メルセデスベンツ C200 コンプレッサー (2003/05/12)
 

TOP

試乗車一覧




メルセデスのCクラスが4気筒系エンジンを一新したのを機に、2年ぶりにC200に試乗してきた。

試乗車はC200Kのセダン。従来はC180が2L自然吸気でC200がコンプレッサー(スーパーチャージャー)だったが、今回は新型(オールアルミとのこと)エンジンに変更され、いずれも1.8Lで、C180にもコンブレッサーが装備された。C180とC200の違いは制御と過給圧の違いか?  

シートに座って最初に感じるのは、初期型に比べて、遥かに座り心地が良くなっていることだ。背中のサポート具合も良くなり、これなら3シリーズ(Mスポーツではなくノーマル、小ぶりであまり良くないが、それでも初期のCよりは大分良かった)よりも良いか?正面の大きなスピードメーターと小さな回転計は、BMWに慣れた目には何か変な気がする。思想の違いを、改めて認識する瞬間だ。

走り出して一番最初に感じるのは、新型エンジンの出来の良さだった。1500回転から過給が開始するスーパーチャジャーは実に自然で、低速から十分なトルクを発生する。レスポンスも良く、旧型の2ℓに比べ遥かにトルクフルで、これなら不満はない。回転は滑らかで、BMWの2ℓバルブトロニックに勝るとも劣らない。また、旧型では加速時にコンプレッサーのノイズがかなり気になったが、新型では殆ど聞こえない。こうなるとV6のC240の存在自体が怪しくなる?

ディーラの前の道路は、片側2車線で流れは60〜70km/hで、このような状況では、とにかく直進性が良い。さすがはメルセデスで、ステアリングから手を離しても、クルマは真っ直ぐに、それこそ矢のように直進する。この楽ちんさは、BMWには無いもので、新ためてメルセデスの主張が身にシミル。途中から裏道に入り、さらに、河川沿いの道を走る。多少のワインディングロードになっているが、そこでの挙動も安定そのもの。ただし、ステアリング中心付近の感度は3シリーズに比べ、明らかに鈍感で、さらに切りこんでも、タイヤの捩れ(195/65R15)や、ステアリング系の特性も手伝って、真っ直ぐ走ろうとするクルマを、強引に曲げているような感じが する。だからと言って、決してド・アンダーでもないが、3シリーズのニュートラルな特性に慣れた身には、なんとも物足りない。

乗り心地は非常に良い。フラットで突き上げも殆ど感じないが、3シリーズだってノーマルはかなり良いので、ここは良い勝負。ブレーキは3シリーズよりはマイルド、というか3シリーズが過激過ぎるのかもしれない。これも考え方の違いか?それと、気のせいか、先代のCやその前の190は、同じ鈍感でも質が高かったような気がする。言いかえれば、現行のCはやはりチャチになったと言うのも事実だと思う。

昔、メルセデスに感動し、いつかは自分で所有しようと思っていた自分にとって、やっと買えそうな状況になった時には、メルセデスは、もう、昔のメルセデスではなかった。昔、あこがれた理想の女性にプロポーズするだけの資力が備わった時には、彼女は、だだのオバンになっていたような悲しさか?

今回のハイライトはやはりエンジン。初期型のオーナーがコレに乗ったら、自分のは一体何だったんだと、落胆する事間違いない。ドイツ車はフルチェンジ後、2年は待てという常識を改めて再認識した。

安定性最重視のメルセデスと、走る楽しみを忘れないBMW。思想は違えど、どちらも総額数百万の投資が十分見合う(と個人的には思っている)。コンパクトセダンの分野ではCと3は世界中の目標であるという常識も改めて再認識したという、なんとも当たり前過ぎる結論だった。