ダットサン フェアレディ 

 

 


戦後日本の自動車で本当の意味でスポーツカーと言えるのは、1961(昭和36)年のモーターショー・・・・ではなく全日本自動車ショーで発表されたフェアレディ1500(SP310)だろう。 発売は翌1962(昭和37)年で、初期型は運転席の後ろに横向きで座るサードシートがあり定員は3名だった。エンジンは30型セドリックからの流用の直列4気筒OHV、 1488ccで1基の可変ベンチュリーSUキャブにより71ps/5000rpmを発生した。

1963(昭和38)年にはSUツインキャブで80ps/5600rpmに増強されれて、国産スポーツカーとして不動の位置を獲得したフェアレディは1965(昭和40)年にシルビア用1595cc、直列4気筒OHVを搭載したフェアレディ1600(SP311)に発展する。

そして極めつけが1967(昭和42)年に発売されたフェアレディ2000(SR311)で、直列4気筒OHC1982ccエンジンはダブルチョークソレックスキャブで145ps/6000rpmと、当時としては大変な大出力だった。SPとSRの外観上の違いは僅かで、大きな相違点はラジエターグリルのD(ダットサン)マークくらいなものだが、 性能は大違いでSRのゼロヨン加速は15.4秒という当時としては驚異的な性能だった。B_Otaku は当時既に免許を持っていて、カローラSL(初代の後期型、ツインキャブと回転計などのスポーツ装備をしていた)に乗っていたが、SRの性能は憧れの的だったし、 何時かは手に入れたいとも思っていたが、聞くところによれば恐ろしくスパルタンで、固められたリーフリジットの足は快適性の欠片もなく、その性能や価格とともに相当に覚悟のいるクルマだった。
そんな風に、憧れているうちに2年後の1969(昭和44)年に、SRとは全くコンセプトの異なるフェアレディZ(S30)が発売された。確かにS30はSRに比べて遥かに文化的だったが、スパルタンな男のクルマというスポーツカーの歴史は、 残念ながら途絶えてしまった。