1964年の第11回東京モーターショーにダットサンクーペ1500の名称で発表された2ドアクーペは、翌年の1965年にシルビアという名前で発売された。
当時のプレス技術では不可能な、ボティラインの継ぎ目のないスタイルは、実は熟練工により叩き出されたハンドメイドだった。そのために120万円という高価なクルマとなってしまったが、そのエレガントなパーソナルカーはクルマ好きの憧れでもあった。
発売されたシルビアのエンジンはショーモデルと違い1.6ℓ、
4気筒OHVにより最高出力は90psを発生していた。実は、このクルマはフレームやサスペンションをフェアレディ1600と共有している兄弟車だった。
初代シルビアは5年間にわたり生産されたが、その台数は合計で500台強と少なかった。何しろ、中堅企業の社長さんの乗るセドリックが100万円の時代に、パーソナルカーに120万円というのは、今で言えばメルセデスSL級の感覚だろう。
そんな事から、当時の街中では、現物が走っている姿は殆ど見ることが出来なかった。そして、シルビアという名前自体は、その後も受け継がれていったが、ご存知のように走り屋御用達のS15をもって、現在は休止状態となっている。近い将来、シルビアの名が復活する事を祈っていよう。
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