いすゞ ベレットGT 

 

 


誰でも免許を取って最初のマイカーというのは特に思い入れがあるものだ。

実は自分自身が免許をとって最初のマイカーとなったのが中古のベレット。 もちろん、GTではなく4ドアの1500セダンで、走行35,000kmの中古車だった。今でこそ、35,000kmの中古車なんて、新車に毛が生えたようなものだけども、 今から三十数年前の3.5万キロは、ポンコツの一歩手前だった。
話をGTに戻すと、発売は4ドアセダンに1年遅れる1964(昭和39)年で、1579ccの4気筒OHVエンジンはツインSUキャブにより、88ps/5400rpmを発生した。 ミッションには4速フロアシフトで、ラック&ピニオン式ステアリング、サスペンションは4輪独立懸架を採用し、発売半年後のマイナーチェンジで前輪にディスクブレーキを も備えた。 当時の日本車は米国車を基本としていたから、この時代に欧州志向の2ドアスポーツクーペというのは、極めて先進的だった。
通称は“ベレG”。発売当時に近所のガソリンスタンドのお姉さんが、ベレットGTを購入して颯爽と近所を走りまわっていて、この姿のカッコ良かったのなんのって。当時中学生だった目には、今でもあの姿が焼きついているくらいだ。

このベレットGTは、その後も改良が重ねられて1979年(昭和44年)には、 117クーペと同じDOHC120psを搭載した1600GTRが発売された。価格は当時100万円でクラウンが買える時代に、それよりも高価だったと記憶している。
これだけ先進的なベレットも発売以来10年以上のロングセラーとなると、流石に古さも目だってきて、いつのまにか生産中止となってしまった。日本のスポーツカー創世記に 、あれだけ活躍したいすゞだが、結局その後は鳴かず飛ばずで、現在の商用車専門メーカーとなってしまったのは何とも残念だ。