードに対してレザーシートが装着されるのが大きな違い。


’Iパッケージ’に装着される話題のセミアニリンシート。しかし、チョット見ただけでスゴーいと声 をたてる程ではない。

 


これまた’Iパッケージ’だけのルーフとピラーにアルカンターラの内張り。しかし、標準の布製スエード調と区別が付かない。 そう言えばBMW M5もピラーとルーフの内張りはアルカンターラだか、あちらは見るからに裏革っぽかったのだけれど・・・。

 

試乗車はベーシックな組み合わせとしてベースグレードのLS460(770万円)に例の10万円也のフロアマットなどと取得税や諸費用を合わせて総額は850万円程のモデルで、さらに後日スポーティーに振ったバージョンS (845万円)にも試乗した。
先ずはベースグレードに試乗してみる。早速運転席に座ってみると、勿論トヨタ丸出しなのだけれど、ISやGSの無理に欧州のプレミアムセダンを真似たが何だかチグハグな内装と比べて、流石はフラッグシップだけあって格が違う。 ただし、先代までのセルシオのような乗った瞬間にワザとらしさはあるが欧州車にはない、これでもかという豪華絢爛さ がなく、案外地味に感じる ので、人によってはセルシオの方が豪華だったのにLSになったら値段は上がるし、内装はチャチになると怒るだろうが、まあ、そういうユーザーにはクラウンマジェスタを薦めることにしよう。

シートの座り心地は国産車としては上等で、これもまたISやGSとは格が違う。ベースグレードはLSでは唯一のファブリックシートが装着されており、言ってみれば本来の売れ筋のLSに比べてセコいシートという事になるから、今後街を走っている大部分のLSはもっと良いシートがついている筈だ。今回の試乗程度の時間では、長時間乗った際のシートによる疲れ具合は判らないが、一般的に評判の悪い国産車の中では 悪くはなさそうだ。まあ、値段も最上なのだから、10分間座ったら腰が痛くなるシートは付けないのは当然でもあるが ・・・。

次にバージョンSはといえば、こちらは標準でレザーシートが装着されている。座面には細かい通気穴が開いているタイプで、それが理由かどうかは判らないがツルツルと滑るような事はなかった。ショールームでは数十万円高いオプションのセミアニリンのレザーシートを装着する‘Iパッケージ’も見たが、確かに革の表面がしなやかだと言われればそう思うが、例え標準レザーを購入しても直に両者を比較しない限りは慣れればどちらもそう変わらないし、セミアニリンシートに座った瞬間に標準レザーとは明らかに違う心地よさや高級感に室内が満ち溢れているとは到底思えな かった。 更に‘Iパッケージ’はピラーと天井の内張りがアルカンターラとなっているのだが、これも標準のスエード調の布が極めて良く出来ていて、チョッと見にはコレマタ区別が付かないくらいだ。 そんな訳で、長い間使った時の耐久性などは判らないが、少なくとも新車で比較した分には明らかな差は見つからなかった。えっ?「オマエ、それは見る目が無いんだよ」と言われそうだが、あれを見た瞬間にセミアニリンだと当てられる人が何人いるのだろうか? それとも、トヨタ流の例のパターンで、マークレビンソンと聞いてオッタマゲて期待一杯で聞いてみたら所詮カーオディオで、しかも日本のカーオーディオメーカーが製造したOEM製品で、本物(室内に設置する)のマークレビンソンとは雲泥の差だったなんていうのと同じだったりするんじゃないかな?
 


トヨタ丸出しなのだけれど、ISやGSの無理に欧州のプレミアムセダンを真似たが何だかチグハグ
な内装と比べて、流石はフラッグシップだけあって格が違う。写真はベースグレード。

想像どおりにエンジンが回っているのかどうかは回転計を見ないと判らない程に静かで振動の無いアイドリングに、これぞトヨタのレクサスと心で叫びながらパーキングブレーキの解除方法を探すと、なんとオートモードにしておけばATセレクターをDにすると、自動的にパーキングブレーキが解除されるのだった。以前に初めてセルシオに乗った時は、走り出した瞬間にお〜ッと叫びたくなるような静かで滑らかなフィーリングにオッタマゲ たものだったが、新型のLSも当然ながらセルシオの伝統その物なのは言うまでもない。 同じレクサスのV8でもGS430とはクルマの出来がマルで違う。ところが、先代セルシオの4.3ℓ、280ps、43.8kg・mに対して、4.6ℓ、385ps、51.0kg・mの新型LSは車重が百数十kg増加したこともあり、 トルク感と加速感に明らかな違いは感じなかった。 先代のセルシオだって国産乗用車としてはトップの動力性能を持っていたから、新型LSに乗っても特に感動はない。
既に公言されているように来年の春までにはハイブリッドのLS600hが発売されるだろう。Sクラスも7シリーズも最上級モデルは6ℓのV12を搭載している。レクサスの場合は伝家の宝刀であるハイブリッドにより6ℓ並みの性能を出そうということで、これはトヨタのアイデンティティとしては実に正解だ。 ただし、GS450hに乗ってみたら期待を見事に裏切る鈍重な操舵性能に、折角のハイブリッドによる動力性能や、先進性などのメリットを考えとしても未完成もいいところだった。 今度のLS600hがどの程度の完成度を示すか興味のある点でもあるが、ゼロヨンしか取り得の無い直線番長でなければ良いのだが・・・・。


800万円上のクルマニしては高級感がないし、何より日本語表示といってもカタカナだらけなのが情け無い。同じ日本語表記でもセンチュリーは格調高いのに・・・。


GSはミラーの調整などのスイッチを蓋付きのボックスに入れたため非常に使い難く非難のアラシだったが、LSでは世間の常識どおりのマトモな位置になった。


後席重視のバージョンUのリアセンターアームレストの蓋を開けたところ。

 


バージョンUはフロントセンターコンソール後方がリアリートから操作出来るようになっている

 

新型LSのミッションは世界初の8速ATを装着している。ATの段数は4速から5速になった時には随分と良くなったのが実感できたが、最近流行の6速ATは5速との体感的な違いはあまり感じない場合が多い。 そういう意味では8速ATなんて意味があるのか疑問だったが、さて、乗ってみれば想像どおりに何が良いのか判らない。確かにスムースで何処で変速したのか判らないが、先代セルシオの6ATで何の不満もなかったから、8ATなんて要らないから値段を下げてくれ 、なんて言いたくなる。普通に走行していてキックダウンのつもりで強くスロットルを踏んでみてもジェントルな設定で、自慢の8ATは中々シフトダウンしてくれない。8速もあるんだら、即座にシフトダウンしても良さそうなものだが。今度はATのセレクトレバーでSモードにしてみると、上手くキックダウンが出来た。そこでフル加速を試 してみれば、新型の4.6ℓ V8エンジンは適度なV8のビートと共に何のストレスもなく軽く吹け上がり、6500rpm程度でシフトアップした が、決してワクワクもドキドキもしなかった。それに、4000rpmを過ぎてから一段とパンチが効いてくる・・・・何てこともない。このトップエンドのスムースさは先代セルシオを凌いでいるようだ からエンジンも確実に進歩しているのだろうが、だから如何した、旧型で十分じゃないかと言いたくなってしまう。世間では俗にトヨタ馬力なんて言われているように、このLSも385psというトテツもないハイパワーは本当なのだろうかと疑いたくなってしまう。 車両重量1,940kgに385psだから馬力当たりの重量は5.04kg/psで、これは06ボクスターSの1,410kg・280psと全く同じ条件だが、実際に体感する動力性能は大分異なる。


ATのセレクターは上からP-R-N-DでDから右に引いてS、上で+、下で-のMTモードとなるのは欧州のティプトロニックと同様。配置やゲートの形状はGSと殆ど同じ。


ISやGSの子供だまし的なハイテク感とは違い、先進性の中にも趣味の良さがある。 制限速度云々は別にして、380psのクルマに180km/hフルスケールはいただけない。ハッタリで良いからオプションで300km/hくらいにならないのか。。

操舵性については、先ずはベースグレードから説明しよう。ステアリングの第1印象はと言えば、とにかく軽いということで、良く言えば楽チンだがスポーティと言う言葉とは縁遠いのは先代セルシオと同じだし、それでいて決してヨレヨレでないのは次元が高いというか、流石にトヨタの最高級車だが、これもまた先代セルシオと大きく変わらないような気がする。 ただし、マジェスタのステアリングは更に軽いから、LSの軽さはマジェスタからの買い換えユーザーも考慮に入れた中で、最大限に欧州車的な妥協点なのではないか。試乗コースの途中に丁度良いコーナーがあって、ここを普通のドライバーなら十分に速いと思われる60km/h程度で進入してみたが、極々自然に安定してクリアしたから、LSのコーナーリング性能は決して悪くないのだが、何度も言うが面白くない。そして、ステアリング自体も決してトロクはないがクイックでもない。それより何より、スピード感の無さはどんなクルマよりも特出している。 良く出来た欧州車を表現するのに、スピード感がなくて、ふと気が付くと恐ろしい速度になっているという話しを聞くだろうが、LSのスピード感の無さは度を越えていて、これで危険はないのだろうかと考えてしまう。要するに欧州車の場合は安全な場面ではスピード感はないが、条件が悪い場合、例えば狭くて人通りが多い場合などは、チャンと危険を感じて速度を落としたくなる。 ところがLSは如何なる場面でも速度感覚が無く、外界はバーチャル世界のようで、まるでゲームでもやっているような感覚で運転することになる。

乗り心地は素晴らしく良い。しかも、可変サスの中間であるノーマルのポジションで実に快適な乗り心地を提供してくれる。スポーツに切り替えると多少硬くなるが、それでも十分に乗り心地は良いし、BMW7シリーズと比べればこれでもマダマダ柔らかい。更にコンフォー トと呼ばれる最も乗り心地を重視するポジションで試したら、当然ながら更に乗り心地は柔らかくなった。 ただし、コンフォートを選んでも少し前のクラウンロイヤルのようにフニャフニャにはならないが、この柔らかさならばクラウンオヤジからもクレームは出ないだろうし、これでも硬いと言われたらば「レクサスはグローバル基準のクルマですから、欧州車と同様に硬い乗り心地になっております」と言う説明で納得するレベルだ。 先代セルシオの可変サスはスポーツにすると結構硬くなり、まるで欧州車のようで、ノーマルにすれば今度はフニャフニャのクラウンロイヤル的になったから、この面では新型LSの進歩は十分にある。ベースグレードは装着タイヤが235/50R18だから乗り心地では有利には違いない。

次にバージョンSは如何かといえば、乗った瞬間に違いを感じる程ではないが、操舵性は幾分シッカリしている感じがする。ベースグレードだって安定性自体は決して悪くは無かったから、バージョンSの必要があるのか何て考えたくなる。 245/45R19というサイズのタイヤを装着する割には、こちらも結構乗り心地は良い。試乗に同乗したセールス氏に案内されて、つなぎ目が大きく凸になった橋を渡って見たが、実に上手く吸収した。実は新型LSには大きな衝撃を感じるとGPSにより位置をメモリして、 次に同じ場所に着たらここはガツンッとくるぞという情報を先に知った上でダンパーの制御を行うそうだ。何だかちょっと反則技っぽいが、流石は日本のハイテク技術と感心する。
他にも標準とオプションを合わせればハイテク装備のオンパレードとなるが、この方面については興味のあるかたは解説本でも買って読んでもらう事にしよう。
 


LS460の新型V8 4.6ℓエンジン。385ps/6400rpm、 500N-m/4100rpmを発生する。
ボンネットを開けると、内部は完全にカバーで覆われている。

レクサスのブレーキシステムは最廉価版のIS250を除いて、全てがフル電子制御のブレーキバイワイヤ方式を採用している。今まで、IS350、GS350/430と殆ど同じブレーキシステムを持つ3車種に試乗しているが、3車種ともフィーリングが異なっ ていた。今回のLSは、その中でも最も良かったGS350のフィーリングと同じだった。発売から1年が経過してバラつきも少なくなったのか、それともLSは製造時の検査基準がより厳しかったりするのだろうか。ブレーキペダルを踏み込むと短い遊びを経てガンっとベダルが壁に当たったかのように動かなくなり、その後は殆どストロークせずに踏み込む力(踏力)のみでブレーキ力をコントロールする。 これが良いか悪いかは個人の好みにもよるが、高級乗用車の特性としては安心にて制動できるから良いのではないか。最近の国産車のブレーキは何れもストロークが短く、剛性感がある特性になっている。LSの踏力に対する減速度の出方も適正で、カックンを感じるほど軽くは無いが、 小柄な女性でも十分に減速出来る程度には軽いから、全く文句の付けようがないくらいだ。試しに強めの制動を試みたが、車両の挙動も安定して、これなら緊急時の急制動にも安心だ。まあ、800万円の国産車なのだから、良くて当たり前でもあるが。
以上がベースグレードのブレーキについての感想だが、さらに大径のブレーキローターを装着するバージョンSは如何かと言えば、ベースグレードに比べて感動するほどブレーキ性能が良いという訳ではない。 まあ、これもベースグレードのブレーキの出来が良いから、それより多少良くても大きな意義が無いという訳だ。

もうお判りだろうが、バージョンSというのはスポーティな外観をもった上級バージョンで、決してスポーツ走行をするためのモノではない。確かに、コーナーを攻めるのにLSを買うユーザーはいないだろう。 大型サルーンの中では例外的にハンドリングがスポーティなBMW7シリーズだって、スポーツ走行を楽しむには幾ら何でも大きすぎる。実はLSに試乗して驚いたのは、7シリーズに比べて格段にすれ違いが楽だったことだ。 寸法上でも全幅が狭いLSは流石に国産車だけあって、多少は狭い日本の道路のことも考えているのだろうか。
  


標準グレードに装着されている235/50R18タイヤ。


こちらはスポーツグレードでもあるバージョンSに装備される245/45R19タイヤ。


リアブレーキもアルミ対向キャリパーを装着している点がGSと異なる。ローター外形はΦ315mmでバージョンSのみΦ335mmとなる。


フロントブレーキはアルミ対向4ピストンキャリパーと外形Φ334mmのローター。ただしバージョンSは外形Φ357mmのローターとなる。

元々グローバルレベルで見ても、静粛性や造りの良さで定評があった旧LS(国内ではセルシオ)の後継モデルだから殆ど進化が無くても、それだけである程度のレベルは確保している事にはなる。新型LSは正常進化だと言えば聞こえは良いが、大きく進歩した訳ではないのに価格だけが上がったのは、ユーザーにとっては面白くない。メルセデスSクラスやBMW7シリーズど同等とまでは言わないが、結構迫っているクルマをベースグレードなら600万円以下で買えたことに意義があった先代セルシオに対して、レクサスブラン ドになったら一気に200万円近くの値上げになってしまった。レクサスへの移籍の結果として、先代セルシオのオーナーが新型LSを見て地団駄踏んで悔しがるよう な出来であって欲しかったが、これなら直ぐに買い換えなくても当分はセルシオに乗っていようなんて思うに違いない。

と、色々苦言を言ってしまったが、値段やクラスの違いを考慮しても、LSがISやGSとは格が違うことは間違いない。昨年のレクサス開業の時には、同時に発売したのはソアラのエンブレム違いのSC を除外すれば、残るはGSだけ。そのGSはアリストのモデルチェンジ版だから、こんなものでプレミアムブランドで御座いますなんて言ったって世間様からは物笑いになるだけだった。しかし、あの時点でLSがあったら、いやLSが発売されるまで開店を延ばしていたら、今ほどに世間からバカにされたり、立派なショールームに閑古鳥が鳴いたりはしなかったのではないか。聞くところによれば、レクサスの国内展開にあたって集められた人材は自動車以外の高級品の専門分野から、その道のエリートをヘッドハンティングしてきたそうだ。しか しクルマと言うのは泥臭くてエリートとは無縁な、現場を知ってナンボの世界だから、彼らが頭のなかで考えるようには事は進まなかったし、クルマの道にドップリ使った人間から見れば、一年前のレクサスの方針は聞いただけで吹き出してしまうほどに滑稽だったから、今の状況は当然の結果だといえる。

期待の星であるLSは今注文しても納車は来年との現状から、レクサス人気も完全に回復したと誤解されそうだが、今のLS需要はセルシオからの定期的な買い換えユーザーがLSの発売を待っていただけのことで、一年もすれば本来の台数に落ち着くことは間違いない。そして今、遅ればせながらLSの発売でレクサスの他車種の人気も盛り返そうとしているが、半年先まで予約があるというLS人気の割にはショールームは相変わらず閑古鳥が鳴いている。今後はハイパフォーマンスのV8搭載のIS(500?)などの追加発売が噂されているが、一度落ち目になった状況からの脱出は、そう簡単にはいかないだろう。しかし、結果が良かろうが悪かろうが、それなりに世間に話題を提供することは間違いない。

元来、セルシオの個人ユーザーは2割程度で残りは法人登録だった。それでも自分の財布から600万円をだして買ってくれた2割の個人ユーザーは、今後どうなるのだろうか?800万円と言えば、車格はLSより落ちるとは言っても本物のプレミアムブランドが視野に入る価格だ。 LSのクルマとしての出来は、欧州車とは別のコンセプトと思えば決して悪くは無いが、この価格設定はどんな物だろうか。先代セルシオを駆け込み購入した個人ユーザーが悦に入っている姿が目に浮かぶ。
更に気になる事がある。セルシオに乗って客先を訪問した時には「あっ、社長、良いクルマ乗ってるねぇ」と言われたって、「いやぁ、トヨタ車ですよ。本当はベンツなんかに乗りたいけど、とても予算は無いし。せめて納入価格を世間相場まで上げてくれれば買えるんですけどねぇ」なんていいうことでマルく収まる。 ところがレクサスと言うのはプレミアムブランドなのだから、「あっ、社長!これって、ベンツなんかと同じなんだって?儲かってるんだねぇ。これじゃ、納入価格の見直しがいるねぇ。一律5%値下げでも頼むかな。」なんて事になってしまう。 それに、LSは最高級車だから格としてはベンツのSと同じと思えば、ご自慢のBMW320iに乗る客先の調達課長が黙ってはいないだろう。さあて、社長のセルシオも来年は2度目の車検だし、何を買ったら良いのやら? そうだ、メルセデスEクラスワゴンなんて如何でしょうか?「いやあ、ベンツって言ってもライトバンですよ。やっぱり商売にはライトバンが一番。私も課長さんのように大企業のエリートならセダンに乗れるんでしょうけどねぇ。 ところで課長さんのビーエム、調子はどうですか?やっぱり、サルーンは良いですよね。」なんて具合になれば良いけど。