Alfa Romeo Giulietta Quadrifoglio Verde (2015/11) 前編 その2

  

ヘッドライトは "ダークグレー仕上げアダプティブ機能付きバイキセノン (光軸自動調整式) " で、LED デイランプおよびフォグランプも標準装備される。アルファのアイデンティティとしてはフロントの盾型グリルの中央上部とリアゲード中央にそれぞれアルファロメオのマークが (写真13) 、そして車名のとおり四葉のクローバーがフロントフェンダー後部に付いている (写真12) 。この四つ葉のクローバーは 1923年のタルガ フローリオで優勝したアルファロメオ RL TF に付いていたという伝統的なもので、写真1を見ればジュリアGTA のフェンダーにも付いている。

そしてもう一つ、最近のアルファらしいのはリアドアの開閉ノブがCピラー近くのドアサッシに仕込まれていることだ (写真14) 。これは初めて見るとリアにドアノブが無くてどうやって開けるのか解らないというのは本国でも同様だったらしく、最初は事故の際の救出にリアドアの開け方が解らないという問題が発生したそうだが、今でもこの方式を使っているところを見れば既に世間から認知されたのだろう。

リアゲートを開けてみると、そこに見えるラッゲージスペースはアウターサイズの割には決して狭くはないのは FWD のメリットであり、BMW が遂に一部に FWD 方式を採用したのもスペースユーティリティ−を考えれば、Cセグメント以下での RWD では限界があることを認めたようなものだ。


写真11
燈火類はバイキセノン (光軸自動調整式) ヘッドライトとLED デイランプおよびフォグランプも標準装備される。


写真12
車名のとおり四葉のクローバーがフロントフェンダー後部に付いている。


写真13
盾型グリルの中央上部とリアゲード中央にそれぞれアルファロメオのマークついている。


写真14
リアドアの開閉ハンドルは写真の位置に隠れている。


写真15
リアラッゲージスペースはアウターサイズの割には決して狭くはないのは FWD のメリットだ。


写真16
排気管は太くて立派なものが左右に各1個、合計2個出しだが、よく見れば先端のみ太いマフラーカッターが付いいているだけだ。

ドアを開けて目に入るインテリアは、例えば今は販売が終了したブレラのように、アルファロメオ = イタリア車 = ド派手な内装というイメージとは程遠く、一見すればドイツ車や日本車と大きく変わらないようにも見える (写真17) 。ただし写真のクルマは内装色がブラックということで地味に見えるのかもしれない。と考えてカタログを調べてみると他に2種類のカラーがあり、一つはレッドだがこれはエンジ色に近い黒っぽい赤だし、もう一つのナチュラルという色は濃い目の茶色と言う具合で、以前のようなド派手なカラーは無かったが、まあこれはあくまで日本向けでありイタリア国内向けについては定かではない。

と、ここまでは日記の内容と同じで、これでは試乗記としての立場が無いということで欧州のサイトを捜してみたらば、ブレラ程にはド派手ではないのももブラウンとグレーのツートーンでシートのバックレストにはデッカい蛇のマークが書かれているものがあった。

 Quadrifoglio Verde のシート表皮はレザー/ アルカンターラのコンビで、このレザーというのは恐らく合成皮革と思われるが、この手の材質はPorsche を始め欧州車の多くがサイドに使っているのはコストもあるだろうが本皮よりも丈夫で耐久性があると聞いたことがある (写真18) 。

シート調整は手動式で、バックレストの調整は写真ではセンターピラーに隠れて見えない位置にあるダイヤル式を使用する。このダイヤル式というのは以前には欧州車の多くが採用していて、これに対して当時の日本車はノッチの粗いレバー式で調度良い角度に調整できない、すなわちマトモなドライビングポジションがとれないという今考えればトンデモ無いシートが当たり前だったから、微妙な調整が出来るダイヤル式を見た時には感動したものだった。

写真17
アルファロメオといえば Brera のようなぶっ飛んだイタリアンデザインを想像するが、ジュリエッタはドイツ車や日本車と大きく変わらないくらい地味に見える。


写真18
Quadrifoglio Verde のシート表皮はレザー/ アルカンターラのコンビが標準となる。


写真19
シート調整は手動式で、バックレストの調整はセンターピラーに隠れて見えない位置にあるダイヤルを使用する。


写真20
リアシートのヘッドレストも3人分用意されていて、しかも白と緑のステッチが入ったレザー表皮だ。


写真21
比較的地味な内装のジュリエッタだが、フロントシートのヘッドレスト下には ”Giulietta" のロゴの入ったクローム部品にアルファらしさを感じる。

ドアのインナートリムも地味だが、それ以上に樹脂部分がいわゆるプラスチッキーというヤツで質感は決して良くない。革細工の上手さに対して樹脂成形部品はコストダウンというよりも樹脂の金型技術がイマイチというもイタリアンなのだろう。考えてみれば革加工の得意なイタリアなのだからドアトリムだって肘の当たる部分くらいは革張りのパッドくらいは欲しいものだし、肘掛けにはステッチくらいあっても良さそうなものだが‥‥。


写真22
ドアのインナートリムも地味だし樹脂の質感も良くない。


写真23
拡大してみれば、やっぱりショボイ。この部分なんてレザーにステッチの入ったパッドくらいは欲しい。

ダッシュボードやセンタークラスターのデザインもシートやインナートリム同様に結構地味だし、大きな特徴もない。センタークラスターには薄い厚みのエアアウトレットに下には2DIN スペースのブランクがあり、要するに標準はオーディオレスでありユーザーが市販品のオーディオ一体ナビもしくはCD付きラジオなどを組み込む事になる。今回の試乗車には国産の一体型ナビ (Carrozzeria) が付いていたが、この方式は国産車でもC セグメント以下の小型車では一般的なものだし、高級輸入車でも販売台数が少ない Porsche などでは標準装備の純正ナビとはいえ市販のオーディオ一体型を日本国内で後付けしている。アルファロメオの場合も当然ながら輸入台数は少ないだろうから、まあこれは仕方無いだろう。

と、ここまで書いてから念の為にカタログを参照したらば確かに 1.4L ターボ 170ps のSprtiva はオーディオレス8スピーカーとなっていたが、Quadrifoglio Verde には Alfa Romeo メモリーナビゲーションシステムが標準装備と書いてある。確かにナビの下の枠には "Alfa Romeo" のロゴが付いている (写真25) が、この Alfa Romeo メモリーナビゲーションシステムって、もしかして‥‥Carrozzeria をアルファのロゴ付けた枠にはめ込んだだけ?? しかし、そうなると写真24 が Quadrifoglio Verde にも関わらずブランクパネルとなっているのは、これいかに?

今度はリアシートに移動してみると、フロントのセンターコンソール後端はリア用のエアアウトレットが組み込まれているのは最近の常識だが、アルファも常識的になったものだ。それでもデザインを見ると丸型が一つでその形状は、まあ辛うじてアルファ的なデザインかな‥‥ということにしておこう。

写真24
インナートリム同様に地味で特徴の無いダッシュボード。


写真25
センタークラスターにはオートエアコンの調整ユニットがありその上は Quadrifoglio Verde に標準のAlfa Romeo メモリーナビゲーションシステムだが、ロゴ付きの枠以外は市販ナビそのもの?


写真26
センターコンソールの後方には最近のクルマでは定番の後席用エアアウトレットが組み込まれている。

内外装、とりわけ内装については往年のアルファロメオらしさ、というかイタリアンテイスト満開のものを期待するとチョイと裏切られる事になる。そういう意味では今でもコテコテのイタリアンを望むならば アバルト 500 などがお勧めだ。
Abarth 500 試乗記

さて一番の興味である走行については後編にて。

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