B_Otaku のクルマ写真館
 Nissan X-Trail Hybrid

今日産を支えているのはミニバンのセレナと共に SUV のエクストレイルで、これは2013年に FMC で3代目となっているが、ふとラインナップ一覧を見たらばハイブリッド車がラインナップされていた。日産の HV といえば「これをハイブリッドというか?!」みたいな超マイルドなヤツとか、エコ狙いではなく動力性能補強タイプのフーガみたいなヤツか、兎に角両極端で「もっと、マトモなヤツはないのか」という状況だと思っていたが、エクストレイルのハイブリッドはスペックを見れば日産としては一番 ”マトモ” な、言ってみれば HV の王道を行くタイプのようだ。

それでは国産の SUV でしかも HV というと、さてどんな車があるのだろうか。まず思い当たるのはトヨタであり、ハリアーだろう。ハリアーハイブリッドは簡易試乗記で簡単に取り上げているから、興味のある方は参照されたい。
 ⇒ TOYOTA Harrier Hybrid 簡易試乗記

しかし、ハリアーの場合はサイズ的にエクストレイルとそれ程違わないようにも感じるが、エンジンも大きく電気モーターの出力も大きく更には価格も100万円程も高いから、これはライバルとは成り得なさそうだ。

次にホンダ ベゼルにも HV がラインナップされているが、ベゼルは元々ベース車がBセグメントのフィットであり、HV もフィット ハイブリッドのユニットだから、これはハリアーとは逆にクラスが一つ下となり価格的にもエクストレイルよりも安いが、それでもその差は20万円程度だからエクストレイルって結構買い得なのかもしれない。

そしてもう一つは当然ながら "スバル” で、これを忘れるとスバヲタさんからクレームの嵐となる。そのスバルのハイブリッド SUV はといえば XV だが、この XV は初代はインプレッサ XV という名称で、その名の通りインプレッサベースのクロスオーバー SUV である。現行の2代目は2012年の発売だが、2台目からは "インプレッサ" を付けずに単に "XV" となったが、インプレッサ派生のクロスオーバーである事に変わりはなく、その全高はエクストレイルよりも165㎜ も低い 1,550㎜ であり、同じスバルの SUV であるフォレスターの 1,751㎜ と比べても明らかに乗用車寄りのクルマとなっている。

こうして国産 ハイブリッド SUV を比べてみると、下の4車は其々クラスもコンセプトも異なるということで、どのメーカーも似たような金太郎飴みたいなクルマが多い国産車としては HV ということもあるが其々が個性を持っているから選びやすいとも言える。えっ? SUV なんて遊びクルマを買うのに、何でエコな HV にするんだ? って、まあ、流行りですよ、ハヤリ。

その4車のハイブリッドシステムはといえば、これこそ各社の技術レベルやコンセプトにより方式も大いに異なっているが、まあこの分野ではダントツに強いトヨタだから、ハリアーのシステムも充分な熟成と実績のあるもので、性能的にも4車の中では最もガソリンエンジンの排気量が大きく、また電気モーターのパワー、出力共に圧倒的に大きいし、前後にモーターを付けて 4WDにする方式もトヨタ得意のものだ。そしてこのシステムはエンジンおよびモーター共にカムリ ハイブリッドと共通化されていて、量産効果という面でも大いなる強みを発している。

これに対してエクストレイルは日産唯一のマトモな HV であり、今の段階では当然ながら生産数も少ないだろう。そのエクストレイルのハイブリッドシステムはといえばトヨタとは全く違う方式で、モーターをエンジンの出力軸、すなわち変速機の先に取り付ける方式で、スペックを見てもガソリン車と同じエンジン&ミッションにモーターを付加したようになっている。

ホンダとスバルのハイブリッドシステムについては、また別の機会に取り上げることにして、早速エクストレイル ハイブリッドのエクステリアを見ると、まあハッキリ言ってガソリン車と特に変わったところは無い。

以上2016年8月5日掲載分


現行エクストレイル自体は既に2013年末より販売されているから2年半以上が経過しているから今更と言われそうだが、特に下の角度から見た場合の SUV らしさは中々のもので、価格の割には充分に立派に見える。特にベースモデルとなるガソリンの 20S (RWD) の 224万円という価格は大いなる買い得車と言っても良さそうだ。えっ、スバル フォレスターだって 215万円から、しかも4WD だぞ、って? 確かにこれまた大いなる買い得車だ。凄いっ、流石はスバル! とスバヲタさんを煽てておこう。

フロントフェイスは当然ながら最近の日産顔となっている。

サイドビューも如何にも SUV らしいものだ。

リアビューを見れば縦横比が殆ど等しく、これが SUV らしさを強調している事が判る。なお全幅1,820㎜ はファミリーマンションの立体駐車場には入らないが、元々全高だって1,715㎜ だから平地の駐車場に置くしか無いのだった。

ハイブリッドの場合は全て LED ヘッドランプが標準となるのは最近の常識でもある。ポジジョンライトもアウディなどから始まったL字型に光るタイプで、まあこれも LED のご利益だ。

リアのバックゲート右下には青地に白文字で ”PURE DRIVE" 、そしてメッキ地に青色で ”HYBRID" のエンブレムがある。

 

リアゲートを開いて現れるラゲージスペースは下に大型バッテリーが配置されていることから、床位置が少し高い。

しかしラゲージスペースの後部半分は床板を持ち上げると、浅いとはいえ小物なら充分に入るスペースが現れる (写真左下) 。
リアゲートは一丁前に欧州車みたいに電動式のクローズスイッチが付いている (写真右下) 。

 

標準装備のタイヤは 225/60R17 と、まあ最近のこのクラスの国産 SUV としては標準的なものだ。
なお、フロントフェンダー後方のボディサイドにも ”HYBRID” のエンブレムが付いている。

ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクでフロントに至っては2ピストンキャリパーが奢られている。

以上2016年8月7日掲載分


このクラスの SUV となるとボンネットフードは結構重いが、エクストレイルではその重いフードを片手で抑えながらロッドを手動でセットする。これに対してハリアーでは上級車のようにダンパーが装着されていて勝手に保持してくれる。外形寸法の近いハリアーだが 100万円の価格差は伊達ではないようだ。

それでエンジンルームの中はといえばオレンジ色の高圧ケーブルが HV らしさを醸し出している。

エクストレイルのエンジンはガゾリン車と HV では型式・性能共に全く同じだが、こうして見るとエンジンのトップカバーが違うためにあたかも全く別のエンジンに見える。そして下の写真ではバッテリーがドカンと居座っているがよく見れば車体の左端 1/3 くらいは事実上何もなく、これが HV になると電気モーターの駆動や制御機器が配置されている。

HV では本来なら電気モーターとの協調に適した特性の専用エンジンを乗せるのだが‥‥とか言うのは、ここでは抑えておこう。

今回のクルマは エクストレイル 4WD 20X HYBRID “エマージェンシーブレーキ パッケージ” という長い名前だが、価格はオプション別で 287.6 万円 と決して手頃とは言えないが、最近のクルマとしては中級という感じだろうか。

標準シートは全グレードに共通の防水シートで表皮はサイドもメインも人工皮革が使用されていて、特にサイドは一見本革というくらいに質感が良い。日産の人工皮革といえば、10年前のフーガ何てまるで小学生の ”運動靴” という感じで、見るからに質の悪い人工皮革丸出しの素材だったが、いつの間にやら随分進化していた。勿論これは日産の技術ではなく、これを作っている繊維メーカーの技術だが。因みにこれらはスミノエテイジンテクノという会社だそうで、要するに住之江と帝人の合弁会社ということだろう。

シートの調整は手動式でオプションにパワーシートがあるかと思って探したが無さそうだ。やっぱり、このクラスでは必要無いのだろう。そしてチョッと高級なクルマには必ず付いている車名のロゴ入りのスカッフプレートなどと呼ばれるものは一切見当たらないが、別に性能には関係無いので気にしない、とは思っても何だか安っぽいなぁ。

ドアのインナートリムは、まあクラス相当のもので特に立派でもないがチャチでも無い。

拡大してみるとアームレストのみステッチの入ったレザー貼りパッドで、その他は樹脂製となっている。それでも肘の当たる部分だけでもパッドとなっているのは大いに気分が良くなる。

以上2016年8月8日掲載分


ダッシュボードのデザインは中央最上部にエアアウトレットを置くという、チョッと古いタイプの設計となっているのはベースが2013年に発売されたガソリンモデルだからであり、たった3年前だがチョイとコンセプトが古いという感じがする。

ルームミラー前方にはエマージェンシーブレーキシステムのカメラ等が取り付けられている。

ダッシュボード右端、欧州車なら回転式ライトスイッチなどがある場所だが、エクストレイルは国産車らしく各種安全デバイス関係のスイッチが並んでいる。

センタークラスターのナビシステムはラインオプションで、その下のエアコンはハイブリッド車の場合は全てオートエアコンが標準装備となる。ガソリン車のベースモデルのみマニュアルエアコンとるのは、まあこのクラスの SUV を 234万円で買えると思えばマニュアルエアコン何のその!

センターコンソールには AT セレクターがあるのは極一般的だが、このパターンにはマニュアルモードが無い。まあ CVT だし、SUV という性格からもこれをマニュアル操作したい、なんて思うユーザーはいないだろう。その手前にはドリンクホルダーを挟んで4WD のモードセレクターがある。その両側はシートヒーターのスイッチも配置されている。

 

基本的にはガソリン車と共通のメーター類だが、左の回転計の中には電気モーターのパワーメーターらしきものが組み込まれている。

メーター中央のディスプレイには HV ではお馴染のチャージとモーター駆動など電気の流れを示すエネルギーモニターなるものが表示される。

コンソール後端はお馴染のリア用エアアウトレットとなっている。

 

といことで、エクストレイル ハイブリッドの内外装を見てきたが、さて実際の走りはどうだろうか。ということで、これは次回の試乗記にて扱うことにした。このところ試乗記のターゲットといえばテスラS、AMG GLE 43、ポルシェ カレラSというどもれ一千万を軽く超えるようなクルマばかりで、まあこれが現実的な価格帯という読者もいるだろうが、普通のサラリーマンでは手が出ない価格帯だ。そこで今回は趣向を変えて300万円という現実的な価格と、SUV という今流行のカテゴリーであり、しかもハイブリッドだから、もうこれは簡易試乗記なんてケチな事を言っている場合ではない。

あっ、勿論セレブの読者には庶民の暮らしを垣間見られるから、これはこれで意義があるだろう。

以上2016年8月9日掲載分

⇒ Nissan X-Trail Hybrid 試乗記 (2016/8)