1968年8月、トヨタ2000GTの発売から3ヶ月遅れて1600GT(RT55)が発売された。2000GT
が本格的な2シータースポーツであるのに対して、1600GTは量産モデルであるコロナハードトップ(RT50)のボディに高性能エンジンを搭載したモデルだった。
1600GTに搭載され
ていたエンジンはコロナ1600S用のSOHCをベースとしてDOHC化され、キャブレターにはソレックスのダブルチョークを2基使用して、最高出力110ps/6200rpm、最大トルク14.0kg-m/5000rpmを発生し
た。ミッションは4MT(GT4)が標準で、オプションとして兄貴分の2000GTと共通の5MT(GT5)が用意されていた。そして、サスペンションもベースのコロナに対してトルクロッドを追加するなどの強化が施されていて、さらに、シートには2000GTと同じバケットシートが装着されていた。当時の資料では価格はGT4が96万円、GT5が100万円。車両重量は1030kgで0-400mが17.3秒となっている。
平凡なファミリーセダンであったコロナ、(と言っても当時は高値の華で、普通のサラリーマンで所有するのは大変だったが)をベースに2ドアハードトップをバリエーションとして揃え、さらにそのボディに高性能エンジンを載せる手法は、現代のBMW3シリーズとマルっきり同じではないか!しかも写真で判るように、1600GTのフロントフェンダーには標準のコロナHTと異なりエアアウトレットが装着されている。そう、これまたBMW M3(E46)と同じじゃないか。今から40年も前に現代のBMW3シリーズと同じバリエーションを揃えていたコロナの先見性には今更ながら驚かされる。しかもコロナには今で言えば3シリーズツーリングに相当するコロナバンまでラインナップされていたのだから、更に驚きだ。
これに比べて現在のトヨタはといえば、BMW3シリーズをライバルにしたハズのレクサスISにはクーペも無ければワゴンも無い。最近やっと高性能版のIS−Fを出したが、それにしても40年前に出来たことが、何故出来ないのだろうか?
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