ここでエンジンルーム内に目を移すと、新型 SK のハイブリッドは 2.0L NA 145ps 188N-m の水平対向4気筒エンジンを縦置きし、これに13.6ps 65N-m のモーターを組み合わせている。そして先代 SJ (XT) は同じく水平対向4気筒 2.0L ではあるがターボ過給により 280ps 350N-m という殆ど SK ハイブリッドの２倍の出力＆トルクを発生している。そんなものを比較するのが間違っている、と言われそうだが、価格はどちらも殆ど同じ！ これゃ一体どうなってるんだ。責任者呼んでこい、という気持ちになる。

取りあえずターボの話はここまでにして、今度はフォレスターのハイブッドがライバルと比べてどの位置にあるのかを検討してみる。比較相手としては国産ハイブリッド SUV として 日産 エクストレイル、トヨタ C-HR、ホンダ ヴェゼル を選んでみた。この中で価格・カテゴリーとも一番フォレスターに近いのは エクストレイルでエンジン性能は同等だが、電気モーターはフォレスターの13.6ps 65N-m に対して41ps 207N-m とパワー・トルク共に3倍程も強力となっている。

C-HR についてはフォレスターより車両カテゴリーは一つ小さく、エンジンも少し非力だがモーターは72ps 142N-m であり、特にパワーに於いてはフォレスターに比べて圧倒的に強力だ。それではヴェゼルはというと、こちらのモーターは29.5ps 160N-m と、これもC-HR 程では無いにせよ、フォレスターに比べれば充分に強力だ。

ということでフォレスターの非力さは数字でも裏付けられたし、ライバルと比べてもチョイと情けない。

ここでエンジンルームを開けたついでにブレーキのマスターシリンダーを眺めると、これは先代のターボと同じバキュームブースターが見える (写真38) 。という事はバイワイヤー等の回生ブレーキをフルに使うような構造にはなっていない事が判る。そう言えば走行中にアクセルをスパっと離した時にハイブリッドらしい減速感は感じなかったが、まあこのモーター性能を考えればそんなモノかもしれない。

どうも動力性能に関しては良い点が付けられなかったフォレスター ハイブリッドだが、それでは操舵性や旋回性はどうだろうか。今回のコースには本確的なハンドリングを試すようなコーナーの連続等は無いが、途中何箇所かは適度にタイトなコーナーもあるので、ここで気合を入れて試せば良いのだが、今回はハイブリッド性能を試す事を第一とした事からコーナーリング性能については、正直言ってそこまで手が回らなかった。しかし、この試乗でディーラーに戻ったら直ぐにガソリン2.5L に試乗する為に、コーナーリングについてはこちらでシッカリと試す事にする。とはいえ、普通に流しているような旋回では特に気になるようなアンダーステア等は感じられなかったし、操舵力も適度な軽さだった。

スバルの自然吸気モデルはパワーこそ無いが乗り心地が適度に柔らかく絶妙な乗り味のモノが多かったが、今回のクルマはハイパワーモデルのように硬めだった。実際タイヤサイズも 225/55R16 という先代ターボモデルと同じサイズを使用しているが、145+13.6ps に 280ps と同じタイヤが必要なのだろうか？

ブレーキはスバルらしくこのクラスとしてはオーバースペックとも言えるフロント2ポットキャリパーを備えている。その為に踏んだ瞬間に明らかに効きが違う‥‥何て事は無いが普通に良く効く。

もう何度も述べたのでこれ以上は言わないが、このクルマのハイブリッドはライバルと比べて幾らなんでも非力過ぎる。せめて 2.5L エンジンを搭載し、それに対してプラスアルファを担わせるなら兎も角、エンジン性能の劣るモデルにそれを補うに至らないモーターを付けてハイブリッドで〜す、というのでは本末転倒ではないか。

まあそうは言っても、結論は 2.5L と比べてからにしよう。その為に今回はハイブリッド試乗に続いて比較の為に 2.5L にも乗っている。ということで以下に続く。

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