B_Otaku のクルマ日記 特別編 ご注意:この記事は特別編です。毒舌やら嫌韓やらで満ち溢れています。 |
2016/2/16(Tue) |
碓氷峠の観光バス事故続編 |
事故から1ヶ月が経ったということで、最近また追加情報が報道されている。そこで今現在判っている内容をまとめてみた。 左下の図でA点は峠を登り切った付近でここには監視カメラがあり、公開された映像ではバスは正常に、いや寧ろ慎重すぎるくらいの運転で通過して行き、この時の速度は見た感じでは恐らく 30q/h くらいだろう。このA点からは平坦か緩い下りが少し続きB点からは左の旧カーブと共に急激な下り勾配となる。普通国道の勾配は7%を上限としているが、左下の図内の写真を見ると8%の標識が出ているから、これは例外的な急勾配ではある。 事故現場より250m 手前のC点の監視カメラの映像は、かなりの速度でカーブを対向車線にハミ出しながら大きくロールして通過する映像が公開されている。以上の内容を整理すると、バスはB点から D 点までの580mをニュートラルでフートブレーキも使わずに下ったということになる。その先のD点からはブレーキ痕と思えるタイヤマークが30m 付いていて、そこでガードレールに接触した痕がある。 以上の情報からB点からC点までの 580m をノーブレーキで降りた場合の速度を計算してみる。なお、この部分の平均勾配は 6.5% ということだ。 ここで距離をS(m)、速度をV (m/sec) 、減速度を b (m/sec2) とする。なお下りの重力による減速度は6.5% 勾配ということでは 9.8 x 0.065 (m/sec2) だが、実際にはバスの走行抵抗、すなわちタイヤの抵抗や後軸からデフ〜プロペラシャフト〜ミッションに至る駆動系の抵抗も考慮して 9.8 x 0.05 (m/sec2) と仮定する。 そしてS,V,bは V2= S x 2 x b という関係であり、これより ここでB点での速度を30km/h と仮定したから、D点でのバスの速度は 116km/h も出ていたことになる。 次にD点から30m にわたってブレーキ痕らしきタイヤマークがあることから、フルブレーキでの減速度を下り坂を考慮して 0.6 x 9.8 (m/sec2) と仮定すると前述の計算式から V2= −353 (m/sec)2となり、これを時速に換算すると約−19km/h となるから、D点で 116km/h だったバスはフルブレーキによりE点での速度は 116 −19 = 97km/h に一端落ちたことになる。 そしてまた下りで速度が上がるが、これは100mだからV2= 98 (m/sec)2、V=10km/h となりF点では107km/h まで上昇し、そこから再び 40mブレーキを掛けているから、V2=−470 (m/sec)2で V=−22km/hであり、ガードレールに激突した時の速度は107−22= 85km/h と仮定できる。ただしF~G間の制動はバス自体がかなり傾いていて片輪走行に近い状態だったと推定できるから制動力も半分程度とすればガードレールへの激突時の速度は 96km/h という推定も出来る。 まあこれはあくまで仮定の条件による計算ごとだから誤差は結構あると思うが、警察が運行記録計の解析を進めた結果ではバスは転落直前の速度が 96km/h ということだから、今回の計算でF~G点での片輪制動と仮定した計算結果と一致しているが、まあこれは偶然の一致という面もあるだろうが、今回の計算はそれ程間違ってはいないことになる。結局「B点から D 点までの580mをニュートラルでフートブレーキも使わずに下った」という説は正しいのではないか。とりあえず今回は公表されている事実とそれを元にした計算による推定という、結構マジな事をやってみた。そして、何故ニュートラルかとか、何故ブレーキを踏まなかったのかとかの疑問点はあくまで想像になってしまうから今回は触れないことにする。 ただし、報道機関による評論家や専門家の意見を見ると、なるほど良いところを突いているというのもあるが、マルで見当違いというか、大型車のブレーキシステムが解っていないと思えるものも結構ある。時間があれば続編として大型車、とくに大型観光バスのブレーキシステムについての解説をしたいとは思っている。
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