BMW530i xDrive Touring (4WD) (2010/2)
このモデルは既に販売を終了しています。


この角度からみても4WDモデルであることは判らない。
よく見ればフェンダーサイドにxDriveのエンブレムがある。
 

Eセグメントワゴンの定番といえばメルセデスEクラスだったが、例のブレーキ不具合で今やEクラスは5シリーズに販売台数上でも逆転されているのは既に何度も述べているが、このEクラスワゴンには以前から4マチックという4WDモデルが存在している。そして、BMW5シリーズツーリングにも実は4WDモデルがある。今回、日本では殆どお目にかかれない530i xDrive に試乗する機会があった ので、5シリーズオーナやオーナー予備軍の参考になればと思う。

試乗した530i xDrive はLHD(左ハンドル)だった。おっ、早速LHD撲滅運動家から外車オタクと批判されそうだが、ちょっと待った!
実は530i xDrive は前輪を駆動する ためのミッション系(トランスファー)が左右非対称なために、RHDを作ろうとするとトランスファーも左右が反対のRHD 専用を開発する必要があり、販売台数を考慮すれば現実には不可能なのだそうだ。それじゃあイギリスではどうしているんだろう? という疑問が湧いたのでYahoo UKで調べてみたら、5シリーズに xDrive は設定されていなかった(正確には、見付からなかった)。

ところで、BMWの4WDモデルにはモデル名の最後に”xi”という呼称がついたはずで、例えば530iの4WD版は530xiと思っていたが、ある時点からは xDrive と呼ぶようになっていた。そういうこともあり、エクステリア上は2WDとの差は全く無く、リアのエンブレムも何と”530i”のまんま! 唯一の相違点と言えばフロントフェンダーサイドにある”XDRIVE”というエンブレムのみだった(写真2)。さらにもうひとつ、フロントのキドニーグリルの縦のスリットがクローム仕上げとなっているが、これは5シリーズワゴン全車に共通であるらしい。 それじゃセダンはどうかと思って調べてみたらば、マイナーチェンジ後はやはりクローム仕上げだったから、黒いつや消しは前期モデルで廃止されたようだ。3シリーズの場合、キドニーグリルの縦桟がブラックアウトされているのは4気筒の証拠となるから、 BMWユーザーの間ではクロームグリル→上級モデルという判断基準があり、5シリーズをクローム化したのは正解かもしれない。 なお、並行輸入の325i(MT)を見たことがあるが、6気筒でもグリルはブラックアウトされていたから、海外では事情は違うようだ。

さて、今回の530xi(正確には530i xDrive)は当然ながら国内に在庫車がある訳も無く、どうせオーダーをするならとオーナーが自分の好きな仕様のオプションを付けまくったこともあり、普段はカタログ には載っていても実際にはお目にかかれないオプションが結構付いていた。 このサイトの試乗記では5シリーズについては既に何度も取り上げているので、今更同じような内容を繰り返すのも脳が無いから、今回は4WDワゴンの走りと珍しいオプションに対する解説を主として進めて行く。
ここで、もう一度エクステリアを良く見るとフロントを除いたサイドとリアのガラスがスモークになっているが、よ〜く見るとフィルムを貼ったのではなく正真正銘のプライベートガラスで、国産車では珍しくもないがBMWのプライベートガラスというのは見たことがない。 勿論、ちゃあんとオプションにはあるのだが、BMWJは見込みで輸入する車にプライベートガラスは付けていないようなので、これが欲しければ本国オーダーをするしかない。

エクステリアを見た後にテールゲートを上げてみると、何とパワーゲート(オプションのオートマチックテールゲートオペレーション)が付いていた。ゲートが開いた状態で、それらしきスイッチ (写真4)を押してみると、ウィーンというちょっと安っぽいモーターの音と共にゲートは下がってきて、閉まる寸前に一旦停止してからスーッとロックされる・・・・・ と、思いきや、何とそのまま勢い良くバタンっと下品に閉まったので唖然とする。乗り出し価格では1千万円にも届こうという高級ワゴンなのに、この感性には驚いてしまった。 その癖、サイドの4枚のドアは閉める直前に半ドア状態にすると、スーッとロックされた(オプションのソフトクローズドア付き)。
 


写真1
リアから見ても普通の5シリーズツーリングと区別はつかない。リアのプライバシーガラス(オプション)は珍しい。

 


写真2
現在のモデル名は”530i xDrive”で、530xiとは呼ばない。エンブレムもそれに従って530xiではなく530iとなる。

 


写真3
オプション装備のセンサー達。
@アクティブクルーズコントロールのレーダーセンサー
Aナイトビジョンの遠赤外線センサー
Bパークディスタンスコントロールのセンサー(リアにもあり、各4個ずつ)

 


写真4
オプションのパワーゲートは↓のボタンを押すと結構速い速度で閉まって行き一気にバタンと下品に閉まる。

 

ドアを開けて目に入ったのは基本的には2WDと全く同じインテリアだが、前述のように本国オーダーのために内装もオーナーの趣味で国内ではあまり見かけない組み合わせとなっている。 まずシート(当然レザー)カラーはナチュラルブラウンというベージュを少し濃くしたような色で、ベージュよりも汚れ難そうだ。組み合わされるインテリアカラーはブラックで、これは組み合わせが決まっている。 ウッドトリムは標準がブラウンポプラだが、より明るい色のライトポプラがオプション装着されていた(写真5)。
ナチュラルブラウンのシート形状や表皮の具合は530iに標準装備されている見慣れたレザーシートでなく、どうも550iに標準のコンフォートシート をオプション装着したようだ。 そして座ってみると何時もの5シリーズ用に比べて座面が硬いような気がするが、種明かしは後ほど走ってからにしよう。エンジンの始動方法はインテリジェントキーとスタートボタンという5シリーズに共通なもので、アイドリング時も530iらしく静かで4WD独特のものは感じない。 ここでiDRIVEのディスプレイを見ると何やら以前に比べて解像度が増したというか、画像がきめ細かいのに気が付く。これも後期モデルで改良された内容の一つだった (写真9)。

走り出すまでの”儀式”はセダン530iと全く変わることはない。ATセレクターも最新のスイッチ式だし、パーキングブレーキもオーソドックスなセンターコンソール後端のレバー式となっているから、BMWに慣れたドライバーなら全く迷うことは無い。
 

写真5
インテリアも2WDモデルと変わらない。ただし、このクルマは各種のオプションが付いているので、イメージが少し異なる。


写真6
ATセレクトレバーは最新のスイッチ式。
奥に見えるセンタークラスタ下段のスイッチはシートの相違さ関連とDTC(ダイナミック・トラクションコントロール)やパーキングディスタンスのスイッチ類。

 


写真7
エアコンとオーディオの操作パネルも当然ながら2WDと同じ。

 

走り出せば基本的には530iと変わらないが重量増と4WDの駆動抵抗の為か、セダンの530iのように胸のすくような加速に比べると多少劣っているが、世間一般の乗用車の常識では充分に速い。 考えてみれば、同じ530iとはいえセダンよりも重いワゴンは動力性能でも不利になるわけで、実際にセダンならば十分な動力性能と感じる525iは、ワゴンだと一寸ばかり物足りない感がある。 これが4WDとなると、車両重量自体も増えるし、更には駆動系の抵抗による効率の低下もあるから、同じエンジンが発生するパワー(トルク)でも負荷は 増大するし、その分動力性能としては不利なのは当然だ。
走行中座面が片側だけ少し沈んだような気がしたが、気のせいかと思って気にしなかったが、5分ほどするとやはり何やら座面に変化があったような気がする? 実はコレ、オプションのアクティブシートという機能で「座面の一部が間欠的にわずかに上下してドライビング中の背中や腰椎付近の負担を軽減する」のだそうだ。 元々出来の良い5シリーズのシートを更にオプションの上級シートにしてある時点で、長距離でも疲れない状況なのに、更にこんな仕掛けまでついている。 これは寧ろ20分もすれば腰が痛くなって信号待ちで腰の運動を必要とする、カローラチックなシートにこそ欲しい機能だが。

5シリーズの特徴として日本向けには今ではお馴染みのアクティブ・ステアリングの標準装着により、他車には無いようなクイックな操舵性を持っていることだ。 この機能も初期の頃(E60発売当時)は異常にクイック過ぎて、余程慣れたドライバーでも最初は危険を感じる程だから、運転技能まるで駄目なオバちゃん、もとい、セレブの奥様が運転したらと考えると疑問 があったが、徐々に自然な味付けになっていって、今では確かに他社に比べてクイックではあるが初めて乗っても危険な程の違和感は無くなっている。 そういうことを踏まえて530i xDrive の特性を一言で述べれば、極々普通のBMW的で、決してトロくはないが中心付近に多少の不感帯を持つオーソドックスなものだった。アクティブ ・ステアリングも随分と自然になったものだと思ったが、いやまてよ。それにしても自然すぎる。と思ったら、実は4WDである530i xDrive にはアクティブ・ステアリングは付いていなかった。 レスオプションで外したのではなく、4WDには設定が無いのだった。
そして、一番の興味は4WD化によるコーナーリング特性の変化だが、実はこのクルマは冬季の4WD本来の目的のためにスタッドレスタイヤ(写真12)が装着してあり、 しかもサイドウォールの硬いランフラットタイヤ(RFT)という、走行性能的には2重のハンディを抱えている事を考慮する必要がある。それでも、これは流石にBMWらしく充分にニュートラルな特性だった。例えば同じ4WDワゴンでもアウディA6クワロトの場合は、コーナーで常識的にステアリングを切ったら、思いもかけずにコーナー外側の路肩へ向かって行き、 慌ててステアリングを切り増しして冷や汗をかいた事を思い出したが、この辺はBMWとのポリシーの違いだろう。 ようするに、同じ4WDとはいってもアウディクワトロ程の安定志向ではなく、BMWらしいスポーティー感を残しているから、人によっては4WDの癖に安定性が悪いとも感じるようだ。

スタッドレス装着に関連して、ホイールの概観上は2WDと変わらないが実は大きな落とし穴がある。4WDのxDriveは何とオフセットが異なるのだ。恐らく4WDの駆動機構の関係でハブの取り付け面が外に出ているのだろう。その分、ホイールの取り付け面も外側に寄 っているようだ。だから、形状は同じでも2WD用のホイールを装着するとタイヤがはみ出しそうになってしまう。えっ?「ツラ位置になるんか、それぁ良いじゃねえか。ついでに車高も下げちまうか。」なんて言っているヤンキー上がりの社長!こういうクルマを選ぶ紳士のオーナーから見れば、ツラ位置やはみ出しなんてトンでも無いんですよ!!

元々乗り心地ではハンディがあるRFTで、おまけにスタッドレスという2重のハンディを背負ったタイヤを履いた試乗車の乗り心地は、5シリーズとしてはしなやかさが無く、特に低速で注意しているとゴツゴツと細かい突き上げを感じるが、絶対的なレベルでは決して気になるほどではない 。しかし、Eセグメントの高級ワゴンとして、また実際に高級な内装に浸って運転している身には、チョッと不釣合な乗り心地でもある。
とはいっても、これだけタイヤのハンディを背負っても、世間の常識から言えば充分なハンドリングや乗り心地を実現しているのも流石は5シリーズと素直に褒めておこう。


写真8
オートクルーズを100km/hに設定しても前車が遅い場合は追従速度となる。写真は高速道路で前車が90km/h+で巡航中に追いつき、追従している場合。

 


写真9
輸入車の純正ナビとしてはマトモなものが付いている。
5シリーズは後期モデルから高解像度のディスプレイとなった。比べてみれば明らかに画像が綺麗になっている。

 

次に冒頭で予告したように各種のオプションについて試してみよう。
まずはナイトビジョンを表示させてみた。ナイトビジョンは赤外線カメラを使用して歩行者や動物を感知し、ディスプレイに表示するものなので、 表示させてみれば昼間でも暗い画面に歩行者が映ったのでイメージは理解できた。まあ、それは場合によっては確かに有用なのだろうが、 問題はナビのディスプレイを使用して表示するので走行中常にナビの画面を見ることが必要になってしまい、これでは肝心の前方の確認が疎かになってしまうという、本末転倒の結果だった。結局正直言ってあまり使い物にはならなさそうだ。確かにそんなに有用なら多くのクルマに標準装備されるだろう。
次にACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)というオプションを試してみる。これを試すために高速道路へと向かう。ACCは通常のクールーズコントロールに 対して、前車への追従機能を追加したものだ。と、言葉で書くと判りづらいので早速使ってみよう。 まず、前が空いている状況で設定は合法的に100km/hとする。3車線ある高速の真ん中の車線を100km/hで巡航していると、前に遅いトラックが見えた。速度差は10km/h程度だろうか。徐々に近づいてそろそろヤバイかなと思うあたりで、少し強めの減速が起こり、クルマは前車に追従を始めた (写真8)。 車間距離は50mくらいだろうか。今度は80km/hくらいで追従している状態で、右側の追い越し車線のクルマの流れが切れたのを確認して右に車線変更をすると、2/3スロットルくらいの加速を始めて設定値の100km/hになると巡航し始めた。今度は もう一度左に車線変更して中央車線を走行しながら、最も左の車線の遅いクルマを見つけて、その100m程後ろに入ってみる。 先行する軽自動車は推定70km/hで走っているので車間距離は見る見る詰まってくる。そしてあと50mくらいというところで自動的にブレーキがかかったが、この時の減速度はフルブレーキではないが普段高速道路で掛ける制動としては結構急減速の部類だった。
速度の設定は国産車のように100km/hまで、なんていう偽善的な設計にはなっていないから、その気になれば何キロ(km/h)でも設定できる。ということは、ヤバーイ速度に合わせると、ガンガンと飛ばしていて遅い前車に近づき急減速して後ろに付き、車線変更をすると急加速して、また左に入って次のクルマに近づいたらマタマタ急減速という、実に 品の無い非合法運転も出来てしまう。 もしかして、お前、実際に試しのか?って、じょ、冗談でしょう。想像ですよ、想像!

「5シリーズとマークXの差は200km/h以上の領域でないとその差は判らない」という意見をNetのどこかで見た覚えがあるが、それは大いなる間違い。ついでに言うならば、5シリーズどころかクラウンとマークXを比べても、その内容には明らかに差がある。 そして、そういう意見を言う人はマークXさえ乗ったことがないのではないか。というよりも、そのような差は販売戦略上で必要なのは当然だし、 あの天下のポルシェでさえケイマンは911より安価な価格設定のために、意識的に性能を落としている・・・・という話は、今更するまでも無いが。
  

写真 10
直6、3ℓ 272ps/6,650rpmの最高出力と32.1kg・m/2,750rpmの最大トルクを発生する。
 


写真11
標準の225/50R17タイヤに組み合わせるホイールは2WDモデルとはオフセットが異なる。

 


写真12
試乗したクルマにはスタッドレスのランフラットタイヤ(RFT)が装着されていた。 舗装路でのグリップとハンドリングが良くないスタッドレスとサイドウォールが硬いRFTという組み合わせのハンディは大きい。

 

国産のワゴンで脳裏に浮かぶのはレガシィくらいなもので、それすらDセグメントだから。Eセグメントの5シリーズとは比較にならない。 以前はクラウンのエステートというEセグのワゴンがあったが、これも今では生産中止となっている。
 
    BMW BMW Mercedes Benz AUDI VOLVO
      530i Touring 530i Touring
xDrive
 
E350 4Matic
Avantgarde
A6 Avant3.0
TFSI Quattro
V70 T6 TE AWD
  車両型式   PU30 PV30 212287C 4FCAJS BB6304TW
寸法重量乗車定員
全長(m) 4.855 4.900 4.925 4.825
全幅(m) 1,845 1.855 1.855 1.890
全高(m) 1,490 1.500 1.455 1.545
ホイールベース(m) 2.885 2.845 2.845 2,815
駆動方式 FR AWD
  最小回転半径(m)   5.7 6.0 5.4 5.7 6.0
車両重量(kg)   1,780 1,860 1,890 1,900 1,919
乗車定員(   5
エンジン・トランスミッション
エンジン型式   N52B30A 272 CAJ B6304T
エンジン種類   I6 DOHC V6 DOHC V6 DOHC SC I6 DOHC TURBO
総排気量(cm3) 2,996 3,497 2,994 2,953
  最高出力(ps/rpm) 272/6,650 272/6,000 290/6,800 285/5,600
最大トルク(kg・m/rpm) 32.1/2,750 35.7/5,00 42.8/4,850 40.8/4,800
トランスミッション   6AT 7AT 6AT 6AT
   燃料消費率(km/L)
(10/15モード走行)
  9.0 8.6 - 9.4 7.8
  パワーウェイトレシオ(kg/ps) 6.5 6.8 6.9 6.6 6.7
サスペンション・タイヤ
サスペンション方式 ストラット ダブルウィシュボーン ストラット
インテグラル・アーム マルチリンク リンク マルチリンク
タイヤ寸法   225/50R17 245/45R17 245/40R18 245/40R18
ブレーキ方式 前/後 Vディスク/Vディスク Vディスク/V゙ィスク Vディスク/Vディスク ディスク/ディスク
価格
車両価格 820.0万円 840.0万円 930.0万円 812.0万円 699.0万円
備考         XC70 T6SE AWD
624.0万円

それでは輸入車で5シリーズツーリングのライバルは、と言えば真っ先に思い浮かぶのがメルセデスEクラスで、10年前ならばこのクラスの王者であり、Eクラスワゴンこそが高級ワゴンの 王者だったのだが、先代(W211)がブレーキシステム(SBC)の不具合により一気に転落したことから、今では販売数でも5シリーズに追い越されるという最悪の事態になってしまったが、幸いにも昨年発売された新型(W212)が出来が良いことから、今度は期待が出来る。 ただし、ドイツ車の通例どおりにワゴンのラインナップは1年以上遅れて、やっと最近W212ワゴンの国内発売が始まったようで、これは是非試したみたい。

そしてドイツプレミアムブランド御三家で残るのはアウディだが、アウディの場合は他の2社に比べてアバント(アウディのワゴンの呼称)に力を入れている。 元来、アウディは4WDのクワトロシステムが主流だったこともあり、当然ながらA6アバントも4WDが主体だから、今回の530i  xDrive とは強力なライバル関係になるが、日本でもアウディ(いや欧米でも)、特にEセグメント以上でのブランド力は他の2社に比べるとマダマダ弱い面もある。 実際に5シリーズとEクラスを比較検討するユーザーは考えられるが、A6は如何なのだろうか?A6に限らず、A4と3シリーズを比較検討したという話もあまり聞かない。それに対して、A3と1シリーズの比較は良く聞くし、かなりの 確率でA3に軍配が上がったりしている。
比較表の最後に並べてみたボルボは、スペックとしては御三家のEセグメントワゴンと同等に見えるが、ボルボがBMWやメルセデスと は言い難いと、個人的には思っている。それでも同等と思って、これ を買い得と思うユーザーも居るようなので、まあ考え方の相違としておこう。 ただし、事実上同一コンポーネントを使用しているXC70は、より充実した装備が追加されて75万円も安いから、どうしても買いたいならXC70を選ぶのが得だろう。いや、若しかすると実売価格は変わらないかも知れないので、何とも言えないが。

さて、今回取り上げた530i xDriveは、価格的には2WDの530iとは20万円しか違わないが、4WDは本国オーダーの取り寄せとなるために値引きが期待できない。対して2WDの場合は、事情により長期在庫となってしまった現物を選べば、結構な値引きが期待出来るから、実際の価格差は相当大きくなる。
まあ、そんなことならば多少(いや、かなり)の妥協はあるが、ここは割り切ってレガシィツーリングワゴンを選べば価格は半値以下で手に入る。半値といったって元が高価なのだから500万円もの差が出る。そしてレガシィの価値が500万円も低いか、と言われれば、まあ何とも言えないが、これもオーナー の考え次第だろう。 ただし、530i xDrive ツーリングは現在販売されているステーションワゴンの中でもベストの一つであることは間違いない。

ところで、現行5シリーズはもうすぐ新型に置き換わる。この場合、BMWというよりもメルセデスを含めた欧州車では良くあることだが、ベースとなるサルーンがフルチェンジしても、派生車種であるワゴンやクーペは1年程発売が後になり、その間はシカとして旧型を売り続けるから、5シリーズの場合も今回乗ったツーリングが直ぐに販売終了になる訳ではない。 それでも旧型には間違いないのだから当然ながら値引きは大きいのが普通だが、ここでも取り寄せの4WDモデルは在庫を持たないので値引きはイマイチ期待が出来ない。

と言うわけで、2WDならばもしかしたら今が買い得かもしれないから、その気のある読者はディーラーに聞いてみては如何だろうか?