B_Otaku のクルマ日記


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2018/12/5(Wed)  戦後のノックダウン車

1950年代の日本の自動車産業は独自に開発した企業と外国メーカーのクルマをノックダウン (Knock Down ,KD) した企業があった。この中から今回は KD 車について纏めてみる。当時の KD 車は日産が BMC (British Motor Corporation) のオースチンを、いすゞは英国ルーツ社のヒルマン、そして日野 (当時は日野ヂ―ゼル工業) はフランス ルノーを製造していた。

下の表に上記ノックダウン車に加えて比較用として当時自力で開発した初代トヨタ (当時はトヨペット) クラウンの諸元を並べてある。ルノーを除けば KD 2車とクラウンは同クラスで、当時としては高級車であり価格も100万円前後tと物価や給与水準を考えれば極めて高価だった。なお3車のエンジンが何れも1.5L であるのは、この時代は小型車の上限が 1.5L だった事が原因で、1960年には 2.0L に変更された事で、その後のマイナーチェンジで 1.9L が主流となった。

日産は 1952年から英国 BMC のオースチン A40 サマーセットの KD 生産を始めたが、1954年に BMC が A50 ケンブリッジへと FMC を行った為に A40 の生産は一度途絶えてしまった。しかし1955年からは新型の A50 の生産を決断し、これは1960年まで継続された。なお、部品類は徐々に国産化されて 1958年には完全国産化が達成されている。

この技術は後のブルーバード 310、セドリック 30 に生かされている。また当時の A50 は他の国産車とは比較にならない程に優れていて、あのカ―グラフックの小林彰太郎氏が自らの足に使っていた事でも判る。

そう言えば、当時の自動車ショーのガイドブックのグラビアには、岸首相が A50 の横に立って微笑んでる写真があったが、首相が特定の自動車メーカーの宣伝写真みたいなものに出て良いのだろうか。それなら現代でも安部首相がフーガの隣でほほ笑んだ写真でも公開すれば、少しはフーガの人気が上がる? って、事は無く、返って評判を落とすかもしれないが。まあその前に、首相が特定企業の宣伝をするのはOKという閣議決定が必要とか?

日産の A40 より少し遅れて 1953年にはいすゞが英国ルーツ社のヒルマン ミンクスの KD 生産を開始した。当初は PH10型だったが、日産と同様にオリジナルの FMC と共に PH100型へと移行し、これも日産と同様で徐々に部品の国産化が行われ、1957年には完全に国産化が達成された。2トーンカラーのボディーは独特の品の良さもあり、当時はオースチン同様に高級車としてオーナードライバーに人気があったという。

当時小学校の同級生に家にこのヒルマンミンクスがあったが、傍で見ても実にお洒落な雰囲気で、ダサい国産車とは一線を画していた。因みのこの友人の父親はビニール会社のオーナーといわれていて、広い家には四角いスポンジみたいな布団や、ピカピカ光った流し台等があり、随分と文化生活をしていたのだが、その後クルマは無くなり家も引っ越して友人は転校して行った。噂では会社が倒産して杉並の公営住宅に転居したという事だった。なんだか3丁目の夕日みたいだが。

オースチンやヒルマンが小型車で主に高級オーナーカーであったのに比べると、日野が KD したフランス ルノーの 4CV は大衆車でありサイズも小さく、エンジンは前2車の半分の排気量 (750cc) だったが、その分価格も安くてヒルマンの7割程度だった。

ルノーはタクシーでも結構使われていて、中型 (クラウン) / 小型 (ダットサン) / ルノーと呼んでいた覚えがあり、初乗り料金は確かそれぞれ 90円/80円/70円だった覚えがある。

このように欧州車の KD で始まった3社に対してトヨタは独力で開発していて、1955年には初代クラウン RS が発売されている。クラウンは主に法人車が多く、要するに役員の送迎車に多くみられ、また当時は前出のように中型タクシー、すなわちタクシーとしては上級車として結構走っていた。

しかし今や英国の自動車産業は殆ど壊滅しており、BMC の流れを汲むメーカーは紆余曲折の挙句に今ではインドのタタモータースや中国の南京汽車がブランドを保有しているという惨たんたる結果であり、今話題のルノーはといえば日産を乗っ取って技術を奪取しないと経営が成り立たない状態で、60年の歳月は完全に立場を逆転するのに充分だった。






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2018/12/4 (Tue)  大嘗祭のパレード車

来年秋に予定されている新天皇即位による大嘗祭のパレードではオープンカーが使われるが、実はそのパレード車が現在無い状態だという。ええ~っ、今上 (平成) 天皇の時に使ったのがあるだろう? と思うだろうが、あのロールスロイスはその後皇太子御成婚パレードで使われた後は一度も出番は無く、今では直ぐに動かない状態で、整備には一千万円程かかるという。

実はこのロールスだが、写真左下を見れば判るように何と2ドアだ。普通に考えればこれ程のパレードに使うクルマが2ドアっていうのは考えれらないが、実はこれには事情がある。というのは、昭和天皇が亡くなって平成天皇が即位して、さてその大嘗祭のパレードに使うクルマは、というと何と用意していなかった! そこで急遽ロールスロイスに発注したが、こんな特殊なクルマは当然オーダーメードであり、如何考えても納期は間に合わない。という事で、特別な配慮で他のユーザーが注文していたクルマを回してもらったという事で、ただし4ドアでは無く2ドアだった。その為に皇太子ご成婚パレードの時の映像を見ると、フロントドア (リアドアは無いから当然だが) を開けて、フロントの助手席シートを前に倒して、その隙間から乗り込む姿は正直言って痛々しいくらいだった。

更に付け加えると、このクルマは如何見てもコーニッシュ (Corinche) で、これはアラブ辺りの成金でも購入できるグレードだ。本来国家の威信を掛けた行事に使うクルマはファントム (Phantom) であり、この点でも問題がある。当時の価格が4千万円というので妙に安いと思ったが、成る程これで納得。えっ、そんな事はクルマおたくでなきゃ感じ無いだろう、って、まあ確かにそうではあるが。

そんな事もあり、このロールスを1千万円掛けて直すなら新たに国産車を購入した方が良いだろうという事になっているらしい。これって、言ってみれば30年程前に買って滅多に載らず、20年前にはナンバーを外して自宅の納屋に置いておいた R32 スカイライン GTS -t を再度車検を取ろうとしたらば 100万円掛る言われて、それなら買い換えようか‥‥みたいなものだろうか。

さて国産の御料車といえば以前なら日産 プリンス ロイヤルだったが、このクルマもメンテが出来なくなり、新たに購入するとなって、実は日産ではもうそんな余力は無い事もあり、今度はトヨタがセンチュリーベースの特注車としてセンチュリー ロイヤルと呼ばれているクルマを納入したのが 2006年だった。

それで、今回のオープンカーだが、皇室用という事だからセンチュリー ロイヤルをベースとするのが最も有力だろう。それに世界第2位のトヨタが自国の天皇の即位にあたって専用のオープンカーを作るというのは理にかなってもいる。

そこでセンチュリー ロイヤル オープンというのを想像してみた。それが下のコラージュで、結構それっぽいと自画自賛している。ただし、リムジンベースだがそのままではオープンとしてはホイールベースが長過ぎるので少し短くしてみた。うん、これならロールスのコーニッシュ何かよりも間違い無く格上だから、他にも出番は多いだろう。私的行事との批判もある大嘗祭のためというと問題になるが、国家の威信をかけた皇室外交に使用するパレード車を購入する、といえば理屈は通るだろう。

来年の大嘗祭まであと1年だが、納期は大丈夫だろうか。オープンともなるとホイールベースを縮めたとしても車両の補強が相当必要であり、ただ屋根を取っただけでは剛性が全く不足して、それじゃ年頭の暴走族が乗って来る違法改造オープンカーになってしまう。さ~て、トヨタの技術力で何処までのモノが出来るか、楽しみにしていよう。




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2018/12/1(Sat)  Porsche 911 Carrera 4S (2019)

このところ海外での新型車の発表が相次いでいるが、実は今ロサンゼルスでのモーターショーが開催されている関係で、大物のワールドプレミアが相次いでいるのだった。

そして今回はポルシェ 911 が7年ぶりに FMC されて 992 となった。最近のポルシェは SUV やサルーン等と車種も増えてきたが、やっぱりポルシェといえば 911 であり、クルマ界では超大物とも言えるクルマだから話題としても超弩級、と個人的には思っているが。

FMC とはいえ例によってポルシェのモデルチェンジ、取り分け看板車種の 911 だからエクステリアは勿論キープコンセプトでり、門外漢には何処が変わったのか判らないのも何時もの通りだ。

フロントは例によって蛙顔であり、極偶に実施されるフロントヘッドライトの形状変更も今回は無い。

それでリアはといえばリアコンビネーションランプが多少変更されている。勿論リアバンパーは良く見れば大きく変更されている。

次にインテリアはというと‥‥

センタークラスターとなだらかに繋がるコンソールという先代とは変わって、ダッシュボードの一部と言うべきセンター部分とは切り離されたようなコンソールを持っている。またコンソール上のスイッチ類もハイテク化されているようで、これは一足先に FMC したカイエンと同様の方式となっている。

発売は欧米では来春から順次行われるようだから日本ではそれ以降という事で、ラインナップが揃い出すのは2010モデル、すなわち来秋からであろう。なにしろ最新のポルシェが最善のポルシェと言われるくらいに、FMC の度に進化しているポルシェの事だから、今度も性能的には圧倒的に進化しているだろう。

なお詳細は例によって下記にて。
  ⇒ https://www.netcarshow.com/porsche/2019-911_carrera_4s/

 


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