【速報版】Mercedes Benz New(W205) C180 試乗記 (2014/7)
  

このサイトの読者の主流となる3シリーズオーナーや検討中のオーナー予備軍からすれば、今年最も興味の湧く車種はメルセデスの新型Cクラス(W205)であろう。ということで、今回一番ベースとなるC180に試乗したので、先ずは速報版として試乗結果に的を絞って急遽アップすることにした。

試乗したクルマはC180で、残念ながら419万のベースグレードではなく467万円のAvantgardeにレザーエクスクルーシブパッケージ(70万円)まで付いていたから車両価格は537万円と決して買い得とはいえないが、そのお陰もありインパネはレザー仕上げでステッチが入るなど室内は高級感に溢れている。ただしエンジンスペックなど走りの性能自体は同じC180だから、ベースグレードと変ることはないので、419万円也のモデルがどの程度の性能なのかの判断は付くだろう。

シートに座ってみるとレザーとはいえ滑ることもなく、硬いようでも必要なところはシッカリと沈み、寧ろ柔らかく感じることから、体全体をしっとりを包み込むように体にフィットするという典型的な出来の良いシートだった。本来メルセデスのシートは極めて金を掛けた高級仕様だったのだが、初代Cクラス(W202)からは当時のコストダウン方針からシートにしわ寄せが来てしまい、先代となる190E (W201)に比べると随分ショボくなり「メルセデスも終わった」と嘆いたものだったが、それから20年掛かってようやく以前に戻りつつあるようだ。なお、シートの調整は今回からドアのインナートリムに場所が移ったので、シート側面下に手を突っ込んで半分手探りで調整するという例のヤツに比べると大分文化的になったが、まあこれは好みもあるだろう。


センターコンソールを見るとATセレクターらしきものは存在しないことから、これはEクラスと同様にステアリングコラムにあるレバーが怪しいと視線を移すと、レバーにはNを中心に▲R、▼DそしてPと表示されているから、ブレーキを踏んでレバーを下に押すとメータークラスター中央のディスプレイには"D1"と表示された。次にパーキングブレーキはというと、これもセンターコンソール上には無さそうだし、ブレーキペダルの左側のフートレスト付近にもパーキングブレーキらしきペダルは無かった。そこでインパネ右端の下端辺りを見まわすと、それらしきレバーを発見したので、これを引いてみると目出度くパーキングブレーキが解除された。

最初は狭い裏道を表通りまで進むために極低速で走行するが、このような僅かなスロットルの操作ではレスポンスも決して悪くないから操作性も上々だ。表通りの手前で一時停止してクルマの切れ目で本線に入り、ハーフスロットルで加速すると多少のレスポンスの悪さも感じるが、巡航速度になれば全く問題はない。このまま50q/h程度で巡航している状態での回転計の針は1,500rpmくらいを指している。

最近のクルマは走行モードを切り替えられる場合が多く、これを変えると特性が激変する場合もあり、もしもこれを知らずにノーマルモードのみで走行していたらば、その評価はあまりレスポンスの良くない低パワーのクルマとなるし、それがエコモードだったりしたらばそれこそどうしようもなくトロいクルマとの評価になってしまう、という訳で早速スポーツモードに切り替えてみる。走行モードの切り替えスイッチはフロアコンソール上にあり、表示は"MODE"ではなくて"AGILITY"だ。 標準の"Comfort"から前に押すと"SPROT"となり、更に押すと"SPORT+" となり、逆にComfortから手前に引くと"ECO"となる。

巡航中にComfortからSportに切り替えると回転計の針は1,500から2,000rpmに跳ね上がる。このモードではアクセルレスポンスが向上して結構スポーティーに走れ、パワー的にはこれがCクラスのボトムであることが嘘のようだ。元々メルセデスのベースグレードというのは走りを求めるドライバーにはパワー的に物足りなく、まあ実用上はこれでも良いとしてもハッキリ言って”老人向け”という程度だったが、今度のC180はSPORTモードを使用すると”180”という車名からは想像できないくらいに充分な動力性能になる。

そこで、20q/h位からフルスロットルを踏んでみると、この時の加速性能は残念ながらもう一つ足りないような気がする。それでは更にスポーティなSPORT+にしてみるとどうなるかといえば、アット驚くハイレスポンスで、スロットルの微妙な操作にも即座に反応するし、何より驚いたのはSPORTモードではイマイチだったフル加速でも充分な加速力を発揮したのには驚いた。正直言って常にSPORT+に入れっぱなしにしたいくらいだが、グッと堪えてこんどはECOモードを試してたが、予想どおりに結果はやるんじゃあなかった!という後悔とともに即座にSPORTに入れ替えたのだった。

今度は操舵性について試してみるが、今回の試乗コースには本格的なワインディングロードというものは無かったから本当のところは判らないが、通常走行の限りでは適度にクリックなステアリングは以前のメルセデスとは打って変わって、スポーティすら感じられるのは既に先代W204から実施されていて、要するに3シリーズ対策でメルセデスの伝統を綺麗さっぱり捨て去ったわけだが、これは正解だったと思う。

このステアリング特性は当然ながら走行モードでも変わり、上記のフィーリングはComfortの時で、これをSPORTにすると更にレスポンスは向上し、SPORT+では従来のメルセデスでは有り得ないくらいにクリックになるが、BMWのSPORT+使用時のようにオーバーレスポンスぎみという訳では無く、極々自然でありながら極めてクイックという、もう自分自身がベタ褒めモードから抜け出ることができなくなってしまうくらいだ。

それで、前述のように今回はワインディング路は無かったが、途中のコーナーや右折時で試した限りでは極々自然でアンダーステアも弱いようだが、BMW3シリーズ程にはニュートラルでは無さそうで、まあ重量配分からしても3シリーズ程徹底した前後50:50という訳でもなさそうで、これについては別の機会にもっと徹底して試したみたいと思っている。

メルセデスが現在のように小型車にまでラインナップを広げた最初の出来事は1982年の190E(W201)からであり、それ以前は現在のEクラスに相当するW124が”コンパクト”と呼ばれていて、単にメルセデスといえば今でいうところのSクラスだった。そして、W201はW124に極めて類似したクルマであり、今は死語となってしまった「最善か、無か」という時代だったから、たとえ小型車(当時の日本でも5ナンバー登録だった)である190Eでも、決して妥協はしていなかった。そんな状況だったから、メルセデスのブレーキは有無を言わさず対向ピストンであり、片押しキャリパーなんていうのはクルマじゃあない!と、言ったかどうかは判らないが、考えとしてはそういうことだったのだろう。ところが初代Cクラス(W202)ではより大きく、より安くに方針が変わってしまい、その次のW203では更にコストダウンが進んでしまった。

そんな状況だから、気が付いてみたらばCクラスは勿論のこと、Eクラスまで片押しキャリパーが標準となったしまったが、それでも流石にSクラスは伝統的に対向ピストンを標準としていて、多分片押しキャリパーの付いたSクラスというのは無かったはずだ。そして、メルセデスのブレーキフィーリングといえば他社に比べて極端に遊びが少なくでガッチガチのブレーキが思い浮かぶくらいに、BMWとはフィーリングを異にしていた。ところが、先代W204ではまるでBMWのような大きな遊びと軽い踏力に変わってしまった。それでは今回の新型はというと、先代よりは本来のメルセデス的に、すなわち少ない遊びと多少重めの踏力で踏めば踏むほど効いてくるが、しっかり踏まないと効かないとういヤツで、個人的にはメルセデスはこれで良いと思う。

ということで急遽試乗した結果は、C180とは思えない動力性能は只々驚くと共に、これで充分じゃあないかなんて思うくらいで、BMW3シリーズの購入や買い替えを予定しているなら、是非とも新型Cクラスに試乗してみるべきだと思う。ただし、ディーラーがねぇ‥‥