それでは操舵性は如何だろうか。先ず直進時のステアリングはドッシリとしていて良く言えばもっと大きな上級車的だし、悪く言えば軽快感が無いし決してクリックでは無い。これも先代スイスポの圧倒的なレスポンスと比べてしまうからだが、まあそれはそれとして、今度はコーナーリングを試してみる。と、言っても今回の走行コースではそれ程本格的なコーナーは無かったのだが、それでも途中いくつかのブラインドコーナーがあって、そこでの結果はアンダーステアは感じるがスポーツハッチとしてはまあまあ合格というところで、これまた先代のように MT を無暗にシフトしたくなるような楽しさは感じられなかった。
スイスポのタイヤは新旧共に 195/45R17 と同サイズだが、見た目では新型の派手なホイールが目に付く (写真47) 。そして乗り心地はといえばこれは決して悪く無く、言い換えればこれもホットハッチ的なガキっぽさが無く、大人向けに躾けてあるという感じがして、ガッツンと来る先代よりも乗り心地は向上しているがホットハッチらしさといえはやはりガッツンを選びたくなる。
最後にブレーキについては非常に軽くてペダルにチョイと脚を載せただけでガッと喰い付く、少し前の BMW のようだ。これだと3つのペダルを駆使する所謂ヒールアンドトウをする場合につま先にチョッと力が掛っただけで不要な減速をしてしまうなど、この手の MT ホットハッチとしてはイマイチなのだが、実はこの点に関しては先代も同様で、言い換えればスポーツ度抜群の先代でただ一つ惜しいのが、このブレーキの特性だった (あっ、ペダル配置もあった) 。まあこの主な原因はパッドの特性であり、要するに社外品のスポーツパッドに換えれば解決できる可能性は高いが、この世界は玉石混合で下手をするとインチキ物を掴まされる事もあるので注意が必要だ。
そのブレーキのユニットをホイールの隙間から眺めてみると、どちらも前後共片押しのシングルキャリパーでリアがローターの頂点位置に取り付けられているのも同じだった (写真48) 。なおリアのパーキングブレーキはどちらもキャリパーに組み込まれている通称P付きタイプで、パーキングブレーキ用のドラムを持たない為に駐車ブレーキとしての保持力がどうしても劣る事と、ブレーキパッドにパーキング時の摩擦係数が高い材質を使うために、高速走行時の特性では多少劣る事も考えられるが、まあ実用上の問題は無い。それよりも、この方式は国産では某専門メーカーが独占に近く、自社の直系メーカーから購入するホンダは特許を逃げた構造だし、さてスズキのキャリパーは何処から買っているのだろうか。
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