Chrysler 300C Luxury (2013/5) 前編

  

クライスラーがダイムラーグループと合併したのが1998年で、その成果の一つとして旧Eクラス(W210)の構成部品を流用したクライスラーLXプラットフォームを使用したFRセダンとしてクライスラー 300を2004年から発売した。この300は日本でも販売されていて、独特の迫力あるスタイルや割安な価格などで個人的にも結構注目していていたのだが、今まで試乗する機会がないままにFMCされてしまった。

実際に街中で見かける300の迫力は相当なもので、クロームメッキのワイドホイールとスモークスクリーンを貼った時の雰囲気は危ない商売の人達が絶賛するであろうオーラが漂っていて、一般人からすれば「兎に角関わり合いたくない」と感じるだろう。最近はメルセデスでさえ街中に溢れていて、たとえSクラスでも以前のようなオーラは影を潜めてしまい、危ない商売の連中も今やその神通力のご利益の恩恵は無くなっているから、クライスラー300は貴重な存在だ。


写真1
先代の独特の迫力あるスタイルは危ない商売の関係者でも人気抜群?

この試乗記ではクライスラー300は初登場であるから、ここで300の立ち位置を他のEセグメントセダンとのスペック比較で確認してみる。比較相手は国産Eセグメントサルーンの代表であるクラウンとフーガから300のV6 3.6Lと同クラスとしてクラウン 3.5アスリートとフーガ 370GTを、そして輸入車としてBMW5シリーズの中から3.5L級に相当する535iを選んでみた。

最初に気が付くのが300のコストパフォーマンスの良さで、輸入車というハンディを持ちながらも3.6LのEセグメントセダンがベースモデルならば398万円で買えることだ。クラウンの場合は3.5Lで最も安い3.5アスリートSでも497万円であり、300は何と100万円も安いし、フーガにしても似たようなものだ。勿論、内装や装備の違いは有るにしても、400万円未満でこれだけのクルマを買えるのは脅威であるる。

なお、300にはV6モデル以外に、V8 6.4Lエンジンを搭載したSRT8というフラッグシップモデルがあるが、このSRTというのはメルセデスのAMGやBMWのMモデルに相当するのだという。それにしては300 SRT8の価格は638万円と300C LUXURYよりも100万円高いだけという、これまた買い得価格を付けている。

今回の試乗車はV6モデルとしては上級装備の300C LUXUAY(以下300Cと標記)というモデルで価格は538万円。写真では一部ベースモデルの300 LIMITED(以下300と標記、398万円)についても比較紹介する。エクステリアは基本的には先代からのキープコンセプトだが、独特の下品さというか迫力がなくなったような気もする最大の理由はラジエターグリルが大人しいデザインになったからだろうか。アウターサイズは全長5,000→5,070x全幅1,910→1905x全高1,430→1,495o、そして ホイールベース3,050mmは変わらず、ということで寸法自体は新旧で事実上変わらないのだが、なんだか大きくなったようにさえ感じる。


写真2
V8 6.4Lエンジンを搭載した300のトップモデルSRT8。


写真3
新型は先代の持つ怪しいオーラが減って、高級セダン的になってしまったのが、ある面では残念だ。


写真4
フロントバンバーが先代の下品な粗い格子から細かい横桟という幾分上品なデザイン代わったことで、迫力不足の感があるフロントグリル。


写真5
リアは昔のアメ車を彷彿させるテールライト等、これまた先代よりも上品になっている。

ベースモデルの300と高級版の300Cのエクステリア上での相違点はそれ程なく、リアのエンブレムとトランクリッド下端のバンパー上部のメッキが300Cでは半艶消しとなるくらいだ。そのエンブレムは300Cの場合、”300”の右下に如何にも後付のように”C”が付いている。

トランクは開けた瞬間に奥行きの広さを感じるが、全長が5m超クラスなのだがら当然ではある。見たところでは中小企業経営者必須のゴルフバッグ4セットは楽勝で積めそうだ。そしてトランクルームの床下にはスペアタイヤとバッテリーが入っている。バッテリーを車両後部に積むのは前後の重量配分改善のため‥‥というよりも、エンジンルームにスペースが無かったためらしい。

写真6
ベースモデルの300と上級の300Cのエンブレムは、なんと"300"の部分が共通で300Cは"C"を斜め下に追加している。


写真7
全長5m強という長いボディだけあってトランクルームの奥行きは深い。


写真8
トランクルームの床下にはスペアタイヤとバッテリーが入っている。

次にドアを開けてインテリアを眺めると、試乗車ではベージュ系のインテリアカラーが目に入る。このカラーは其々のグレードにブラック系とベージュ系が選択でき、写真では試乗車の300Cがベージュで比較用の展示車である300がブラックとなっている。室内で300Cと300の大きな違いはシートであり、300Cがレザー表皮でシートヒーターとベンチレート機能まで標準装備されているのに比べて、300はファブリックシートとなり、カタログでレザーシートのオプションを探したが無いようだ。

ドアのインナートリムは300Cの場合はシートに準じてレザーが使われているし、ドアノブなどのメッキも艶消しクロームを使用している等、なかなかの高級感である。なお、ドアを開けると現れるサイドスカットルのプレートは、高級車の場合はメーカー名などがステイタスとなるが、300Cの場合は”CHRYSLER"と書かれていて、これはオーナーがどう感じるかはちょっと微妙だ。なお、300Cにはリアウィンドに電動サンシェードが標準で装備されている。

 
写真9
インテリは300も300Cも其々アイボリー系とブラック系が選べる。


写真10
シート表皮は300Cがベンチレート機能の付いた本皮で、300はファブリックとなる。

写真11
300Cのドアインナートリムはシートや他のインテリアに準じたレザー仕上げとなっていて、高級感も充分にある。


写真12
300Cのドアノブは艶消しクロームとなっている。左端の小さなボタンはシートメモリー用。


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アームレストの質感も高い。


写真14
サイトスカットルプレートには"CHRYSLER"のロゴがあるが、ブランドとしてのステータスは‥…?


写真15
300Cのリアウィンドウには電動サンシェードが標準装備されている。

インパネは独特のデザインでBMW等のドイツ系とも、クラウンなどの日本車とも違い、これはこれで悪くない。ディスプレイはBMWの横長に対して、こちらは正方形に近いくらいに縦横比が近似している。そして中央上部にはアナログ時計を配し、両端のエアーアウトレットを含めて角を丸く落とした楕円形に近いフレームなど、独特のデザインとなっている。エアコンは当然ながらフルオートタイプだが、オーディオとエアコンの操作パネルは必要最小限のスイッチのみで、詳細な設定はディスプレイを使用する。

300Cのダッシュボードを指で叩くと硬くてソフトパットではないが、それではシボ模様の樹脂製かといえばそうでもなく、よ~く見るとピッタリとした本皮が貼られているようだ。実は300Cのインテリアは高級家具メーカーのポルトローナ・フラウ製の”フォリーニョ”レザーを使用している‥‥そうだ。ということは、これがポルシェだったらばレザーインテリアだけでン十万円というところか。 勿論300Cのウッドパネルは本物を使用している。そして300ではウッドパネルは木目調のフェイクウッドで色はダークブルーという何やらクラウンアスリートにソックリで、更にダッシュボードは樹脂製にシボとなるが、メーターフード等の一部にはレザーを使用しているようだ。

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欧州車とも日本車とも異るセンスのインパネは300Cの場合、高級な内装材の使用もあって中々の質感で、これで538万円は安い。


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最近流行りの横長ディスプレイとは異なり正方形に近い。


写真18
エアコンのコントロールと最小限のオーディオスイッチがパネル上にあり、詳細はディスプレイによるのは最近の流行に従っている。パネルは300Cの場合、本物のウッド製。


写真19
ダッシュボードには高級家具メーカーのポルトローナ・フラウ製の”フォリーニョ”レザーが使用されている。


写真20
こちらは300の場合で、木目風のプラスチック製フェイクウッドの色は何やらクラウンアスリートみたいだ。


写真21
300はダッシュボードもフラウ製の本皮ではなく樹脂の成形品を使用している。

300C LUXURYの豪華な室内には正直いって大いなる魅力を感じたが、それよりも140万円も安い300 LIMITEDについても多いなる興味が湧くだろう。既に大きな違いは写真で比較たきたが、ここで300に対して300Cに追加されてる装備を列記してみる。

・プラチナクローム電動格納式ヒーテッドパワードアミラー
・スマートビームヘッドライト
・ラグジュアリーステアリングホイール
・本木目コンソールベゼル/センタートリム/ドアトリム
・アルパイン製プレミアム9スピーカー(サブウーハー付)
・ポルトローナ フラウ”フォリーニョ”レザーインテリアトリム
・イルミネーテッドリアカップホルダー
・ヒーター/クーラー付きフロントカップホルダー
・ナッパレザーシート、ベンチレーテッドフロントシート、フロント/リアシートヒーター
・専用プラチナフロントグリル
・プラチナクロームドアハンドル
・デュアルペインパノラミックサンルーフ
・電動バックライトサンシェード
・アダプティプクルーズコントロール
・パドルシフト(Sportモード)
・ヒーテッドステアリングホイール
・ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション
・前面衝突警報
・20インチアルミホイール、245/45ZR20タイヤ

以上が140万円分の装備ということになるが、絶対に欲しい装備というのも特に無さそうだから、399万円也の300 LIMITEDも充分に検討の余地がありそうだ。まあ、その前に走りを試してみないと流石に勧めるわけにはいかない。ということで、いよいよ実際に走って見ることにする。

この続きは後編にて。

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