TOYOTA SAI vs LEXUS HS250h(2009/12) 前編 ⇒後編

     

 

プリウスに続くハイブリッド専用車としてレクサスHS250hが発売されたのが2009年7月で、このHSのトヨタブランド車であるSAIが発表されたのはモーターショーの前(10月)だった 。ただし、実際の発売は12月であり、この程やっとの事で実車がデリバリーされ始めたところだ。
HS250hの価格帯は395〜535万円(Version L)に対してSAIは338(S)〜426万円(G ”AS Package”)と、その差は約60万円。果たして、60万円分のメリットはあるのだろうか。と、いうことで、早速両車の比較をしてみることにする。

今回の試乗車はSAI GというSAIとしては上から2つ目のグレードで、価格は 380万円。これに対して写真での比較対照としたHSは、Version Iという上から2番目の グレード(453万円)のために、標準でセミアニリンレザーシートが装着されている等、条件的には対等ではないが、HSのベースグレードの展示車等が見つからなかったことから、これで勘弁してもらうことにしよう。なお、SAIも22.6万円でレザーシートが装着されるので、車両価格は402.6万円となり、この場合の価格差は約50万円となるから、以後の比較では SAIとHSは50万円の価格差と表現する。

エクステリアについては、フロントから見るとラジエターグリルの形状とトヨタおよびレクサスマーク、それにライト形状は異なるものの、基本的にはほぼ同一であることが判る(写真1)。リアに ついてはテールランプが全く異なるので印象が違う(写真2)が、トランクを開けてみると内部は全く同じで、それどころかボディーの骨格も同じである事が判る(写真3)。


写真1
フロントから見て大きな違いはラジエターグリルとライトの形状、そしてバンパーのエアインテイクとフォグランプなど、
小物をチョコチョコと変えている。ボンネットも良く見れば形が異なる。


写真2
リアの最大の違いはテールランプの形状で、HSは他のレクサス車、例えばISなどとイメージを統一している。


写真3
トランクの中は全く同一。 しかも、トランクリッドを開けた時のボディ形状も全く同じだから、テールランプなどで違う印象を
持たせただけで、実際には同じフレームを持つ事実上の同一車両であることが判る。

シートはトヨタ的なもので、写真4〜5のようにSAIとHSのシートは前後とも同一の形状となっている。違いはシート表皮だが、これはSAIにもレザーシート(オプション)があるし、HSにもファブリックシートがある(低位グレード)から今回の比較が全てではないが、一般的にSAIはファブリックが、HSはレザーが多いだろう。さらに、写真を見れば、ドアを開けると見える各ピラーのフレーム形状も全く同じだから、この2車は基本的には全く同じボディ (フレーム)であることが判る。
そのシートに座ってみると、着座位置は結構高い。シート自体はトヨタ車としては決して悪くないが、HSのレザー表皮とは肌触りが違い、まあ好みの問題とはいえ価格差の分だけHSの方が座り心地が良いようにも感じる。そして、シート自体の寸法や形も決して悪くはないから、20分で腰が痛くなったり、太ももが浮いていて直ぐに足が痛くなったりするというカローラ的な問題はない。シートの調整は 全て電動で、調整用スイッチの位置や方法もHSと同様だが、よ〜く見ればスイッチ自体の形状が微妙に違う。なぜ、そうまでして違う部品を使うのかは定かではないが、シートのフレーム などの大物の金型は高価だから共通化して、小さくて金型が作りやすい(安価な)スイッチノブのみ形状を変えてみたのだろうか(写真6)。
ドアの肘掛に付いているパワーウィンドウのスイッチも配置などは共通だが、スイッチ自体やパネルの質感はHSに比べてSAIは明らかに安っぽい(写真7)。
 

写真4
シートの形状は同じで表皮のみが異なる。
Bピラーの形状は全く同じだから、骨格は共通の可能性が高い。

 

写真5
リアもシート形状も全く同じだし、ドアを開けて見える骨格も同じ。
リアスペースはこのクラス(Dセグメント)としては標準的だ。


写真6
一見全く同じようで、良く見るとスイッチの形が違う。大物の金型は共通で小さなノブは別の型を起こすなど、流石はトヨタだ。


写真7
高級感で大きな差が付いているのがパワーウィンドスイッチ付近。
ドアの内張りは全く異なるし、SAIの安っぽさが目に付く。

ダッシュボートやセンタークラスターのオーディオ&エアコンスッチなど、とに角一目見た瞬間からSAIはHSに比べて安っぽさを感じる(写真8)。また、SAIはオーディオの操作パネルに何故か蓋があって、使用時に開く(写真9)ようになっているから、通常はただ黒い(しかもチャチな)パネルのみが見えている。エアコンの調整はディスプレイを使って行うために独立したエアコンパネル等は無い。例えば夏、少し暑いので設定温度を僅かに変えたい時に 、HSならばパネル上のアップダウンスイッチで0.5℃変えるのは簡単だが、SAIの場合はその度にリモートスイッチ(他社のコマンドダイヤル相当)などで画面を変更した 後に温度設定をするのは、どう考えても使い辛そうだ。HSはセンタークラスター自体のデザインも質感も、SAIに比べて圧倒的に勝っている。

ディスプレイと対で使用するリモートスイッチはセンタークラスタの後端に配置され、言ってみればパソコンのマウスのようなもので、上下左右の2次元の動きとスイッチ で選択と決定を行う 。この部分も機能は同一だがSAIはHSよりコストダウンしたものが付いている(写真10)。なお、この写真を見ればセンターコンソールの側面パネルがHSは(フェイク?)レザーの素材にステッチが入っているのに対して、SAIは無骨なプラスチックであることが判る。とにかくセンターコンソール(センタークラスターと一体)については、HSの高級感に比べるとSAIはチョッと情けないと感じてしまう。
 

写真 8
ダッシュボードやセンタークラスターの形状は全く異なり、別の金型を起こしているのが判る。そしてステアリングホイールも全く異なる。
見た感じはレクサスが高級感で完全に勝っている。


写真9
SAIのオーディオコンロール部は蓋を開けないと出てこない。しかもエアコンは専用のパネルが無く、ディスプレイを使用する。
対してHSは質感の高いコントロールパネルを装備していて、勿論エアコン操作部もある。
 


写真10
センタークラスター後端に配置されているリモートタッチと呼ばれるコントローラは、パソコンのマウスのような使いかたをする。
SAIとHSでは形状が異なる。センタークラスタのサイドはSAIのプラスチックに対してHSはフェイクレザーにステッチがある。
 

SAIとHS250のインテリアを一通り比べたところで、いよいよ試乗へ進む。

この続きは後編にて。

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